能登半島大地震で被災した介護サービス事業所等、レセプトの「概算請求」や「請求期限の延長」を認める—厚労省
2024.1.10.(水)
能登半島地震で被災した介護施設・介護事業所では、昨年(2023年)12月請求分について、過去の介護報酬支払実績を踏まえた「概算請求」を行うことを認める—。
厚生労働省は1月4日に事務連絡「令和6年能登半島地震による災害に係る介護報酬等の請求等の取扱いについて」を示し、こうした考えを明らかにしました。
昨年(2023年)9-11月の介護報酬支払実績をベースに「12月請求額」を確定して良い
1月1日に能登半島を中心に大きな地震が発生し、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
そうした中で介護保険施設や介護事業所が被災されたケースもあるでしょう。レセプト請求間近(12月診療分を1月10日に請求)の被災となり、「作成したレセプトを滅失・棄損してしまった」などの理由から期日通りの請求等が困難な事態が生じている可能性があります。
こうした事態に対応するために、「過去の請求実績をベースにした概算請求」や「請求期限の延長」を行う考えを明確にしています。医療でも同様の対応が行われています(関連記事はこちら)。
まず、今般の大地震により「サービス提供記録等を滅失・棄損したしまった場合」または「大地震の発生直後における介護サービス提供内容について十分に把握することが困難である場合」には、概算請求が認められます。
概算請求とは、個々の介護施設・介護事業所における直近の介護費支払額に準じて12月分の請求額を決める方法で、具体的には次のように計算します。
「昨年(2023年)9-11月診療分の実際の支払額」÷91日×「31日」
なお、昨年(2023年)9月以降に新たに指定を受けて事業を開始した場合には、91日ではなく、「開始した日から昨年(2023年)11月30日までの合計日数」に置き換えて計算します。
この「概算請求」方法を採る場合には、▼やむを得ない事情がある場合を除いて、1月15日までに「概算請求方法による」ことを各国民健康保険団体連合会に届け出る▼上記に該当する介護サービス事業所等で、災害救助法適用地域「以外」の区域に所在する場合には、罹災証明書または罹災届出証明書を併せて各国民健康保険連合会に提出する▼2023年12月の支払額は確定する(後に「実際はより多くの介護サービスを行っていたので、より高額な介護報酬を請求したい」と申請することなどはできない)―という点に留意が必要です。
また、通常請求の場合には被災地の混乱に鑑み次のような対応が図られます。
▽昨年(2023年)12月サービス提供分のレセプト提出期限は「各審査支払機関に相談」する
→提出期限に遅れたものは「翌月以降に提出」するものとする
▽居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)等により給付管理票が提出されない場合の請求手段
▼介護サービス事業所等(介護予防・日常生活支援総合事業の事業所では給付管理対象となるサービスを行う事業所に限る、以下同)は、可能な限りケアマネ事業所に「介護報酬等の請求に対応する給付管理票の提出有無」を確認する
→上記で「給付管理票の提出有無が確認できない被保険者」の請求については、請求明細書欄外上部に赤色で「給1」と記載し「紙」により請求する
▼ケアマネ事業所は、昨年(2023年)12月分の請求について給付管理票を提出できない場合、可能な限り介護サービス事業所等へ「提出できない」旨を連絡する
なお、2024年1月以降のサービス提供分の請求方法は、追って別途示されます。
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