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新型コロナ対策 医療崩壊の真実

紹介状なし患者の特別負担徴収義務を「外来を基本とする医療機関」に拡大、高所得の後期高齢者は窓口負担2割

2020.12.16.(水)

紹介状なし患者の特別負担徴収義務を、一般病床200床以上の「紹介患者への外来を基本とする医療機関」に拡大。また当該患者では保険給付を一部控除し、その分を特別負担に上乗せ徴収することとする―。

後期高齢者のうち「課税所得28万円以上(所得上位30%)および年収200万円以上(単身世帯の場合、複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)」の人では、医療機関・薬局の自己負担(窓口負担)を2割に引き上げる―。

12月14日の全世代型社会保障検討会議でこうした方針が固められ、翌15日に閣議決定されました(首相官邸のサイトはこちら)。年明けの通常国会に健康保険法等(健康保険法、国民健康保険法、高齢者医療確保法など)改正案として上程されます。

紹介状なしに大病院受診する場合、保険給付の一部を控除し、特別負担に上乗せ

Gem Medでお伝えしてきたように、全世代型社会保障検討会議では▼紹介状なし患者の定額負担徴収義務の拡大▼後期高齢者の医療機関等窓口負担の引き上げ―などの医療保険制度改革案を固め、社会保障審議会等に詳細を詰めるよう指示していました。

2022年度から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度にはすべてが後期高齢者となります。その後、2040年度にかけて現役世代人口が急激に減少することから、今後「医療制度の財政基盤」が極めて脆くなっていくことを踏まえ、「効率的な医療提供体制の確保」「負担の公平性確保」などが重要な視点となるためです。

前者の「紹介状なし患者の定額負担徴収義務の拡大」については、社会保障審議会・医療保険部会や医療計画の見直し等に関する検討会において、次のような考え方が取りまとめられ、全世代型社会保障検討会議がこれを了承した格好です(関連記事はこちらこちら)。

▽徴収義務対象病院を、一般病床200床以上の「紹介患者への外来を基本とする医療機関」に拡大する

特別負担徴収義務を拡大していく方向そのものに異論は出ていない(医療保険部会(1)1 201126)



▽より外来機能の分化の実効性が上がるよう、保険給付の範囲から一定額(例えば初診の場合には2000円程度)を控除し、それと同額以上の定額負担を追加的に求める

特別負担額を引き上げ、初・再診料相当額を保険から控除する方向が示されている(医療保険部会 201202)



「紹介患者への外来を基本とする医療機関」の詳細は、今後詰めることになりますが、これまでに次のような枠組みによって「地域で明確化」することが決まっています。

▼「一般病床・療養病床を持つ病院・有床診療所」は、都道府県に「外来診療に係るデータ」を毎年報告する【外来機能報告制度】

▼提出された外来診療データをもとに、各地域で「紹介患者への外来を基本とする医療機関」(「医療資源を重点的に活用する外来」を基幹的に担う医療機関)を明確化する

「医療資源を重点的に活用する外来」とは、例えば(1)医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来(「手術や麻酔を算定する患者が、術前の説明・検査、術後フォローアップを外来で受ける場合」など)(2)高額等の医療機器・設備を必要とする外来(外来化学療法加算や外来放射線治療加算を算定する場合など)(3)紹介患者に対する外来(診療情報提供料Iを算定後30日以内に別医療機関を受診した場合の、当該「別医療機関」など)―が想定されており、「外来患者に占める、これら(1)(2)(3)の患者割合が●%以上」の病院を「紹介患者への外来を基本とする医療機関」と設定する方向が固まってきています。

もっとも、これらの基準値等は各地域で実情を踏まえて設定されることとなり(国は「目安」として示す)、また基準値をクリアした病院が機械的に「紹介患者への外来を基本とする医療機関」に指定されるわけではなく、病院サイドの「手上げ」が基本となります。



また、特別負担(定額負担)の金額については「保険からの控除分を上乗せする」こととなり、初診では7000円、再診では3000円程度になると想定されています。

「かかりつけ医からの紹介を経て大病院を受診する」場合には、かかりつけ医等で一定の検査等が行われており、大病院での「検査の二度手間」を省くことができます。にもかかわらず敢えて直接大病院を受診する患者では、こうした効率化がなされないことから、「その分を保険給付から除外する」というイメージです。もっとも、「かかりつけ医からの紹介」ルートで受診すれば、こうした「保険からの控除」や「特別負担(定額負担)」は生じないため、患者のアクセスを過度に制限することにはならないと考えられます。

金額設定や、問題視されている「再診における逆紹介の推進」などについては、今後、中央社会保険医療協議会で詰めていくことになるでしょう。

後期高齢者の医療機関窓口負担引き上げは政治決着

また「後期高齢者の医療機関等窓口負担の引き上げ」については、一定以上の所得がある後期高齢者には「2割負担をお願いする」方向そのものは固まったものの、「一定以上の所得」をどう考えるか(基準値)で議論が紛糾していました。

基準値を高く設定すれば、後期高齢者への影響は小さくなりますが、医療保険財政・現役世代負担の軽減効果も小さくなってしまいます。一方、現役世代等の負担軽減効果を重視して基準値を低く設定すれば、負担増となる後期高齢者が多くなってしまいます。

医療保険部会では結論が出ず(関連記事はこちらこちら)、最終的に与党内の政治決着となり、「課税所得28万円以上(所得上位30%)および年収200万円以上(単身世帯の場合、複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)の後期高齢者について、医療機関や薬局の窓口負担割合を2割に引き上げる」こととなりました。

施行時期は「2022年度後半」とされ、具体的には政令で決定されます。また、長期・頻回に医療機関を受診する患者では、負担増の影響が大きくなることから、「施行後3年間、1か月分の負担増が最大でも3000円に収まる」ような配慮措置も設けられます(医療保険部会では「最大4500円増」にとどまる仕組みが提案されたが、さらに強い配慮措置をとる)。



このほか全世代型社会保障検討会議では、「不妊治療について2022年度当初から保険適用することとし、それまでの間は助成制度を拡充する」方針なども固めました。こちらも2022年度の次期診療報酬改定に向けて中央社会保険医療協議会で議論されることになるでしょう。

不妊治療の保険適用スケジュール(全世代型社会保障検討会議 201214)

ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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