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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

都市部での特養整備に向け、民間から土地・建物を賃借した特養開設が可能に―厚労省

2016.7.28.(木)

 都市部での特別養護老人ホーム整備を進めるため、一定の要件を満たす社会福祉法人については、「民間事業者などから土地・建物の貸与を受けて特養ホームを設置する」ことを認める―。

 厚生労働省は、27日に発出した通知「国又は地方公共団体以外の者から不動産の貸与を受けて既設法人がサテライト型居住施設である地域密着型特別養護老人ホーム以外の特別養護老人ホームを設置する場合の要件緩和について」の中で、こうした内容を明らかにしました。ただし、施設整備を行っても「そこに従事する介護職を確保できない」という極めて重大な課題は解決しておらず、この点に対する効果的な施策が切望されています(関連記事はこちら)。

安定した特養運営が必要なため、特養の開設実績や資産状況などを勘案

 「終の棲家」とも称される特養ホームについては、継続的な事業運営を確保するために、土地・建物のいずれについても、▽ホームを開設する社会福祉法人が所有している▽国あるいは自治体から貸与・使用許可を受けている―ことが原則です。

 ただし、サテライト型居住施設である地域密着型特養ホームについては、この原則が緩和され、土地・建物のすべてについて、国・自治体以外の者(民間事業者なども含めて)から貸与を受けて経営することが可能です。「住み慣れた地域での居住を継続したい」という利用者のニーズに配慮するため、土地・建物の確保を一定程度容易にする必要があったためです。

 ところで、今後、都市部においては急速に高齢化が進行することが分かっています。戦後の復興期に、地方から都市部に集団就職したいわゆる団塊の世代が後期高齢者となるためですが、この点を考慮すれば、都市部において特養ホームを整備する必要性が急速に高まっています。しかし、都市部で特養ホーム建設のための土地や建物を確保することは容易ではなく、さらに「社会福祉法人、国、自治体の所有」という縛りがあるため、土地・建物確保はさらに困難を極めます。

 そこで安倍晋三内閣の下に設置された「一億総活躍国民会議」では、原則(規制)の緩和を行う方針を打ち出し、今般、厚労省が緩和内容を固めたものです。具体的には、次のような緩和が行われました(関連記事はこちら)。

◆以下の要件を満たす社会福祉法人については、国・自治体以外から土地・建物の貸与を受けて特養ホームを整備することを認める

▽特養ホームを設置しようとする地域が都市部地域である(人口集中地区で今後、人口増が見込まれるなど、特養ホーム整備の必要性が高いが、土地取得が困難と市区町村が認める地域)

▽既存の社会福祉法人である

▽特養ホームの建物について、国・自治体以外の者から貸与を受けている施設の定員合計数が、当該社会福祉法人の設置する全人所施設の定員合計数の2分の1以下である

▽当該都道府県・隣接都道府県において、既に当該社会福祉法人が他の特養ホームを経営している

▽貸与を受けた不動産について、特養ホーム経営に必要な期間(30年以上)の地上権・賃借権を設定し、登記している

▽当該社会福祉法人の経営状況が安定している

▽賃借料が適正であり、安定的に賃借料を支払うための財源として1000万円以上の資産(現預金または確実な有価証券に限る)を確保している

▽賃借料とその財源が予算書に適正に計上され、当該社会福祉法人が賃借料を長期にわたって安定的に支払うことが可能と認められる

 

 また、建て替えのために一時的に土地・建物の貸与を受けて特養ホームを経営する場合、老朽化による移転に伴って土地・建物の貸与を受けて特養ホームを経営する場合には、上記要件の一部がさらに緩和されます。

 

 なお、この要件緩和にあわせて、地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養ホーム)のサテライト型居住施設に併設する老人短期入所施設についても、同様の要件緩和が行われています。

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