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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

医師偏在の是正に向けて、例えば新専門医の「マッチング」などを考えてはどうか―日病・堺会長

2016.7.25.(月)

 2018年度からの第7次医療計画策定に向けた検討が進んでおり、その中では「医師確保・偏在是正策」も重要なテーマとなる。偏在是正に向けた方策の一つとして、例えば新専門医制度について初期臨床研修で行われているような「マッチング」の導入を検討してはどうか―。

 日本病院会の堺常雄会長は、25日に開いた定例記者会見の席でこのような考えを披露しました。

7月25日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

7月25日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

新専門医制度、地域・領域別の定数を設定し、専攻医と病院のマッチングをしてはどうか

 2018年度から期間を6年とする第7次医療計画がスタートします。現在、計画作成指針(都道府県が計画を作成るにあたっての拠り所となる)の策定に向けた議論が、厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」で進められています。15日の検討会では「医師確保・偏在是正策」が検討テーマの一つとして取り上げられました(関連記事はこちらこちら)。

 偏在是正については、同じく厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」や、その下部組織である「医師需給分科会」でも集中的な議論が進められる見込みで、中間とりまとめには、「十分ある診療科の診療所の開設については、保険医の配置・定数の設定や、自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討する」といった規制的手法の導入についても言及されています(関連記事はこちら)。

 この点について日病役員の間でも「ある程度の規制的な手法を我々(病院団体)が提案する必要があるのではないか」という意見が少なからず出ていることが、25日の定例記者会見の席で堺会長から報告されました。

 もっとも堺会長は「個人的には規制的手法は好きでない」とした上で、例えば新専門医制度においても、初期臨床研修制度のような「マッチング」システムを導入してはどうかとの考えを明らかにしました。具体的には、「地域医療構想から地域で必要な医師数を導き出し、それに見合った形で区域別・診療領域別などの専攻医定数を設定する。その上で、専門医を希望する医師と専門医養成病院・施設との間で『マッチング』を行う」というものです。

 マッチングとは、「研修希望者」と「研修病院の研修プログラム」とを、研修希望者・病院の希望を踏まえて、一定の規則(アルゴリズム)に従ってコンピュータで組み合わせるシステムのことです。大学病院や学会サイドの中には「マッチングによって初期臨床研修医が大学病院から離れてしまった」との意見もあるようですが、堺会長は「そのようなことは決してない」と断言。「都市集中をある程度コントロールできる」と見通しています。

 

 また医療計画の見直しに向けてCT・MRIなどの医療機器配置についても議論になっていますが(関連記事はこちら)、堺会長は、「例えば自分の家族が脳卒中で倒れた際、CTなどの配置がある病院と、ない病院があれば、誰しも前者を選ぶのではないか。CT・MRIの配置と医療の質の関係について、我々(病院団体)がデータを出さなければいけないと感じている」と指摘。ただし、具体的にどのようなデータを揃えるかについては「難しい。四病院団体協議会や日本病院団体協議会で検討することになるかもしれない」と述べるに止めています。

 さらにCT・MRI配置論議の裏には「医療費適正化」があるのではないかとし、高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)に規定される「都道府県別の診療報酬設定の特例」(法第14条)の動きなどにも注意する必要があるとの考えを述べています。

地域医療構想の実現に向け、各地域が「大学へのデータ分析依頼」などの努力をすべき

 ところで、地域医療構想の策定が各都道府県で進められていますが、その進捗状況には大きな差があります。また構想を実現するための「地域医療調整会議」の設置・運営にも大きな地域格差が出ると見られています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 この点について堺会長は、「例えば大阪府では、『医師会』『病院団体』『府』が合同で勉強会を開いたり、地域のデータを大阪大学に依頼して分析してもらったり、連携に向けた努力をしている。しかし地域によっては、『医師会』と『県』の仲は良いが、『病院団体』とはあまり上手くいっていないというところもある。連携に向けた努力が必要である。以前から述べているが、大学の医学部だけでなく『経営学部』などとも連携することを考えるべき」と強調します。

 さらに「2025年は先のことであると悠長なことを言っている人もいるが、最終的には医療計画と地域医療構想は一体化されるものであり、すでに医療計画の議論は始まっている。悠長に構えず、緊張感をもって議論していく必要がある」と訴えました。

 

 なお、青森県や岐阜県では地域医療構想の中に具体的な病院名を出して合併・統合に関する記述がなされており、実効性が高いと見られていますが、その一方で曖昧な記述にとどまっているところもあります(関連記事はこちら)。この点について堺会長は、「自治体病院の合併・統合構想については、首長や議会(とくに吸収・廃止される側)が反対するケースが少なくない。これは各都道府県で生じるのではないか」と見通し、こういう目的で地域住民のために機能分化・合併・統合を行っていくということを病院側もきちんと情報提供することが重要ではないかと述べています。

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