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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

DPCデータ提出病院の過半数が地域包括ケア病床設置―GHC湯原が2016年度公開データ分析【お役立ち資料有り】

2018.3.20.(火)

 2016年度にDPCデータを提出した3501病院のうち、地域包括ケア病棟・病床を有するのは1829病院で、全体の52%と過半数を超えていることが、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)の分析で分かりました。一方、急性期のDPC算定病床のみを有する病院は675病院で19%。分析を担当したGHCマネジャーの湯原淳平は、「急性期病床最適化の政策が進む中、200床未満の病院が地域包括ケア病床を積極的に活用している傾向にある」とコメントしています(お役立ちデータ含む分析結果などの資料は以下とこちらからダウンロードできます)。

地域包括ケア病床、ますます開設進む?

 DPC病院や地域包括ケア病棟・病床を有する病院では、入院患者の診療録(カルテ)や診療報酬明細書(レセプト)の情報を匿名化し、厚生労働省に提出しています。提出されたデータは、▼平均在院日数▼救急車による搬送の受け入れ件数▼MDC(主要診断群)ごとの症例件数―などが病院単位で整理され、「DPC導入の影響評価に係る調査結果:退院患者調査結果」として公表されています。

 湯原は、3月6日に公表された上記データの最新版「平成28年度DPC導入の影響評価に係る調査結果:退院患者調査結果」を分析。次の点を明らかにしています。

▼1829病院(データを提出した病院の52%)に地域包括ケア病棟・病室があり、905病院(同26%)に回復期リハビリテーション病棟がある。

▼DPC算定病床を持つ病院は2946病院(同84%)あるが、DPC算定病床しかない病院は675病院(同19%)しかなく、1646病院(同47%)は地域包括ケア病棟・病床とDPC算定病床を併せ持っている。

▼DPC算定病床しかない675病院のうち、321病院(DPC算定病床しかない病院の48%)は病床数200床未満の病院で占められている。

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 こうした分析結果について湯原は、「地域包括ケア病床は2014年度診療報酬改定での創設から、わずか2年で過半数のデータ提出病院で活用されるようになった。病床別に見てみると、200床未満の病院で積極的に活用されている傾向にあり、急性期病床と地域包括ケア病床の組み合わせが最も多い。一方、200床以上では急性期病床のみで展開する割合の方が多いが、中長期的に見ると、急性期病床最適化の政策が進む中で、200床以上の病院でも地域包括ケア病床を活用するケースが増えてくるかもしれない」とコメントしています。

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 また、湯原は2018年度診療報酬改定の影響についても触れて、「200床未満の病院に地域包括ケア病棟の開設インセンティブを与える半面、多くの回復期リハビリテーション病棟で減収となる内容となった。改定後、DPC算定病床を地域包括ケア病棟に転換する200床未満病院や、回復期リハビリテーション病棟を地域包括ケア病棟に転換させる病院が増えるのではないか」と考察。「さらに、地域包括ケア病棟が増加することにより、肺炎、心不全、軽度脳梗塞の患者などが、急性期病院から地域包括ケア病棟を設置する病院に、患者が流れる可能性がある」と指摘しています(関連記事『7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定』)。

まず「100床当たり月間200症例」目指せ

 湯原は、ベッドの稼働状況に大きく関係する病院ごとの100床当たり症例数の状況も分析しています。例えば、「100床当たり月間症例数」を見ると、仙台厚生病院(仙台市青葉区、100床当たり月間症例数は356症例)が最も多く、次いで徳島赤十字病院(徳島県小松島市、同338症例)、済生会熊本病院(熊本市南区、同307症例)、熊本赤十字病院(熊本市東区、同306症例)、鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市、304症例)――の順となり、200床以上の病院が多いことが分かります。

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 湯原は、「さまざまな疾患の患者を受け入れる200床以上の病院では、病床100床当たり症例数が多いほど病床を効率良く稼動させていることを意味する」と指摘。病床100床当たり症例数が少ない病院では、「まず『100床当たり月間200症例』を目標にして、病床の運用方法を見直してはどうか」と提案しています。

 今回の分析スライド(計15枚、PDF)、DPCデータを提出する全病院の症例数変化などを確認できる資料(計3シート、エクセル)をダウンロードいただくことが可能です(ダウンロードは以下かこちら)。ご希望の方は必要事項をご記入の上、ダウンロードしてください。

 また、GHCが提供する多機能型病院経営分析ツール「病院ダッシュボードχ(カイ)」では、2016年度のマーケットデータをもとに、自病院と周辺の競合病院の強みと弱みを把握できる「マーケット分析」を提供しています。2018年度診療・介護報酬改定後の戦略立案などに、ぜひご活用ください(関連記事『自病院と競合の強み弱みを見える化、病院ダッシュボードχの「マーケット分析」がデータ更新』)。

解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院(事例紹介はこちら)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちらこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。
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