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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

医療機関検索サイトへの「治療の内容・効果の体験談」掲載、誘因性の有無をみて可否を判断―厚労省

2018.10.25.(木)

 医療機関検索サイトにおいて、患者・家族が自分の意思で「ある医療機関で受けた治療の内容・効果等の体験談や口コミ」を掲載することは可能だが、医療機関の依頼を受けたり、サイト運営者が医療機関に有利になるように編集したり、医療機関がサイト運営者に金銭を支払っているようなケースでは、「患者の誘因性」があり、体験談や口コミの掲載は認められない―。

 厚生労働省は10月24日に事務連絡「『医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)に関するQ&Aについて』の改訂について」の中で、こうした点を示しました(厚労省のサイトはこちら)。

今年(2018年)6月から医療広告規制を見直し、webサイトも広告規制の対象に

 医療機関は、患者の生命・健康に直結するサービスを提供するため、不確かな情報提供を行うことは許されず、広告可能な事項は厳格に「限定」されています(広告規制)。

この点、医療機関ホームページなどのwebサイトは、従前、▼患者や国民が自らアクセスしなければ辿り着けない▼患者の医療機関選択に資する有用な情報が掲載される―などの点を考慮し、広告規制の対象には含まれていませんでした。しかし、美容整形などの分野で、患者等の誤解を招くような目に余るwebサイトが多いことから、今年(2018年)6月から広告規制の対象に含められ、掲載可能な事項を「限定」することとなりました。

医療機関ホームページ等の広告規制の対象となる

医療機関ホームページ等の広告規制の対象となる

広告禁止事項の全体像、根拠が異なるが、上表の事項はすべて「広告してはならない」

広告禁止事項の全体像、根拠が異なるが、上表の事項はすべて「広告してはならない」

  
 ただし、webサイト情報の有用性は大きなことから、▼情報の内容について容易に照会できるよう、問い合わせ先(電話番号やメールアドレスなど)を明示する▼自由診療では、通常必要となる治療内容や費用、リスクなどを分かりやすく示す―などの要件(以下、限定解除要件)を満たした場合には、広告可能事項の限定が解除され、さまざまな情報を掲載することが可能となります【限定解除】(関連記事はこちらこちらこちら)。

 もっとも、限定解除要件を満たせば、どのような情報をwebサイトに掲載してもよいというわけではありません。虚偽や誇大な広告などは当然、掲載は認められませんし、さらに「診療内容や効果に関する患者の体験談や口コミ」についても、限定解除要件を満たしたとしても掲載はできません。その理由としては、「患者が医療機関を選択するに当たり、口コミなどの影響はとても大きい響が大きく、『個人の主観等に基づき、限定的な内容である口コミ等』によって、患者が誤認し、適切な医療選択を阻害する恐れがある」ことがあげられています。例えば、「私は●●病院で◆◆療法を受け、がんが完治しました」などの体験談は、仮に、それが真実であったとしても、医療機関のホームページ等に掲載することはできないのです(「●●病院は、スタッフがとても親切で明るい雰囲気です」などの口コミは、診療内容・効果に関するものではないため、掲載可能)(関連記事はこちら)。

医療の内容・効果に関する体験談は、掲載してはならない

医療の内容・効果に関する体験談は、掲載してはならない

 
ところで、医療機関のホームページではなく、「医療機関を検索するwebサイト」などに、こうした体験談・口コミを掲載することは可能なのでしょうか。これが、今般のQ&A改訂で追加された事項です。

厚労省は、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」の議論を踏まえて、「特定の医療機関の体験談に『誘引性がある』場合には、広告規制の対象となり、治療等の内容・効果に関する体験談を掲載することはできない」との考えを示しました。もっとも、すべてのケースを想定することは困難であり、次のような具体的を示し、その場合の考え方を明確にしたに過ぎない点には留意が必要です(他のケースの判断は、今後、継続して検討される)(関連記事はこちら)。

【事例1】
(有償・無償を問わず)医療機関が患者やその家族に対して、医療機関検索サイト等に肯定的な体験談の投稿を依頼するケース
→誘因性が生じる(=治療等の内容・効果に関する体験談の掲載不可)

【事例2】
医療機関からの影響を受けずに、患者やその家族が自らの判断で医療機関検索サイト等で推薦を行うケース
→誘因性が生じない(=治療等の内容・効果に関する体験談を掲載可能)

 ただし、【事例2】のように医療機関が患者・家族に(有償・無償を問わず)肯定的な体験談の投稿を依頼していないケースでも、例えば、当該webサイトの運営者が、▼体験談の内容を改編する▼否定的な体験談を削除する(当該体験談が名誉毀損等の不法行為に当たる場合を除く)▼肯定的な体験談を優先的に上部に表示する―など、体験談を「医療機関の有利に編集」しており、それが医療機関からの依頼で行われたものであるときには誘引性が生じます。

さらに、こうした「医療機関に有利な編集」が、医療機関の依頼で行われたものではないとしても、「事後的に医療機関がそのように編集されたウェブサイトの運営費を負担するケース」では、当該編集された体験談に誘引性が生じると考えられます。

こうしたケースでは、「治療等の内容・効果に関する体験談」の掲載は認められません。

 
医療広告の在り方について検討している「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」では、他のケース(例えば、大手の検索サイトが提供する、無料で企業や医療機関等の情報を書き込み、それをPRに活用できるサービスなど)についてどう考えるか、という議論も行われました。webサイトは日々進化を続けており、新たなサービスが続々と登場するため、個別案件ごとに、「誘因性があるか」「過度な広告規制とならないか」などを判断していくことになるでしょう(事例が集積されれば、Q&Aに追加される可能性が大きい)(関連記事はこちら)。

 
 
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