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2024年4月1日から、全国の医療機関の機能等を検索できる医療情報ネット「ナビイ」を厚労省が運用開始—医療機能情報提供制度等分科会(2)

2024.3.27.(水)

現在、都道府県単位で運用されている「医療機能情報提供制度」について、この4月(2024年4月)1日から全国統一システムとし、全国の医療機関の機能等を検索可能とする。愛称は医療情報ネット「ナビイ」とする—。

「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」をバージョンアップし(第4版)、例えば、「糖尿病治療薬を用いたダイエット」などは不適切な医療広告であることを明確化するとともに、動画やSNSにも不適切な内容が含まれることを明確化する—。

3月25日に開催された「医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会」(以下、分科会)では、こうした議論も行われました(専門医資格の広告に関する議論の記事はこちら)。

3月25日に開催された「第3回 医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会」

具合が悪くなった際にまず受診すべき「かかりつけ医機能を持つ医療機関」選択も将来可能

医療機能情報提供制度は、国民が医療機関を適切に選択できることを目指し、医療機関等(▼病院▼診療所▼歯科診療所▼助産所―)に対し、自院の持つ機能を毎年度、都道府県に報告することを義務付けるものです(2007年度からスタート)。都道府県では報告された情報を整理して、ホームページ上で公開しています(厚労省のサイトはこちら(各都道府県のホームページに飛ぶことができる)
医療情報提供内容検討会(2)の1 180912



国民に詳細な医療機関情報を提供する優れた取り組みですが、残念ながら「利用が少ない」のです。その背景には「都道府県が独自に情報公開を行っているために、例えば県境の居住者が利用しにくい」などの問題点があることから、「2024年度から全国統一システムに移行する」ことが決まっています。

3月25日の分科会では、この全国統一システムについて「4月1日からスタートする」「愛称を医療情報ネット『ナビイ』とする」ことなどが厚生労働省から報告されました(国民から寄せられた479件の提案も参考に「ナビイ」の愛称を決定)。

「ナビイ」の周知に向け、厚労省はパンフレットやポスターを作成、全国の医療機関や薬局などに配置・掲示。地域住民が「どの医療機関にかかればよいか」を選択しやすい環境を整えます。

医療情報ネット「ナビイ」(医療機能情報提供制度等分科会(2)1 240325)



また、現在「かかりつけ医機能報告」制度の2025年春スタートに向けた議論も進められており、その検討結果も踏まえて「ナビイ」の中に「どの医療機関がかかりつけ医機能を持つか」かという情報も掲載されていきます。具合が悪くなった際に、いきなり大病院を受診するのではなく、まず「かかりつけ医機能を持つ医療機関」を受診することが求められすが、「まずどこの医療機関にかかればよいか」という情報を「ナビイ」で得ることが可能となります(関連記事はこちらこちら)。

また「ナビイ」では、「高齢者、小児患者、障害を持つ患者への対応(バリアフリー構造、手話対応、在宅医療実施など)をしっかり行っている医療機関」の検索なども可能となります(関連記事はこちら)。

GLP-1製剤に関する広告で「痩せホルモン」等の記載は違反である旨をより明確化

医療に関しては「不適切な広告が巷に溢れれば、国民・患者の健康・生命に取り返しのつかない被害が出かねない」ことから、医療機関が広告可能な事項は「限定」列挙されています。具体的には、広告可能告示(「医療法第六条の五第一項及び第六条の七第一項の規定に基づく医業、歯科医業若しくは 助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」)で「広告して良い」と明示された事項以外を広告することは許されません。

ただし、医療機関のホームページやSNSについては、「医療機関選択の際に、患者が能動的に(自分から)情報にアクセスする」という特性があることから、一定の要件(医療機関連絡先を掲載する、治療内容・費用などを分かりやすく提示するなど)を満たした場合には「限定事項」以外の内容を広告することも認められています(限定解除)。

厚労省は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)を示し、「どういったケースが不適切な広告に該当するのか」を明らかにしていますが、「不適切なホームページ等」が後を絶たないことも事実です(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

この背景の1つに「ガイドラインの解釈に幅がある」(個々のケースについて、ある人はガイドラインに合致していると考え、別の人はガイドライン違反であると考えるなど)、「不適切とされた広告をどう改善すれば適切になるのかが十分に理解されていない」という点もあります。

そこで厚労省は「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」を作成し、具体的な解釈を提示(関連記事はこちら)し、それを充実してきています(関連記事はこちらこちら)。

さらに今般、次のような点を盛り込んだ「第4版」を作成することとなりました。

▽GLP-1製剤に関する広告において、「痩せホルモン」といった表記や、以前から2型糖尿病で保険適用の薬をあたかも初めて保険適用になったかのような表記が見受けられるが、「誇大広告に相当する」ことを明示

誇大広告の事例追加(医療機能情報提供制度等分科会(2)2 240325)



▽オンライン診療に関する広告において、本来医師の診察や処方箋交付を経て処方される処方箋医薬品等が「どの患者でも必ず受け取れる」かのような期待感を抱かせてるケースが散見されるが、「誇大広告に相当」することを明示

誇大広告の事例追加(医療機能情報提供制度等分科会(2)3 240325)



▽SNS特有の事例として「他者の投稿を引用」して、自院のサービス等の体験談を紹介しているケースも見受けられるが、それも「違反に相当する」ことを明示
→あわせてSNSにおいても違反が散見されることから、動画における広告形態の違反例や改善例などを記載

SNSの不適切広告事例追加(医療機能情報提供制度等分科会(2)4 240325)

SNSの不適切広告事例追加(医療機能情報提供制度等分科会(2)5 240325)



▽動画においても違反が散見されることから、動画における広告形態の違反例や改善例などを記載

動画を用いた不適切広告事例追加(医療機能情報提供制度等分科会(2)6 240325)



分科会の森隆夫構成員(日本精神科病院協会副会長)は、医療広告の多くはWEBサイト作成業者に一任することも多いが「業者がやったこと、我々(医療機関)は知らない」と言い逃れすることは許されないと、厳しい姿勢で違反広告に臨むよう厚労省に強く要請しています。厚労省は近く解説書(第4版)を公表しますが、自由診療を行う医療機関だけでなく、保険医療機関においても「自院の情報を広くホームページ等で提供する」ことが多くなっているため、不適切な情報提供を自ら避けるためにも事例解説書を周知し、その内容を改善・充実していくことが重要です。



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