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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

ショートステイの整備や受け入れ状況、特養とケアマネに大きな意識のズレ—都社会福祉協議会

2017.5.8.(月)

 東京都内で活動するケアマネ事業所の35.6%が「特別養護老人ホームのショートステイが不足している」と考えているが、特養側は7.8%しか不足していると考えていない。またケアマネ側は、喀痰吸引や胃瘻管理などの医療的処置がショートステイ利用の障壁となっていると考えているが、特養側では介護職員不足が障壁と考えている—。

 東京都社会福祉協議会(以下、都社協)が3日に公表した「ケアマネジャーによる特養のショートステイに対する意識調査 報告書」から、このような意識のズレがあることが明らかになりました(都社協のサイトはこちら(概要版)こちら(本文))。

ショート不足、特養は7.8%しか感じないが、ケアマネは35.6%が感じる

 要介護状態となっても、可能な限り住み慣れた居宅・地域で生活を続けられるよう、地域で医療・介護・健康サービスなどを総合的に提供する仕組みとして「地域包括ケアシステム」が注目されます。特に、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築することが急がれています。

 その中では、一時的な重度化や、介護を行う家族のレスパイト(休息)などのための「ショートステイ」を適切に整備することが、居宅サービスの継続にとって不可欠となります。

 ショートステイを実施する特養ホームに充足状況を聞いたところ、▼充足している(55.6%)▼どちらとも思わない(32.1%)▼充足していない(不足している)(7.8%)―となり、過半数は「充足している」と考えていることが分かりました。

 一方、居宅の要介護者のサービス計画を作成し、各種サービスの調整を行うケアマネジャー(ケアマネ事業所)は、▼充足している(29.3%)▼どちらとも思わない(27.9%)▼充足していない(不足している)(35.9%)―と答えており、ショートステイ整備に関する意識には大きなズレのあることが明らかとなりました。

ショートステイ整備について、特養側は7.8%しか「不足」と感じていないが、ケアマネ側は35.9%が「不足」と感じている

ショートステイ整備について、特養側は7.8%しか「不足」と感じていないが、ケアマネ側は35.9%が「不足」と感じている

ショート利用の障壁、特養は「介護職員不足」、ケアマネは「医療的処置」と考える

 また、居宅の要介護者がショートステイを利用する上で何が障壁となっているかについて、特養側は▼介護職員の人員不足(49.7%)▼地域の利用希望者の減少(38.5%)▼医療処置などのニーズに対応できない(22.9%)―などと考えているのに対し、ケアマネ側は▼医療処置などのニーズに対応できない(63.4%)▼介護職員の人員不足(41.7%)▼看護職員の人員不足(23.6%)―などと考えており、ここでも意識に大きなズレがあることが分かります。

ショートステイの課題について、特養側とケアマネ側とで意識が大きく異なっている

ショートステイの課題について、特養側とケアマネ側とで意識が大きく異なっている

 

 さらに、どのような医療処置がショートステイ利用での障壁になったかについて見てみると、ほとんどの特養は▼中心静脈栄養▼人工呼吸器▼ドレーン法+胸腹腔洗浄―などと考えていますが、これらを障壁と考えるケアマネはごくわずかにとどまり、逆に▼インスリン注射▼喀痰吸引▼胃瘻管理―などが障壁になっていると考えています。

どの医療処置がショートステイ利用のネックになっているかについて、特養側とケアマネ側とで意識に大きなズレがある(その1)

どの医療処置がショートステイ利用のネックになっているかについて、特養側とケアマネ側とで意識に大きなズレがある(その1)

どの医療処置がショートステイ利用のネックになっているかについて、特養側とケアマネ側とで意識に大きなズレがある(その2)

どの医療処置がショートステイ利用のネックになっているかについて、特養側とケアマネ側とで意識に大きなズレがある(その2)

ショート予約の難しさや、BPSDのある認知症者の受け入れなどをケアマネは要望

 ケアマネジャーは、前述のとおり介護サービス計画を作成し、各種サービスの調整などを行う重要な役割を担っています。ショートステイを運営する特養ホーム側との間で大きな意識のズレがあれば、円滑なサービス提供が難しくなってしまいます。サービス担当者会議などで、積極的に事業者側の意見を吸い上げるとともに、自分の考えも主張し、意識のズレを修正していかなければいけません(関連記事はこちら)。

 もちろん、特養ホーム側も、ケアマネ側の「古くからの特養は半年前からの電話予約(早い者順)しか受け付けておらず、ショートステイの予約が取りにくい」「ショートステイ利用中の状況報告が、ケアマネジャーにない」「医療依存度の高い人、BPSD(粗暴行動名の周辺症状)のある認知症の人が利用できるショートはないに等しい」といった意見にも十分に耳を傾ける必要があります。

 
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