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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

キャリアパス要件IIIの「資格」、事業所が独自に設けたものでもよい―2017年度介護報酬改定Q&A

2017.3.22.(水)

 2017年度の臨時介護報酬改定で新設された、新たな「介護職員処遇改善加算」(新加算I)について、キャリアパス要件IIIの「資格」は、介護福祉士や実務者研修修了者などが想定されるが、事業所などで独自に設けた資格(資格取得要件の明文化が必要)であってもよい―。

 厚生労働省は16日に、事務連絡「『平成29年度介護報酬改定に関するQ&A(平成29年3月16日)』の送付について」で、こうした点を明らかにしています。

キャリアパス要件III、経験・資格・評価を組み合わせた仕組みでもよい

 2017年度の臨時改定で、介護職員処遇改善加算に新加算I(従前の加算Iなどは順次、II以下へ)が創設され、4月から算定可能となります。従前の加算Iの要件に加えて、▼さらに月額1万円相当の処遇改善を行う▼キャリアパス要件IIIを満たす―ことが取得のための要件となります(関連記事はこちらこちらこちら)。

キャリアパス要件IIIは、事業所において1)経験年数(2)資格(3)事業所内での評価―のいずれかに基づく昇給を行っていること、などと設定される

キャリアパス要件IIIは、事業所において1)経験年数(2)資格(3)事業所内での評価―のいずれかに基づく昇給を行っていること、などと設定される

 キャリアパス要件IIIとは、次の(1)から(3)のいずれかに該当した場合に昇給する、もしくは昇給を判定する仕組みのことで、内容を就業規則などの書面で整備し、全介護職員に周知していることが必要となります。

(1)経験に応じて昇給する仕組み:▽勤続年数▽経験年数―などに応じて昇給する仕組み

(2)資格などに応じて昇給する仕組み:▽介護福祉士▽実務者研修修了者―などの取得に応じて昇給する仕組み(ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることが必要)

(3)一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み:▽実技試験▽人事評価―などの結果に基づき昇給する仕組み(ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることが必要)

 

 このキャリアパス要件IIIについて厚労省は、今般の事務連絡の中で次のような点を明確にしました。

▼キャリアパス要件Iでは、職位・職責・職務内容などに応じた任用要件と賃金体系を要件としており、昇給内容の規定は不要である。一方、キャリアパス要件IIIでは、経験・資格・評価に基づく「昇給の仕組み」を設けることが要件となっている

▼昇給方法として「基本給による賃金改善」が望ましいが、手当・賞与などでもよい

▼昇給の仕組みについては、「非常勤職員を含め、当該事業所や法人に雇用される全介護職員が対象となり得る」ものであることが必要。派遣労働者であっても、派遣元と相談の上、介護職員処遇改善加算の対象とし、派遣料金の値上げ分などに充てることは可能であり、この場合、計画書・実績報告書は、派遣労働者を含めて作成する(キャリアパス要件IIIでも同様)

▼経験・資格・評価(上記(1)-(3))を組み合わせた仕組みとすることが可能である

▼(2)の資格には、「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などが想定されるが、例えば、事業所などで独自の資格を設け、その取得に応じて昇給する仕組みを設ける場合も要件を満たし得る(ただし資格取得要件が明文化されているなど、客観的に明らかとなっていることが必要)

▼(2)の資格における「介護福祉士資格を有して就業する者についても昇給が図られる仕組み」とは、例えば「介護福祉士資格の保有者が入職し、後に介護支援専門員の資格を取得した場合に、より高い基本給や手当が支給される仕組み」などが考えられる(介護福祉士がキャリアの最終段階であってはいけない)

▼(3)の一定の基準とは「客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていること」を意味し、定期については「事業所の規模や経営状況に応じて設定する」ことが可能である(ただし明文化が必要)

▼キャリアパス要件IIIを満たす昇給の仕組みによる賃金改善では加算の算定額に満たない場合でも、当該仕組みによる賃金改善を含め、基本給、手当、賞与などによる賃金改善の総額が加算の算定額を上回っていれば新加算Iの要件を満たしうる

 

 また新加算Iをこの4月(2017年度当初)から取得しようと考える事業所は、4月15日(2017年4月15日)までに計画書と添付書類を届けることが必要です。この点について厚労省は、次のような考えを示しています。

▼新加算I取得のために就業規則などの変更を行う際、役員会などの承認が間に合わない場合には、「暫定版」を4月15日までに他書類と合わせて提出することを認める(ただし内容に変更が生じた場合には、確定版を6月30日までに提出することが必要)

▼暫定版として添付した就業規則などに役員会などの承認が得られなかった場合や、内容に変更が生じ、キャリアパス要件IIIを満たさない場合には新加算Iは算定できない(変更内容が軽微で、キャリアパス要件IIIを満たせば変更届を提出せずとも新加算Iが算定可能)。ただし、加算II以下の要件を満たしていれば、変更届を提出の上、当該区分の加算を取得できる

 

 このほか、介護保険サービスと総合事業によるサービスを一体的に提供している事業所などでは「計画書や実績報告書は各1枚の提出でよい」こと、さらに地域支援事業における介護職員処遇改善加算とは別に、「市町村が介護予防訪問介護などの単価を上回らないように、介護職員以外の職員(事務職員など)を対象とする処遇改善加算を設けてもよい」ことなどが示されました。

 
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