2018年度改定に向け、看護必要度における内科系疾患の評価充実など8項目を要望―日病協
2017.3.24.(金)
2018年度の次期診療報酬改定に向けて、▼重症度、医療・看護必要度における内科系疾患の評価充実▼特定入院料における高額薬剤などの出来高化▼DPCの重症度係数などの妥当性確保―など8項目を要望していく―。
日本病院団体協議会の原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は、日病協の診療報酬実務者会議でこういった議論を進めていることを24日の定例記者会見で明らかにしました。早ければ4月中に文案を整え、厚生労働省に提出することになります。
4月中にも第一弾の要望、10-11月に具体的な第二弾の要望
日病協は、全日本病院協会や全国公私病院連盟、日本病院会など13の病院で構成される協議会で、主に診療報酬に関する要望活動を行うために、各病院団体の足並みを揃える議論を定期的に行っています。2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定が行われるため、▼4-5月頃に総論的な第一弾の要望▼10-11月頃に具体的な第二弾の要望―を行うことがすでに固められていました(関連記事はこちら)。
今般、原澤副議長は第一弾として次の8項目を要望する方針が固まったことを発表しました。
(1)入院基本料の評価基準見直しと、病棟群単位の入院基本料届け出の改善
(2)重症度、医療・看護必要度の評価における「内科系疾患」の評価充実
(3)DPCにおける重症度係数の妥当性確保と、他の係数の適切な評価
(4)療養病床の方向性の早期決定と、医療区分の見直し
(5)精神疾患患者の高齢化への対応
(6)特定入院料における包括範囲の見直し
(7)診療報酬の簡素化
(8)ICT推進に向けた診療報酬上の適切な評価
このうち(1)の前段は、現在の「専ら看護配置に応じて設定されている」入院基本料について、他にも評価の軸を検討すべきとの要望です。具体的な評価項目は10-11月に予定される第二弾要望に盛り込まれる見込みですが、例えば「患者の重症度」や「診療内容」などが考えられそうです。また(1)の後段の病棟群単位の入院基本料については、従前から日病協が主張している「恒久化」などを改めて求めていくことになりそうです。現在の「病棟群」は、7対1から10対1に移行するにあたってのワンクッションという位置づけですが、より自由度の高い仕組みの是非が次期改定に向けて議論される見込みです。
また(6)は、特定入院で包括評価されている「高額薬剤」や「治療に不可欠な項目」について、出来高算定の可能性を探ってほしいとの要望です。後者の「治療に不可欠な項目」に具体例について、原澤副議長は「第二弾要望に向けて詰めていく」と説明するにとどめています。
さらに(8)は、例えば遠隔診療におけるICT活用の評価なども議論されていますが、よりベーシックなテーマとして「電子カルテ」などの更新・保守費用があると原澤副議長は指摘。「何らかの対応を検討すべき」と要望していく構えです。
日病協では「消費税率8%の中では控除対象外消費税(診療報酬で補填が不十分なために生じている、いわゆる損税)と、人件費の高騰で病院経営は非常に厳しい状況にある」とし、上記8項目について詳細な文案を整え、早ければ4月中に厚労省保険局医療課に提出することになります。
診療報酬と病床機能とを結びつけるのはナンセンス
また24日の記者会見では、神野正博(全日本病院協会副会長)から、最近の中央社会保険医療協議会などの議論に対する日病協の見解も発表されました。
とくに、15日の中医協総会で行われた入院基本料をめぐる議論について、「現在の入院基本料をもって『7対1は急性期』『15対1は回復期』など、地域医療構想や病床機能報告の機能と結び付けようとしている点がナンセンスである」との見解で病院団体が一致したことを神野議長は説明(関連記事はこちら)。
また「これからは中小病院が24時間対応の医療提供や看取りを担う。このため医療機関からの訪問看護の報酬水準と、訪問看護ステーションの報酬推進との乖離を埋めていく必要がある」との見解でも病院団体が一致しています(関連記事はこちら)。
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