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保険医療材料価格の内外価格差是正に向け、外国価格調整を強化—中医協・材料専門部会

2017.11.27.(月)

 保険医療材料価格の内外価格差を是正するために、外国平均価格調整ルールを2018年度から強化する—。

11月24日に開催された中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会で、こういった方向が概ね了承されました。材料価格制度改革の内容は出揃い、今後、関係団体からの意見を踏まえ、取りまとめ論議に入ります。

11月24日に開催された、「第88回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

11月24日に開催された、「第88回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

外国平均価格を計算する際の【3倍ルール】【2倍ルール】を厳格化

 保険医療材料においても、「外国価格と国内価格の大きな差を解消する」ために外国平均価格調整ルールが設けられています。

 まず新規収載の場合、▼米国▼英国▼ドイツ▼フランス▼オーストラリア—の平均価格の「1.3倍」(2016年度改定前は1.5倍)以上の材料については、「1.3倍」にまで価格が引き下げられます【1.3倍ルール】。ただし、「医療ニーズの高い医療機器に関する検討会の意見を踏まえ、開発要請などがなされた材料」や「希少疾病用医療機器」「画期性加算・有用性加算を受けて新機能区分が設定された材料」については、開発意欲を削がないよう、基準値が「1.5倍」に設定されています。

新規収載時の外国平均価格調整ルール

新規収載時の外国平均価格調整ルール

 
 この【1.3倍ルール】によって外国平均価格が調整されたのは、前回改定(2016年4月)から今年(2017年)6月までに1製品・2区分にとどまりました。前回改定前よりも調整対象が減少傾向にあり、「内外価格差の解消」が進んでいることが分かりました。

ところで、外国平均価格は、「相加平均が原則」ですが、少々複雑な次のような特例も設定されています。突出して高額な設定をしている国があった場合、これに引っ張られて外国平均価格も高額になってしまうことを避けるものです。

▼例えば、英国A円、ドイツB円という具合に「2か国以上で価格が設定」されており、そのうち英国A円が最高で、ドイツB円が最低の場合、英国A円がドイツB円の3倍超であるような場合には、英国A円を除外する【3倍ルール】

▼例えば、英国A円、ドイツB円、フランスC円と言う具合に「3か国以上で価格が設定」されており、そのうち英国A円が「ドイツB円とフランスC円の平均」の2倍超である場合には、英国A円を「ドイツB円+フランスC円の平均」×2と置き換える(見做す)【2倍ルール】

 厚労省の調査によれば、前回改定(2016年4月)から今年(2017年)6月までに前者【3倍ルール】の対象となったものは7件、後者【2倍ルール】の対象となったものは6件ありました。

【3倍ルール】の対象は、前回改定以降、7件であった

【3倍ルール】の対象は、前回改定以降、7件であった

【3倍ルール】の対象は、前回改定以降、6件であった

【3倍ルール】の対象は、前回改定以降、6件であった

 
ところで、実際に材料価格を設定する「保険医療材料専門組織」からは「さらある基準値の引き下げ」が提言されています。基準値引き下げには、【1.3倍ルール】を厳格化する手法と、【3倍ルール】などを厳格化する手法が考えられ、厚労省保険局医療課の古元重和企画官は、後者の【3倍ルールなどの厳格化】が好ましいと判断しています。具体的には、▼【3倍ルール】の基準値「3倍」を「2.5倍」とする▼【2倍ルール】の基準値「2倍」を「1.8倍」とする—というものです。

上記例に照らすと、次のような新ルールが設定されることになります。

▼例えば、英国A円、ドイツB円という具合に「2か国以上で価格が設定」されており、そのうち英国A円が最高で、ドイツB円が最低の場合、英国A円がドイツB円の「2.5倍」超であるような場合には、英国A円を「除外」する【2.5倍ルール】

▼例えば、英国A円、ドイツB円、フランスC円と言う具合に「3か国以上で価格が設定」されており、そのうち英国A円が「ドイツB円とフランスC円の平均」の「1.8倍」超である場合には、英国A円を「ドイツB円+フランスC円の平均」×1.8と置き換える(見做す)【1.8倍ルール】

 
 また既収載の保険医療材料についても、2年に一度の価格改定の都度に「外国価格との乖離がないか」をチェックし、乖離が大きな場合には価格調整が行われます(再算定)。具体的には、外国平均価格の「1.3倍」以上であることが判明した場合には、価格を「1.3倍」に引き下げるものです(従前は直近2回の価格下落率に着目して基準値を分けていたが、2016年度の前回改定で一律の基準値とした)。

 外国平均価格の算出方法は「相加平均が原則」ですが、やはり特殊な高額価格にひっぱられて平均価格が高止まりすることを阻止するために、「直近2回の改定で、価格下落率が15%以内」である場合には、新規収載時(上記)と同様の【3倍ルール】【2倍ルール】が設定されています。古元企画官は、これらも同様に【2.5倍ルール】【1.8倍ルール】に厳格化する考えを示しています。

既収載品の外国平均価格調整(再算定)ルール

既収載品の外国平均価格調整(再算定)ルール

 
これらの見直しより、内外価格差の是正がさらに進むと期待され、診療側・支払側の双方の委員から「了承」の旨のコメントが出されています。

なお、「薬価制度の抜本改革」に基づいて、医薬品では毎年の価格調査(併せて価格引き下げ)が導入されますが、保険医療材料については「品目数が医薬品に比べて膨大で、少量多品種であるため、調査コストが大きすぎる」といった課題があります。この点、支払側の幸野庄司委員は「高額な材料だけでも毎年調査を実施してはどうか」と主張していましたが、11月24日の材料専門部会で発現を事実上撤回しており、保険医療材料についてこれまでどおり「2年に一度の価格調査」が継続される見込みです。

 
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