オプジーボ、胃がん治療に用いる際のガイドラインと留意事項を通知—厚労省
2017.10.2.(月)
厚生労働省は9月22日、画期的な抗がん剤のオプジーボ点滴静注(ニボルマブ製剤)の適応が胃がんにも拡大されたことを受け、最適使用推進ガイドラインを通知(ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(胃癌)の作成及び最適使用推進ガイドライン(非小細胞肺癌、悪性黒色腫、頭頸部癌、腎細胞癌及び古典的ホジキンリンパ腫)の一部改正について)するとともに、保険診療上の留意事項通知(抗PD-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の一部改正について)を発出しました。
胃がん治療では、サードライン(3次治療)として用いる
オプジーボは、免疫チェックポイント阻害剤として、各種のがんに対する優れた治療効果が期待されています。しかし、超高額な薬価が設定されていたため、中央社会保険医療協議会で緊急的・特例的な薬価引き下げを行う(2017年2月1日から)とともに(関連記事はこちら)、適切な施設・医師の下で、有効性・安全性の確認された患者にのみ投与すべきことを定めた【最適使用推進ガイドライン】(以下、ガイドライン)を作成し、各医療機関に遵守を求めることにしています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
今般、新たに「胃がん」への適応が追加されたことを受け、胃がん用のガイドラインが作成されました。これまでの▼根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼頭頸部がん—などと大きく変わりませんが、「医師要件」「患者要件(対象患者)」「定期的な有効性の評価」を見ると、次のように設定されています。
◆医師要件
次のいずれかに該当する医師または歯科医師が治療責任者となっていることが必要。
▽初期研修後に5年以上のがん治療の臨床研修を行い、うち2年以上『がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学』の研修を行っている
▽初期研修後に4年以上の耳鼻咽喉科領域の臨床研修を行い、うち2年以上『がん薬物療法を含む頭頸部悪性腫瘍診療』の臨床研修を行っている
▽初期研修終了後に5年以上の口腔外科臨床研修を行い、うち2年以上『がん薬物療法を含む口腔外科のがん治療』の臨床研修を行っている
◆患者要件
【安全性】については、他のがん種と同様に、「本剤成分に過敏症の既往歴のある患者」は禁忌とされ、▼間質性肺疾患の合併・既往がある▼胸部画像検査で間質影を認める、活動性の放射線肺臓炎や感染性肺炎など肺に炎症性変化が見られる▼自己免疫疾患の合併、または慢性的・再発性の自己免疫疾患の既往歴がある▼臓器移植歴(造血幹細胞移植歴を含む)がある▼ECOG Performance Status 3-4―の患者では、投与が推奨されません。ただし、他の選択肢がない場合に限り「本剤の慎重投与」を検討することが可能となります。
なお、「臓器移植歴(造血幹細胞移植歴を含む)」は他のがん種(メラノーマなど)のガイドラインにおいても「推奨されない」ことが明確にされました。
【有効性】については、次のように規定されています。
▽有効性あり:『2つ以上の化学療法歴』のある治癒切除不能な進行・再発胃がん患者(サードラインとして用いることになる)
▽投与対象外(有効性未確立):○1次治療・2次治療を受けていない患者○術後補助化学療法○他の抗悪性腫瘍剤との併用
◆定期的な有効性の評価
臨床試験では「投与開始から1年間は6週ごと、それ以降は12週ごとに有効性を評価していた」ことを参考に、本剤投与中は定期的に画像検査で効果の確認を行う
適応拡大により、本剤を胃がん治療に用いることが保険診療上可能になりますが、その際にも「ガイドライン遵守」を徹底しなければいけません。さらに厚労省は、本剤を胃がん治療に用いた場合には、レセプトの摘要欄に▼施設要件(がん診療連携拠点病院などのいずれに該当するか)▼医師要件(上記のいずれに該当するか)―を記載することが必要となります。
オプジーボ、腎細胞がんと古典的ホジキンリンパ腫治療の最適使用推進ガイドライン—中医協(2)
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