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2022年度の介護単価は若干の上昇、要介護度の「悪化」方向へのシフトが続いている点に留意を—厚労省

2023.9.29.(金)

2021年度から22年度にかけて、介護サービスの実利用者は2.2%増加しているが、累積利用者は1.6%の伸びにとどまっており、「1人当たりの利用回数」は落ち着いている—。

また2020年度から21年度にかけては、全体として「要介護度の悪化」が進んでしまっている。コロナ感染症の影響で「機能訓練やリハビリが十分に行えていない」状況なども考えられ、2021年度介護報酬改定による「ADL維持等加算が拡充」効果はまだ確認することができない―。

このような結果が、厚生労働省が9月26日に公表した2022年度の「介護給付費等実態統計」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年度(2021年度)の記事はこちら、前々年度(2020年度)の記事はこちら、2019年度の記事はこちら、2018年度の記事はこちら)。

2021年度、全体として介護サービスの利用者が増加しているが・・・

介護給付費等実態統計は、1年度分の介護レセプトをもとに、介護サービスの提供状況(利用状況)や給付費の状況などを把握するものです。2018年度から集計対象を「介護保険総合データベース(介護DB、介護レセプトと要介護認定情報を格納)のレセプトすべて」に拡大したことから、従前の抽出調査である「実態調査」に比べて各段に精度が向上しています(2018年度の実態統計に関する記事はこちら、17年度実態調査に関する記事はこちら、16年度実態調査に関する記事はこちら)。

まず受給者の状況を見てみると、2022年度の累計受給者数は6585万7700人で、前年度に比べて102万7700人・1.6%の増加(2020→21年度は2.6%の増加)となりました。

最近の累計受給者数増加率を見ると、▼2017年度→18年度:0.5%▼18→19年度:2.2%▼19→20年度:1.8%▼20→21年度:2.6%▼21年度→22年度:1.6%—となっています。新型コロナウイルス感染症が我が国でも猛威を振るっていますが、介護サービス全体で見れば「利用者の減少」などの大きな影響は出ていないことが伺えそうです(関連記事はこちら)。

また、同一人物を名寄せした実受給者数は652万4400人で、前年度に比べて14万2700人・2.2%増加しています(2020→21年度は2.6%の増加)。実受給者数の伸び率が、累計受給者数の伸び率を上回っており、「1人1人の受給者のサービス利用は減っている」ことが伺えます。背景にどのような事情があるのか調査・分析していく必要がありそうです。



サービス種類別の累計受給者数(あわせて前年度からの増減)・実受給者数(同)は次のようになりました。

▽介護予防訪問看護:▼累計受給者数124万人・3.2%増▼実受給者数16万6800人・4.4%増

▽介護予防通所リハ:▼累計30万8600人・4.4%増▼実4万2800人・4.4%増

▽介護予防支援:▼累計9 0万8900人・2.7%増▼実109万400人・3.7%増

▽訪問介護:▼累計1300万2000人・2.1%増▼実157万6800人・3.0%増

▽訪問看護:▼累計736万400人・6.6%増▼実93万5500人・7.0%増

▽通所介護:▼累計1387万4700人・1.3%増▼実162万5800人・2.6%増

▽通所リハ:▼累計497万6900人・0.2%減▼実58万9300人・0.3%増

▽短期入所生活介護:▼累計345万8200人・0.5%減▼実67万7100人・6.0%増

▽居宅介護支援:▼3481万1000人・2.0%増▼実389万5200人・2.8%増

▽小規模多機能型居宅介護(短期利用以外):▼累計123万8600人・0.3%減▼実14万7900人・0.6%増

▽認知症対応型共同生活介護(短期利用以外):▼累計255万9700人・0.4%増▼実26万9800人・1.8%増

▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護:▼累計44万3500人・9.6%増▼実5万7700人・12.0%増

▽看護小規模多機能型居宅介護(短期利用以外):▼累計23万800人・12.8%増▼実3万900人・11.8%増

▽特養ホーム(介護老人福祉施設):▼累計683万8700人・0.2%増▼実74万3500人・2.8%増

▽老健施設:▼累計418万8300人・1.3%減▼実55万3400人・0.2%増

▽介護療養型医療施設:▼累計8万9700人・40.6%減▼実1万3200人・41.2%減

▽介護医療院:▼累計51万3500人・11.5%増▼実6万8500人・11.7%増

介護予防サービス別の利用者数(2022介護給付費実態統計1 230927)

介護サービス別の利用者数1(2022介護給付費実態統計2 230927)

介護サービス別の利用者数2(2022介護給付費実態統計3 230927)



例えば「通所リハで累積利用者が減少している」など、サービス種類の一部でコロナ感染症の影響が出ているようです。

また、▼介護療養から介護医療院への転換が進んでいる▼老健施設で回転率がさらに上がっている(累計が減少し、実が増加している)▼介護予防訪問看護の伸びが依然として大きい—状況も確認できます。

介護予防訪問看護の伸び率については、「医療的ケアが必要な要支援者に対する適切サービス提供が進んでいる」のか、あるいは問題となっている「事実上の訪問リハビリステーションによる軽度者へのリハビリ提供が増加してしまっている」のか、十分に精査する必要があります。2021年度介護報酬改定で後者への手当てが行われており(関連記事はこちら)、今後の動向に注目が集まります。

全体として要介護状態の「悪化」が進む、コロナ感染症の影響など詳細分析を

次に「昨年度(2022年度)の1年間、継続してサービスを受給した人」について、昨年(2022年)4月から今年(2023年)3月にかけて要介護度がどう変化したのかを見てみましょう。

いずれの要介護度区分でも、変化のない「維持」の割合が最も多い状況に変わりはなく、7-9割程度を占めています。

また、要支援2から要介護3では「改善(軽度化)よりも悪化(重度化)の割合がはるかに高い」(悪化する人が多い)状況が続いています。これに対し要介護4では、「改善(軽度化)が悪化(重度化)を上回っている」状況が一時ありましたが(こちら)、今般の調査でも「悪化>改善」となってしまいました。例えば、コロナ禍で「重度者に対して思うにように機能改善・重度化防止に向けた取り組みが行えなかった」などの事態があるのかもしれません。継続して状況を注視していく必要があります。

なお、2021年度の介護報酬改定では、クリームスキミング防止策をとったうえで、要介護度の維持・改善度合いが高い事業所を経済的に評価する【ADL維持等加算】の評価が拡大・充実されています(関連記事はこちら)。改定の効果が徐々に現れていくと期待されています。

改善(軽度化)と悪化(重度化)の差(軽度化-重度化)を、経年的に比較してみると次のようになっています。

▽要支援2:▼17年度・マイナス17.0ポイント→▼18年度・マイナス10.9ポイント(6.1ポイント改善)→▼19年度・マイナス12.2ポイント(1.3ポイント悪化)→▼20年度・マイナス11.1ポイント(1.1ポイント改善)→▼21年度:マイナス12.9ポイント(1.8ポイント悪化)→▼22年度:マイナス13.6ポイント(0.7ポイント悪化)

▽要介護1:▼17年度・マイナス22.0ポイント→▼18年度・マイナス20.6ポイント(1.4ポイント改善)→▼19年度・マイナス21.6ポイント(1.0ポイント悪化)→▼20年度・マイナス15.6(6.0ポイント改善)→▼21年度:マイナス18.6ポイント(3.0ポイント悪化)→▼22年度:マイナス20.0ポイント(1.4ポイント悪化)

▽要介護2:▼17年度・マイナス10.5ポイント→▼18年度・マイナス10.0ポイント(0.5ポイント改善)→▼19年度・マイナス10.4ポイント(0.4ポイント悪化)→▼20年度・マイナス9.4ポイント(1.0ポイント改善)→▼21年度:マイナス11.6ポイント(2.2ポイント悪化)→▼22年度:マイナス12.3ポイント(0.7ポイント悪化)

▽要介護3:▼17年度・マイナス8.6ポイント→▼18年度・マイナス8.3ポイント(0.3ポイント改善)→▼19年度・マイナス8.8ポイント(0.5ポイント悪化)→▼20年度・マイナス6.1ポイント(2.7ポイント改善)→▼21年度:マイナス9.3ポイント(3.2ポイント悪化)→▼22年度:マイナス9.8ポイント(0.5ポイント悪化)

▽要介護4:▼17年度・マイナス0.4ポイント→▼18年度・プラス0.1ポイント(0.5ポイント改善)→▼19年度・マイナス0.3ポイント(0.4ポイント悪化)→▼20年度・プラス0.9ポイント(0.6ポイント改善)→▼21年度:マイナス0.8ポイント(1.7ポイント悪化)→▼22年度:マイナス0.9ポイント(0.1ポイント悪化)

要介護度の悪化・改善度合い(2022介護給付費実態統計9 230927)



また、要支援1から重度化した人の割合は、▼17年度:35.5%→▼18年度:24.1%(11.4ポイント改善)→▼19年度:29.2%(5.1ポイント悪化)→▼20年度:19.8%(9.4ポイント改善)→▼21年度:23.0%(3.2ポイント悪化)→▼22年度:22.5%(0.5ポイント改善)となりました。さらに要介護5からの軽度化割合は、▼17年度:11.3%→▼18年度:11.5%(0.2ポイント改善)→▼19年度:11.7%(0.2ポイント改善)→▼20年度:6.0%(5.7ポイント悪化)→▼21年度:8.3%(2.3ポイント改善)→▼22年度:9.0%(0.7ポイント改善)となっています。

2021年度から22年度にかけて「要介護5からの改善」「要支援2からの悪化」を除き、「要介護状態が悪化してしまう方向にシフトしている」ようです。上述のように、改善インセンティブの強化(ADL維持等加算の評価拡充)の効果が徐々に現れてくることに期待が集まります。

利用者1人当たりの「単価」、要介護者では全サービス平均で20万3100円に上昇

次に受給者1人当たりの費用額に目を移すと、2023年4月審査分(2023年3月のサービス提供分)では、▼介護予防サービス:2万7900円(前年同期比100円増)▼介護サービス:20万3100円(同3500円増)―となりました。



サービス種類別に見ると、次のような状況です。

▽介護予防訪問看護:3万2400円(前年同期比200円減)

▽介護予防支援:4700円(同増減なし)

▽訪問介護:8万8100円(前年比3200円増)

▽訪問看護:5万800円(同300円増)

▽訪問リハ:4万2000円(同700円増)

▽通所介護:9万6900円(同1500円増)

▽通所リハ:8万1600円(同1600円増)

▽短期入所生活介護:12万1700円(同4000円減)

▽居宅介護支援:1万5200円(同100円増)

▽短期利用以外の特定施設入居者生活介護:22万7800円(同1700円増)

▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護:18万4300円(同5100円増)

▽短期利用以外の小規模多機能型居宅介護:22万4000円(同5700円増)

▽短期利用以外の看護小規模多機能型居宅介護:29万4500円(同7600円増)

▽特養ホーム:30万3200円(同4300円増)

▽老健施設:32万6100円(同3200円増)

▽介護療養型医療施設:35万3600円(同2500円減)

▽介護医療院:40万8600円(同1800円増)

介護予防サービス別の1人当たり介護費1(2022介護給付費実態統計4 230927)

介護サービス別の1人当たり介護費1(2022介護給付費実態統計5 230927)

介護サービス別の1人当たり介護費2(2022介護給付費実態統計6 230927)



全体として「費用増」が目立ちます。「コロナ感染症への対応が進んだこと」「コロナ感染症を踏まえた介護報酬臨時特例が設けられていること」「2021年度介護報酬改定」「加算の算定状況」「利用者の要介護度の状況の変化(重度者が増えたのか、軽度者が増えたのか)」など、さまざまな切り口での詳細な分析が必要です。

介護単価、最高は鳥取県22万3700円、最低は埼玉県19万2200円、依然として西高東低

受給者1人当たり費用額(1人当たり単価)を都道府県別に比較すると、介護サービスでは、鳥取県が22万3700円(前年同期から3100円増)でトップ。第2位が石川県(21万6100円、同3100円増)、沖縄県(21万6100円、前年同期から3500円増)となっています。

逆に、最も低いのは埼玉県の19万2200円(前年同期から2400円増)、次いで北海道(19万4100円、前年同期から4100円増)、福島県(19万4100円、同2100円増)となっています。

最高の鳥取県と最低の埼玉県との間には1.16倍の格差があります(前年同期から増減なし)。また、医療と同様に「西高東低」の傾向があることも一目瞭然です。

都道府県別の1人当たり介護費1(2022介護給付費実態統計7 230927)

都道府県別の1人当たり介護費2(2022介護給付費実態統計8 230927)

介護医療院、老健、特養ホームで機能は一定程度異なっている、室料負担をどう考えるか

さらに、「2023年4月審査分」(2023年3月サービス提供分)のレセプトからサービス利用状況を見てみると、次のような状況が分かります。2021年度には介護報酬改定が行われましたが、従前と類似の傾向が見られます。

▽訪問介護の内容類型は、要介護度が高くなるにつれ「身体介護」の利用度合いが高くなる(従前と同様の傾向)

▽地域密着型サービスでは、サービスの種類によって利用者の要介護度が大きく異なり、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護では飛び抜けて要介護4・5が多く、夜間対応型訪問介護や地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用以外)、看護小規模多機能型居宅介護(短期利用以外)で要介護4・5が比較的多い(従前と同様の傾向)

地域密着型サービス別の要介護度(2022介護給付費実態統計10 230927)



▽施設サービスにおける「要介護4・5の割合」はサービス種類別に異なっており、▼介護療養:86.9%(前年度に比べて0.2ポイント上昇)▼介護医療院:83.7%(同増減なし)▼特養ホーム:70.3%(同0.3ポイント上昇)▼老健施設:44.5%(同0.4ポイント上昇)―という状況である(前年度から若干の増減があるが、誤差の範囲と見ることもできる)

施設別の要介護度(2022介護給付費実態統計11 230927)



▽施設入所者の1人当たり費用額(つまり単価)は、概ね「特養ホーム<老健施設<介護療養<介護医療院」となっている(従前と同様の傾向)。

施設別の1人当たり介護費(2022介護給付費実態統計12 230927)



介護医療院や介護療養は「要介護度が高く、かつ医療必要度が高い入所者の受け入れ施設」、特養ホームは「要介護度が高い入所者の『終の棲家』機能を持つ施設」、老健施設は「比較的要介護度が低い人向けの在宅復帰促進施設」という機能分担が進んでいると見ることができるでしょう。この点、介護医療院・老健施設においても「多床室の利用者に室料負担を求めるべきか」が2024年度介護報酬改定における論点の1つとなっています。各施設の機能を見ながら「室料負担の在り方」を考えていく必要があるでしょう(関連記事はこちら)。



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