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「2040年度までの人口動態」や「病床当たり診療実績」もみて、医療機関の機能分化等の検討を―地域医療構想ワーキング

2020.3.23.(月)

「人口の少ない地域」では、今後、さらに人口が減少し、結果としてベッド数過剰の度合いが強くなる。地方の公立・公的医療機関等では、ダウンサイジングをはじめとする再編・統合の検証を2040年度までの人口動態を踏まえて行っていく必要がある―。

「小規模ながら、極めて生産性が高い病院」については、現在のデータでは「診療実績が少ない」と扱われてしまう。今後、「病床当たりの診療実績」を勘案していく必要がある―。

3月19日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こうした方向が固まりました。

政府が6月(2020年6月)に策定する骨太方針2020(経済財政運営と改革の基本方針2020)を見据え、データの解析等を進めていきます。

3月19日に開催された、「第25回 地域医療構想に関するワーキンググループ」

「小規模ながら、病床当たりの診療実績が極めて高い病院」が存在する

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、医療・介護ニーズが今後急速に増加していきます。そこで、より効果的・効率的に医療・介護サービスを提供する体制の構築を目指した「地域医療構想の実現」に向けた取り組みが各地域で進められているのです。

地域医療構想の実現に向けて、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)では、まず「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっています。

この点、2018年度末(2019年3月末)時点では、ほぼすべての公立病院・公的病院等で「機能改革」に関する合意ができたように見えますが、「形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっているケースがある」とも指摘されます。そこでワーキングでは昨年(2019年)9月26日に、424の公立・公的等医療機関(後の精査で約440に増加)について「機能の再検証を求めるべき」との方針を固めました(関連記事はこちら)。

詳細はすでにGem Medで詳しくお伝えしていますが、大枠は次のような病院について再検証を求めるものです。

(A)診療実績が特に少ない公立・公的病院等
▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期▼災害▼へき地▼研修・派遣機能―の9領域すべてで、地域における診療実績が下位3分の1の病院

(B)類似の機能を持つ病院が近接している公立・公的病院(人口100万人以上の地域医療構想区域にある病院については、別途、再検証方針等を定める)
自動車で20分以内の距離に、▼がん▼心疾患▼脳卒中▼救急▼小児▼周産期―の6領域すべてで、「診療実績が類似する病院」がある病院



(A)の診療実績が特に少ない病院については「急性期医療提供が期待される公立・公的病院等としての存在意義」が問われていると言えます。また(B)では「類似・近接する病院が当該医療機関を代替できるのではないか」と考えられるのです。こうした病院について、地域の事情を考慮した上で、例えば「機能分化」や「ダウンサイジング」を含めた再編統合の必要性を再検証することが求められるのです。

再検証は、厚労省の示した診療実績データで機械的に行うものではなく、地域の事情を踏まえて丁寧に行うこととされましたが、自治体や病院、さらに地域住民から「病院を閉鎖するのか」との指摘が相次ぎ、厚労省幹部が地方で説明会等を開き理解を求めてきました(関連記事はこちらこちら)。

そうした中で、地方自治体や医療現場等からは、診療実績データには▼「手術の一部」や「内科的診療」が含まれておらず、地域医療の全体像が示されていない(上述の9領域以外にも重要な医療内容がある)▼「病床あたりの実績」が分析されていないなど病床規模を勘案した分析になっていない(小規模でも生産性の高い病院があるはず)▼地域の人口動態の分析がなされていない(人口が増加する地域、減少する地域で再検証の考え方も異なってくる)―という大きく3つの課題が指摘されました。

これを受けワーキングでは、この3つの課題に対応するための分析を行っていく方針を固めたものです。具体的には(1)他の手術や内科的診療についても分析する(2)「病床当たりの実績」を分析する(3)地域の人口動態を勘案する―ものです。

例えば(2)の「病床当たりの実績」を見てみると、「病床規模が大きな病院ほど、手術等の生産性が高い」ことが一定程度伺えますが、「小規模ながら、病床当たりの診療実績が極めて高い(=生産性が高い)病院がある」ことも分かりました。上記(A)(B)の再分析では手術の「件数」のみに着目しており、この「小規模ながら、極めて生産性が高い病院」であっても「診療実績が少ない」と判断されてしまいます。新たに「病床当たりの実績」を分析することで、こうした「小規模ながら、極めて生産性が高い病院」の検討方針が変わってくることになるでしょう。

左上のように「小規模ながら、極めて病床当たりの診療実績が高い病院」がある1(地域医療構想ワーキング1 200319)

左上のように「小規模ながら、極めて病床当たりの診療実績が高い病院」がある2(地域医療構想ワーキング2 200319)



この点に関連して厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「救急医療では民間医療機関の役割が大きく、小児や周産期医療では公立・公的医療機関の役割が大きい。領域で分けて考えていく必要がある」との考えを示しています。

人口の少ない地域では、2040年度にかけてさらに人口が減少し、病床過剰になる

また、(3)の人口動態については、▼東京都区部をはじめとする都市とその近郊では、2040年度にかけて人口が増加する▼地方では、2040年度にかけて人口が大幅に減少する―ことが再確認されました。地域医療構想は「2025年度の医療提供体制のあるべき姿」を描くものですが、さらに将来を見通すことの重要性が分かります。

人口の少ない地域では、今後、さらに人口が減少していく(地域医療構想ワーキング3 200319)

構想区域ごとの人口減少率その1(地域医療構想ワーキング4 200319)

構想区域ごとの人口減少率その2(地域医療構想ワーキング5 200319)

構想区域ごとの人口減少率その3(地域医療構想ワーキング6 200319)



さらに、人口の少ない地域では「病床の稼働率」が低く、オーバースペックである(ベッド数が多すぎる)ことも明らかとなりました。

人口の少ない地域の医療機関ほど、病床稼働率が低い(地域医療構想ワーキング7 200319)



こうした点を考慮すれば、「人口の少ない地域では、今後、さらに人口が減少し、結果としてベッド数過剰の度合いが強くなる」ことが分かります。つまり(A)(B)のデータよりもさらに「再検証の必要性が高くなる」のです。より長期を見通して「地域で、どの程度の病床が必要なのか」を客観的に検討していくことが必要です。この点、小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は「地方ほどベッドが動いていないのは事実であり、各自治体病院がダウンサイジングを真剣に考え始めている」ことを紹介しています。



さらにワーキングでは、今後、公立・公的医療機関等以外の「民間病院」についての機能転換等を検討していくために、「回復期」「慢性期」についても分析を深化させていく方針も固めています。

回復期については▼「回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する病棟」と「それ以外の入院料(地域包括ケア病棟入院料や地域一般入院基本料(旧13対1・15対1)など)を算定する病棟」に分けて診療実績を分析する▼公立・公的医療機関等と民間医療機関等でどのような役割の違いがあるのかを分析する―、慢性期については「介護医療院への転換状況」を分析する、ことになります。



ワーキングでは、今年(2020年)6月策定見込みの骨太方針2020((経済財政運営と改革の基本方針2020)を見据え、データの解析等を進めていく構えです。


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