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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

介護業務情報を収集・蓄積し、必要な支援に活用する介護ロボットの開発へ—厚労省・経産省

2017.10.17.(火)

 ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器や、高齢者の外出などをサポートし、転倒予防や歩行補助を行うロボット技術を用いた装着型の移動支援機器、見守り・移動支援・排泄支援などの介護業務情報を収集・蓄積し、これをもとに必要な支援への活用を可能とする機器などを「ロボット技術の介護利用における重点分野」に加える—。

 厚生労働省と経済産業省は10月12日に、こうした点を明らかにしました。「ロボット技術の介護利用における重点分野」は合計6分野・13項目となり、両省をあげた開発支援が行われます(厚労省のサイトはこちら)。

介護ロボット開発の重点分野、段階的に拡充され17年には6分野13項目に

 厚労省と経産省では、介護の質向上と介護者の負担軽減の双方を実現するために、2012年に「ロボット技術の介護利用における重点分野」を策定。介護人材不足へも一定の対応が可能になると期待されます。

 さらに安倍晋三内閣が今年(2017年)6月に閣議決定した未来投資戦略2017では、「科学的介護の導入による自立支援の促進」に向けて、▼今後の介護ロボットなどの開発では、自立支援による利用者の生活の質の維持・向上と、介護者の負担軽減の両方を実現するため、現場のニーズを真に酌み取り、開発シーズとつなげられるプロジェクトコーディネーターを新たに育成・配置する▼ロボット介護機器の開発重点分野を再検証し、本年(2017年)夏までに戦略的な開発の方向性を取りまとめ、来年度(2018年度)以降の新たな開発支援対象に反映する—ことなどが打ち出されました(関連記事はこちら)。

この戦略に沿って両省では、ロボット介護機器開発の提案内容を取りまとめる協議会を設置するとともに、介護分野におけるコミュニケーションロボット活用に関する大規模実証試験を実施。今般、ロボット介護機器の開発・実用化に係る重点分野を1分野・5項目追加し、合計6分野・13項目としたものです(2012年には4分野・5項目→2014年には5分野・8項目→2017年には6分野・13項目に順次拡大)。

両省は、重点分野に選定されたロボットについて開発支援(補助金交付や試作機の介護現場での実証など)を行います。さらに、2018年度の次期介護報酬改定に向けて、「利用者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減に資するものについて、介護報酬や人員・設備基準の見直しなどの制度上の対応を行う」方針も明確にされています(関連記事はこちらこちら)。例えば、介護ロボットの活用で質の向上や介護者の負担軽減が認められる場合には、当該機器の利用を要件とした加算の設定や報酬の引き上げを行ったり、介護ロボット活用を条件とした人員配置基準の緩和(例えば通常「介護職員5名配置」が求められるところを、ロボットの配置を条件として「介護職員3名配置」に緩和することなど)が検討されます。今後、社会保障審議会・介護給付費分科会で活発な議論が行われることでしょう。

【重点分野一覧】(●が新規選定の重点分野・項目、○が既存の重点分野・項目、カッコ内は選定年)

(1)移乗介助
○ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器(2012年選定)
○ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器(2012年選定)

(2)移動支援
○高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器(2012年選定)
○高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器(2014年選定)
●高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器(2017年選定)

(3)排泄支援
○排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ(2012年選定)
●ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器(2017年選定)
●ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器(2017年選定)

(4)見守り・コミュニケーション
○介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム(2012年選定)
○在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム(2014年選定)
●高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器(2017年選定)

(5)入浴支援
○ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器(2014年選定)

(6)介護業務支援
●ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器
(2017年選定)

 
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