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特養老人ホームのユニット型をどう推進していくか、看取り・医療ニーズにどう対応すべきか―社保審・介護給付費分科会(3)

2020.9.2.(水)

終の棲家として重要な機能を果たす介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)について、人手不足の中で「ユニット型個室の整備」や「看取り・医療ニーズへの対応」をどのように進めていけばよいか―。

8月27日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、こういった議論も行われています。

検討会では「2ユニット単位での運用」を提案するが、委員からは「ケアの質」への懸念も

Gem Medでお伝えしているとおり、2021年度の次期介護報酬改定(3年に一度)に向けた議論が介護給付費分科会で進められており、8月27日には施設系サービス(▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▼介護老人保健施設▼介護医療院▼介護療養型医療施設―)を議題としました。本稿では介護老人福祉施設、つまり特別養護老人ホームに焦点を合わせてみます(介護医療院と介護療養介護老人保健施設については別稿でお伝え済です)。

特養ホームは、介護保険制度創設前から「終の棲家」の1つとして重要な役割を果たしています。入所者の平均要介護度は4.0、平均在所期間は3.5年(介護老健施設は0.8年、介護療養は1.3年)、死亡退所率が67.5%という数字から、「重度の要介護者における終の棲家」機能を発揮している状況が再確認できます。

特養ホーム入所者の要介護度は平均4.0と重い(介護給付費分科会(3)6 200827)

特養ホーム入所者の入所期間は介護老健施設・介護療養と比べて長い(介護給付費分科会(3)7 200827)

特養ホーム入所者の67.5%は死亡退所する(介護給付費分科会(3)8 200827)



こうした機能をさらに発揮し、またサービスの質を向上することが期待され、厚労省老健局高齢者支援課の齋藤良太課長は、次のような「2021年度改定に向けた論点」を掲げています。

▽介護人材不足の中で、介護ロボット・ICTの活用や基準の緩和等をどう進めていくか

▽ユニット型施設をどう普及していくか

▽入所者の重度化が進み、医療や看取りのニーズも増大していく中で、看取りの促進や医療分野との連携強化をどう進めるか

▽感染症、災害等のリスクへの対応をどう図るか



このうち「ユニット型個室施設」は、入居者1人1人の個性・生活リズムを尊重することを目指して、▼リビングスペースなど在宅に近い居住空間の確保▼なじみの人間関係の構築(ユニットごとに職員を配置)―などを採用する施設です。ユニット型施設の普及に向けて、基本単位数も多床室に比べて高く設定されています。

特養ホームの概要(介護給付費分科会(3)1 200827)

個室ユニット型施設の概要(介護給付費分科会(3)2 200827)



政府は、2025年度の目標値として、定員数ベースで「地域密着型介護老人福祉施設・指定介護老人福祉施設」の70%以上をユニット型にすることを掲げていますが、2017年時点では43.6%にとどまっており、さらなる推進策が求められています。

個室ユニット型の普及はまだまだである(介護給付費分科会(3)3 200827)



この点、「個室ユニット型施設の推進に関する検討会」では、▼2ユニット単位での運用を昼間の時間帯でも認める▼ユニット型多床室については、少なくとも新たに設置することを禁止する(個室化の推進)―などを提言しています。限られた人数での運用を可能にすることが狙いです。

個室ユニット型施設推進検討会の意見書要旨1(介護給付費分科会(3)4 200827)

個室ユニット型施設推進検討会の意見書要旨2(介護給付費分科会(3)5 200827)



介護給付費分科会委員では、前者の提言(2ユニット単位での運用)に対して、「ケアの質を確保しながら、基準緩和を検討すべき」(河本滋史委員:健康保険組合連合会理事)と理解を示す意見も一部ありましたが、「人員配置基準を緩くすることで、ケアの質が損なわれるのではないか」との声が石田路子委員(高齢社会をよくする女性の会理事、名古屋学芸大学看護学部教授)や伊藤彰久委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局生活福祉局長)、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)らから出ています。2ユニット運用となれば、介護スタッフの負担は重くなること、馴染みの関係が作りにくくなることなどの課題もあり、慎重な検討が求められそうです。もっとも「人材不足」に対応するために、介護ロボットやICT等の活用を十分に進めることも重要です。

関連して小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会理事)は「ユニット型は介護の質向上のために極めて重要である。このために人員配置を手厚くしなければならないが、人手は不足しており、有給休暇の取得が難しい、必要な研修に参加できない(代替人員の確保が難しく、人手不足に拍車がかかってしまう)などの問題がある。人材確保と労働環境改善、経営環境改善のために基本報酬の引き上げを行ってほしい」と強く要望。介護保険者の代表として参画する椎木巧委員(全国町村会副会長、山口県周防大島町長)も同旨の考えを述べています。



一方、看取り・医療連携の推進に関しては、岡島さおり委員(日本看護協会常任理事)から「看護体制の強化、とりわけ夜間の看護配置の強化」(夜間の手厚い看護職員配置を報酬で評価する)が提案されました。

夜間の看護・医療体制が手薄であれば、入所者の状態が悪化した場合には「すぐに救急搬送」という選択をしがちです。この点、医療専門職である看護職員がさらに手厚く配置されることで「救急搬送が必要か、連携する医療機関からの往診を求めるべきか、翌朝の配置医出勤まで様子を見るべきか」などが判断可能になると期待できます。もっとも看護職員確保は、医療機関でも困難な状況もあり、評価の引き上げだけではこの問題は解決しない点にも留意が必要でしょう。

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

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