措置入院患者への効果的な退院支援の推進と、精神保健福祉担当する自治体保健師の確保を—日看協
2017.5.1.(月)
精神障害者の地域移行を進める中で、精神保健福祉を担当する自治体保健師を確保するとともに、措置入院患者に対する効果的な退院支援を図る必要がある—。
日本看護協会は4月26日、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の堀江裕部長にこのような要望書を提出しました(日看協のサイトはこちら)。
精神障害者においては入院が長期化しがちですが、QOL向上を目指して「地域移行」を推進する方針を厚労省は明確にしています。地域移行に当たっては、▼受け皿となる在宅サービスなどの整備▼効果的な退院支援―の2つの取り組みが必要となることに鑑み、日看協では、次の2点を堀江障害保健福祉部長に要望しています。
(1)精神保健福祉分野を担当する自治体保健師の人材確保や力量形成を図る
(2)措置入院患者の退院後の支援に関する事例を収集し、医療の必要性を含め、その病態像や支援の実態を明らかにし、効果的な支援の方策を図る
この2つの方策は、どちらが欠けても十分な効果は得られません(受け皿を整備しても退院が進まなければ意味がなく、退院を進めようにも受け皿がなければ実行できない)。両者を、まさに「車の両輪」として同時に推進していくことが必要でしょう。
看護系大学の新設や入学定員の拡充も要望
また日看協は4月1日に、文部科学省高等教育局の常盤豊局長に宛てて、(1)大学における質の高い看護学教育課程(2)医療・介護提供体制を取り巻く状況の変化に対応する看護職育成のための教育(3)保健師教育課程における質の高い教育(4)安全で安心な出産環境の整備に資する助産師教育課程―の4点を推進する要望も行っています(日看協のサイトはこちら)。
このうち(1)の大学教育については、志願者増に看護系大学の整備が追い付いていないとして、▼大学の新設促進▼既存大学の定員拡充―とそれに伴う財政的支援、学士編入制度(大学などで学士を得た後に、看護系大学に編入学する)の推進などを求めました(関連記事はこちら)。
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