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法定の「前払金保全措置」講じていない有料老人ホーム、53件・4.0%存在―2016年度・厚労省調査

2017.3.23.(木)

 有料老人ホームは、老人福祉法で「施設の管理者の氏名と住所」「供与する介護などの内容」などを都道府県知事に届け出る義務が定められているが、昨年(2016年)6月末時点で、1207件・9.3%の施設が定められた届け出を行っていない―。

 厚生労働省が21日に公表した、2016年度の「有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査(第8回)」結果から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちらこちら)。

 また、前払金の保全義務違反など、入所者の経済的安全確保に問題のある施設も依然としてあることから、厚労省は適切な指導を継続していく考えです。

有料老人ホームは設置前に知事への届け出が必要、未届け施設は1207件・9.3%

 有料老人ホームは、「老人を入居させ、入浴、排せつ、もしくは食事の介護、食事の提供またはその他の日常生活上必要な便宜であって、厚生労働省令で定めるもの(介護など)の供与をする事業を行う施設」のうち、老人福祉施設や認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないもの」と定義されます(法第29条第1項)。

 閉鎖的な空間であり、虐待や不当な処遇などが行われる可能性もあることから、都道府県による適切・迅速な指導などを可能とするために、有料老人ホームの設置者には、設置前に都道府県知事に対して、▽施設の名称・設置予定地▽設置者の氏名・住所など▽条例、定款その他の基本約款▽事業開始の予定年月日▽管理者の氏名・住所▽供与される介護などの内容▽その他厚生労働省令で定める事項―を届け出ることが義務付けられています(法第29条第1項各号)。

 しかし、2016年度の調査結果から、未届け施設が1207件・9.3%存在することが分かりました。前年度(緊急追加調査による把握分を含める)に比べて443施設・4.1ポイント減少していますが、厚労省は都道府県に対し指導監督の徹底を求めています。

前年度より減ってはいるものの、依然として1割弱の有料老人ホームは法定の届け出義務を果たしていない

前年度より減ってはいるものの、依然として1割弱の有料老人ホームは法定の届け出義務を果たしていない

前払金保全措置の義務違反、福岡県と千葉県で各13件

 有料老人ホームでは、入居条件の1つとして「前払金の支払い」を求めるところもあります(前払金がない施設もある)。施設によっては1億円を超える入居金が必要なところもありますが、これ自体には問題はありません。

 前払金にはさまざまな形態がありますが、一般には「終身にわたって居住することを前提に支払う家賃」と解されています。このため、想定入所期間(施設により異なる)よりも前に退所する場合などには、前払金の一部が返還される必要があり、老人福祉法では、有料老人ホームに対して「前払金の返還責務を負うこととなる場合に備えた、必要な保全措置」を義務付けています(法第29条第7項)。

 しかし、今般の調査では「2006年4月1日以降に設置され、前払金を徴収している有料老人ホーム」1311施設のうち、53件・4.0%で保全措置が講じられていないことが分かりました。保全措置義務違反の施設は、前年度調査では77件・6.0%、前々年度調査では117件・9.3%であったので、年々改善していますが、厚労省は「有料老人ホーム全体の信頼を揺るがす」として、都道府県に対し厳正な指導を行うよう強く求めています。

年々減少してはいるものの、法定の前払金保全措置を講じていない有料老人ホームが4%ある

年々減少してはいるものの、法定の前払金保全措置を講じていない有料老人ホームが4%ある

 

 都道府県別に保全措置義務違反の施設数を見ると、福岡県(13件)、千葉県(13件)、神奈川県(6件)、長野県(6件)などが目立ちます。

不必要な行動制限を行っていたり、構造設備に問題のある施設も

 このほか、不適な入居者処遇があるとして指導が行われた状況を見ると、▼不必要な行動制限が行われている(56自治体)▼1部屋に複数人が生活しておりプライバシーが確保されていない(28自治体)▼夜間の人員が配置されておらず緊急時の対応体制が不十分である(22自治体)▼生活に必要な居室面積が十分でない(20自治体)▼廊下が狭く、車いすでの移動に支障が生じるなどの構造上の問題がある(14自治体)―などとなっています。

 

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