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診療報酬改定セミナー2022 新型コロナ対策

メトトレキサートの多発性筋炎等治療、ヒスロン錠やフェマーラ錠の子宮内膜間質肉腫治療を認める―支払基金・厚労省

2021.10.1.(金)

ハンセン病治療薬の「クロファジミン」について、▼Mycobacterium abscessus症▼多剤耐性結核―に対する投与を審査上認める―。

乳がん等治療薬の「メドロキシプロゲステロン酢酸エステル」、閉経後乳がん治療薬の「メドロキシプロゲステロン酢酸エステル」(について、「子宮内膜間質肉腫(ただし、低異型度子宮内膜間質肉腫に限る)」に対する投与を審査上認める―。

関節リウマチや白血病等の治療に用いる「メトトレキサート」を、「多発性筋炎・皮膚筋炎」に対して投与することを審査上認める―。

こうした審査情報を社会保険診療報酬支払基金(支払基金)が9月27日に公表しました(支払基金の審査情報提供サイトはこちら(ページの最終部分(p391-p409)に、今回の事例が追加された))。厚生労働省も同日に、事務連絡「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」を示しています。

薬理作用等に照らし、審査における「医薬品使用の柔軟な取扱い」を一定程度認める

保険診療においては、医薬品が使用できる傷病は「薬事・食品衛生審議会(薬食審)で有効性・安全性が認められたもの」に限定されています。無制限に医薬品使用(適応外使用)を認めたのでは医療費の高騰・医療費財源の不適切な配分につながることはもとより、何より「医療安全の確保」ができなくなってしまうためです。したがって、「適応外使用」が行われた場合には、一連の診療はすべて自由診療となり「全額自己負担」となるのが原則です(混合診療の禁止)。

しかし医療現場では、「医学的・薬学的知見に照らし、薬食審で認められていない傷病にも一定の効果がある」と強く推測されるケースがあります。こうした場合には、例外的にレセプト審査において一定の柔軟な対応(適応外使用であっても保険診療と扱うことを認める)がなされることがあります(いわゆる「55年通知」(旧厚生省保険局長による1980年(昭和55年)発出の通知)に基づく適応外使用など)。

もっとも、こうした例外的な取り扱いを野放図に認めれば「全国一律の診療報酬」の原則に反します。現に、地方独自の審査ルール(都道府県ルール、例えば「山間部などでは冬期に高齢者の通院が困難になるので、薬剤の1回処方量を多くすることを認める」「地域によって、疾患別リハビリテーションを1日6単位までしか認めない(診療報酬点数上は9単位まで算定可能)」など)が存在しており、是正に向けた取り組みも進められています。また「審査の透明性」という面でも大きな問題があります(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

そこで支払基金では、こうした「例外的な取り扱い」に関する審査ルールを明確にし、適宜、医療関係者らに情報提供しています支払基金の審査情報提供サイトはこちら(ページの最終部分(p391-p409)に、今回の事例が追加された))。

チエナム点滴静注用などをMycobacterium abscessus症治療に用いること認める

今般、支払基金は次の7つの審査ルールを明確にしました。

(1)「イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム」(注射薬)(主な製品名:▽チエナム点滴静注用0.5g▽チエナム点滴静注用キット0.5g 、ほか後発品あり)について、「Mycobacterium abscessusにかかる肺非結核性抗酸菌症」に対する投与を審査上認める

(2)「クロファジミン」(製品名:ランプレンカプセル50mg)について、「Mycobacterium abscessus症」に対する投与を審査上認める

(3)「クロファジミン」(製品名:ランプレンカプセル50mg)について、「多剤耐性結核」に対する投与を審査上認める

(4)「メドロキシプロゲステロン酢酸エステル」(主な製品名:▽ヒスロン錠5▽プロペラ錠、ほか後発品あり)について、「子宮内膜間質肉腫(ただし、低異型度子宮内膜間質肉腫に限る)」に対する投与を審査上認める

(5)「レトロゾール」(主な製品名:▽フェマーラ錠、ほか後発品多数)について、「子宮内膜間質肉腫(ただし、低異型度子宮内膜間質肉腫に限る)」に対する投与を審査上認める

(6)「メトトレキサート」(主な製品名:▽メソトレキセート錠2.5mg▽リウマトレックスカプセル2mg、ほか後発品多数)について、「多発性筋炎・皮膚筋炎」に対する投与を審査上認める

(7)「シクロホスファミド水和物」(注射薬)(製品名:▽注射用エンドキサン100mg▽同500mg—)について、「血縁者間同種造血細胞移植(HLA半合致移植)における移植片対宿主病の抑制」に対する投与を審査上認める



まず(1)の「イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム」(注射薬)(主な製品名:▽チエナム点滴静注用0.5g▽チエナム点滴静注用キット0.5g 、ほか後発品あり)は、抗菌剤として「外傷・熱傷・手術創等の2次感染」や「骨髄炎」治療などに用いることが認められています。今般、「薬理作用(殺菌作用)が同様で、妥当と推定される」として、「「Mycobacterium abscessusにかかる肺非結核性抗酸菌症」に対する投与が審査上認められることになりました。

この場合、次にように使用することが求められます。
▽用法・用量
▼通常、成人には1回0.5-1.0g(力価)を1日2-3回、30分以上かけて点滴静脈内注射する
▼小児には、1日に体重1kg当たり30-80mg(力価)を3-4回に分割し、30分以上かけて点滴静脈内注射する
▼年齢・症状に応じて適宜増減するが、重症・難治性感染症の場合には、1日▼成人で3g(力価)▼小児で100mg(力価)―まで増量できるが、小児の場合には「成人量」を超えないこと
▼投与期間は90日を上限とする
▼単剤治療は行わず、「アミカシン」「クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン」「アミカシン+クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン」のいずれかと併用投与する
▽日本結核病学会の「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」、日本感染症学会・日本化学療法学会の呼吸器感染症治療ガイドラインに準拠して「Mycobacterium abscessus症」 と診断された患者に投与する
▽迅速発育菌用の薬剤感受性検査で「感受性」を判定された場合にのみ投与する

ランプレンカプセルをMycobacterium abscessus症・多剤耐性結核治療に用いること認める

また(2)(3)の「クロファジミン」(製品名:ランプレンカプセル50mg)はハンセン病治療に対する効能・効果が認められていますが、今般、「薬理作用(抗菌作用)が同様で、妥当と推定される」として、▼Mycobacterium abscessus症▼多剤耐性結核―に対する投与が審査上認められることとなったものです。

この場合の用法・用量などは次のように設定されました(Mycobacterium abscessus症の治療に用いる場合は【A】、多剤耐性結核の治療に用いる場合は【B】、いずれにも共通する場合には【C】とする)

▽用法・用量:通常、成人には100mgを、小児には体重1kg当たり2-3mg(上限100mg)を、1日1回、食直後に経口投与する【C】
▽本剤投与にあたり、日本結核・非結核性抗菌症学会の結核・抗酸菌症指導医にコンサルトする(【A】および、小児への投与では【B】)
▽【A】ではMycobacterium abscessus症に十分な治療経験のある医師による投薬が、【B】では多剤耐性結核患者に十分な治療経験のある医師による投薬が必要である
▽【B】では、多剤耐性結核患者と診断された患者にのみ投与し、感受性結核患者には用いるべきでない。感受性結核治療中に出現した副作用による中止薬剤の「代替薬」としての投与は行わない
▽皮膚着色について患者に説明し、十分な理解を得ることが求められる【A】
▽耐性菌発現を防ぐため、次の点に注意する【C】
▼感染症治療に十分な知識・経験を持つ医師、またはその指導の下で行う
▼原則として「他の抗菌薬」「本剤への感受性(耐性)」を確認する(【A】のみ)
▼本剤投与歴から耐性が強く疑われる場合には、有効薬剤と判断し、安易に使用しない
▼感染部位、重症度、患者状態などを考慮し、適切な時期に「本剤の継続投与が必要か否か」を判断し、疾病治療上、必要最小限の期間の投与にとどめる
▼単剤投与は行わない
▽「胃腸障害(頻回の下痢・腹痛など)のある患者」「抑うつ状態など精神疾患のある患者」「肝機能障害のある患者」「重篤な新疾患(不整脈・虚血性心疾患)のある患者」には慎重に投与する【C】
▽本剤と、QT延長を起こすことが知られる抗結核薬(ベダキリン・デラマニド・レボフロキサシンなど)とを併用する場合、QT延長作用が相加的に増加するおそれがあり、定期的に心電図検査を実施する【C】
▽小児へ投与する場合には、「過去に本剤でアレルギー症状を生じた患者には用いない」「小児への投与、副作用発現は本邦で報告がなく、本剤投与が真に利益のある場合のみ、かつ慎重に投与する」「患者・保護者に副作用、とりわけ皮膚着色などについて繰り返し説明する」「心電図検査でQTc500msec以上の患者には投与しない」「投与中は月1回心電図検査を行う」といった点に留意する【C】

ヒスロン錠など、低異型度子宮内膜間質肉腫の治療に用いることを認める

一方、(4)の「メドロキシプロゲステロン酢酸エステル」(主な製品名:▽ヒスロン錠5▽プロペラ錠、ほか後発品あり)は、乳がん・子宮体がん(内膜がん)への効能・効果が認められていますが、「薬理作用(抗エストロゲン作用および副腎・性腺系への抑制作用等による抗腫瘍作用)が同様と推定される」として、「子宮内膜間質肉腫(ただし、低異型度子宮内膜間質肉腫に限る)」に対する投与が審査上認められました。

この場合の用法・用量は、子宮体がん(内膜がん)治療に準じて、「通常、成人1日400-600mgを2-3回に分けて経口投与する」こととされました。血栓症の副作用に留意が必要です。

フェマーラ錠などを低異型度子宮内膜間質肉腫の治療に用いること認める

また、(5)の「レトロゾール」(主な製品名:▽フェマーラ錠、ほか後発品多数)は閉経後乳がんへの効能・効果が認められており、今般、「薬理作用(アロマターゼ活性を競合的に阻害することで、アンドロゲン→エストロゲン生成を阻害)が同様と推定される」として、「子宮内膜間質肉腫(ただし、低異型度子宮内膜間質肉腫に限る)」に対する投与が審査上認められました。

この場合の用法・用量は、閉経後乳がん治療に準じて、「通常、成人1日1回2.5mgを経口投与する」こととされました。副作用として▼骨粗鬆症▼脂質代謝異常(とりわけ高コレステロール血症、高中性脂肪血症)▼血栓症―に留意が必要です。

メソトレキセート錠など、多発性筋炎・皮膚筋炎の治療に用いること認める

他方、(6)の「メトトレキサート」(主な製品名:▽メソトレキセート錠2.5mg▽リウマトレックスカプセル2mg、ほか後発品多数)は関節リウマチや急性白血病等の治療に用いることが認められていますが、今般、「薬理作用(免疫担当細胞への細胞増殖抑制作用等に基づく免疫抑制作用・抗炎症作用など)が同様であり、妥当と推定される」として、「多発性筋炎・皮膚筋炎」に対する投与が審査上認められることとなりました。

この場合の用法・用量は、「通常、成人には1週間に16mgを超えない量を、1日または2日にわたって経口投与する」こととされました。なお、「本剤は関節リウマチ治療に広く使用されるが、一概に安全ではなく、とりわけ骨髄障害が致命的となりうるために、十分な配慮が必要である。『関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン』(日本リウマチ学会)などを参照して投与することが肝要である」との留意点が強調されています。

注射用エンドキサン、「造血細胞移植における移植片対宿主病の抑制」に用いること認める

さらに、(7)の「シクロホスファミド水和物」(注射薬)(製品名:▽注射用エンドキサン100mg▽同500mg—)は各種のがん治療に用いられており、今般、「薬理作用(抗腫瘍効果)が同様であり、妥当と推定される」として、「血縁者間同種造血細胞移植(HLA半合致移植)における移植片対宿主病の抑制」に対する投与が審査上認められます。

この場合の用法・用量は、「通常、成人には1日1回、体重1kgあたり50mgを2-3時間かけて点滴静注し、移植後3日目・4日目または移植後3日目・5日目の2日間投与する」こととされました。造血幹細胞移植に十分な知識・経験のある医師による使用が求められ、▼重症感染症を合併している患者には投与しない▼投与後の観察を十分に行う、感染症予防ための処置(抗感染症薬の投与など)を行う―ことが求められます(強い骨髄抑制により致命的な感染症等が発現する恐れがある)。



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