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多職種連携の推進など踏まえ、非専門職等も理解できるような表現で看護記録の記載を―日看協

2018.5.25.(金)

 看護記録を正確に行うことで、▼看護実践の証明▼看護実践の継続性と一貫性の担保▼看護実践の評価・質の向上—が可能となる。ただし、多職種連携などが進む中では、実践の場や職種が異なる者でも理解できるような用語・表現を選んで記載するこ戸にも留意する必要がある―。

 日本看護協会は5月18日に、「看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針」について、こういった改訂を行い、新たに「看護記録に関する指針」(新指針)として公表しました(日看協のサイトはこちら)。

正確性・分かりやすさを担保した上で、看護記録の効率化を進めることも重要

 看護記録は「看護職による看護実践の一連の過程を記録するもの」で、これにより▼看護実践の証明▼看護実践の継続性と一貫性の担保▼看護実践の評価・質の向上—が可能となります。

日看協では、2000年に「看護記録の開示に関するガイドライン」を、2005年に「看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針」を作成していますが、近年の医療・看護を取り巻く環境の変化や看護記録の重要性の高まりなどを受け、今般、これを改訂し、新たに「看護記録に関する指針」(新指針)として公表しました。

改訂のポイントは、(1)指針の対象・目的の見直し(2)「看護者の倫理綱領」「看護業務基準」との関係の明示(3)看護記録の定義および目的の明示(4)保健医療福祉サービスが専門職・非専門職の協働のもとで提供されることの考慮(5)看護記録の責任の明確化—の5点。

まず(1)では、新指針の対象と目的を「あらゆる場で実践を行うすべての看護職に対して、看護記録のあり方および看護記録の取り扱いについて示す」こととしています。上述した▼看護実践の証明▼看護実践の継続性と一貫性の担保▼看護実践の評価・質の向上—を図るために、すべての看護職が適切に看護記録を付けることが求められます。

 
また、近年、チーム医療のさらなる推進とともに、とくに在宅医療等の現場では「専門職」と「非専門職」との協働が進んでいます。また、病院・病床の機能分化・連携が進められる中では、例えば急性期病棟の看護職が、地域包括ケア病棟や慢性期病棟、介護施設、在宅の看護職と、これまで以上に連携することが必要となります。そうした中では、看護職から、他職種(異なる領域の看護職も含めて)や非専門職に看護実践内容を積極的に情報提供してくことが求められます。そこで(4)では、「専門職・非専門職が内容を理解できるような看護記録を作成することの必要性」や「専門職・非専門職や看護を必要とする人と内容を共有できるよう記録することの重要性」を示しています。

具体的には、▼実践の場や職種が異なる者でも理解できるような用語・表現を選んで記載する▼具体的に、かつ、その場の状況が保健医療福祉サービスの提供に係る専門職・非専門職や看護を必要とする人が理解できるように記載する▼患者の療養の場が変わることに伴って、他の看護職に情報提供する必要がある場合、患者情報を精選し提供するとともに、必要に応じ、患者本人の同意を得た上で、情報の受け手が今後どのような看護実践をするべきかを考える材料になる情報も提供する―ことを求めています。

 
もちろん、看護記録の記載に当たっては、▼一連の過程(観察、査定、支援内容の明確化、計画立案、実行、評価)を記録する▼適時に記録する▼正確性を確保する―といった基本に変更はありません。

なお、医療の高度化や、高齢患者の増加(複数の傷病を抱える患者の増加)などにより看護職の業務は多忙を極めています。このため、看護実践に必要な時間を確保するために、分かりやすさ、正確性を担保した上で、「各施設で記録の様式や略語を定める」など看護記録の効率化を図ることも重要です。
 
 
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