Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

急性期病棟へ介護福祉士配置し、排泄自立支援等で「寝たきり・要介護状態」防止せよ―日慢協・武久会長

2019.9.13.(金)

 急性期病院・病棟に入院する高齢者において、寝たきりや要介護状態を防止するには「排泄の自立」も極めて重要である。しかし多忙な看護師に「排泄自立に向けた支援」業務を担わせることは酷であり、急性期病院・病棟に介護福祉士の配置を義務付け、こうした支援業務を担ってもらうことが必要となる―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、9月12日の定例記者会見でこういった考えを改めて強調しました。

9月12日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

 

急性期病院・病棟の一部、「不適切な膀胱留置カテーテル」実施の可能性も

 従前より武久会長は、「我が国における寝たきり高齢者を半減する」ことを目指し、急性期病院・病棟において▼水分・栄養補給を十分に行う(関連記事はこちら)▼リハビリテーションを早期から集中的に行う、あるいはリハビリテーション機能が充実する後方病床への早期転院を行う(関連記事はこちらこちら)―ことを求めています。

 寝たきり等の防止は患者・家族のQOLを著しく向上させることはもちろん、深刻な介護職員不足が大きな問題となる中で、「寝たきり高齢者の半減」により要介護者が減少すれば、結果として「介護職員不足が軽減される」ことにもつながります。

さらに今般、武久会長は「急性期病院・病棟において、不適切な膀胱留置カテーテル実施が行われている可能性がある」と指摘しました。

手術後の患者や転倒リスクの高い患者などでは、膀胱留置カテーテル実施が必要なケースも少なくありません。しかし、急性期病院・病棟の中には「トイレへの付き添い」や「オムツ交換」などの手間が大変なことを背景に、必要性のない(少ない)膀胱留置カテーテル実施を行っているところもあると指摘されます。

武久会長が理事長を務める平成博愛会博愛記念病院(徳島県徳島市)の入院患者(2010年1月-2016年3月入院)を対象に、転院元の急性期病院別に膀胱留置カテーテルの実施割合を見ると27.6-40.5%となっています。逆から見れば、急性期病院では「3-4割の入院患者に膀胱留置カテーテルを実施し、療養病院に転院させている」ことになります。

上述のように「膀胱留置カテーテル=悪」ではないことは当然です。しかし、仮に「看護の手間軽減のために膀胱留置カテーテルを実施している」ケースがあれば、それは問題であると武久会長は指摘。長期間のカテーテル留置により▼尿路感染▼膀胱結石▼尿道皮膚瘻―が生じるほか、可動域が狭まるために「身体機能」および「精神機能」の低下も引き起こしてしまいます。

これらが原因となり「寝たきり」「要介護」となる高齢者も少なくないと武久会長は指摘し、近く(2019年内)、日慢協会員病院を対象に「患者の入院時の状況」(どこから入院してきたのか、入院時の状態はどうであったか、入院時に既に膀胱留置カテーテルが実施されていたか、など)を調査する考えを示しました。上述の「博愛記念病院のデータ」は3年前のものであり、日慢協理事から「最近、膀胱留置カテーテルが実施されてままの新規患者が増加している印象がある」との声が上がっていることを受け、「最新の動向を把握する必要がある」と武久会長は説明しています。

この調査により「不適切な膀胱留置カテーテル」の実態が判明した場合には、▼膀胱留置カテーテル実施からオムツへの移行 → ▼オムツ使用から排泄援助への移行 → ▼排泄援助から排泄自立への移行 → ▼在宅復帰―という段階的なプロセスに沿った支援を進めていく必要があると強く訴えます。

看護師がより高度なレベルを目指すナース・プラクティショナー、日慢協も賛同

もっとも、こうした支援を「多忙な急性期病院・病棟の看護職員」に期待することは酷でしょう。そこで、「急性期病院・病棟への介護福祉士配置」を行うことで、排泄の自立に向けた支援業務を担ってもらうことが必要になってくると武久会長は強調。

これは、8月の定例記者会見でも提言されたもので、▼急性期病棟にも介護福祉士の配置を義務付ける▼看護師は、看護師資格保有者でなければ実施できない高度な看護業務に集中する▼介護・介助業務については、急性期病棟に配置された介護福祉士が担う―というタスク・シフティングを目指す考え方です(関連記事はこちら)。急性期病棟にも介護福祉士を配置することで、寝たきり高齢者・要介護高齢者の出現を防止し、結果として「介護事業所・施設における介護福祉士」等の必要数削減が可能になると武久会長は見通します。

関連して、武久会長は日本看護協会が提唱する「ナース・プラクティショナー」(NP)制度について「優秀な看護師がさらにレベルアップを目指す方向には大賛成である」とも付言しました(関連記事はこちらこちら)。

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

看護師は「高度な看護業務」に特化し、病院病棟の介護業務は介護福祉士に移管せよ―日慢協・武久会長
介護医療院への転換手続き簡素化、移行定着支援加算の算定可能期間延長を―日慢協・武久会長
終末期医療、総合診療と介護を一体提供できる慢性期病棟、介護医療院、在宅医療が担うべき―日慢協・武久会長
病床稼働率の著しく低い病院、国の補助でダウンサイジングや機能転換を促進せよ―日慢協、武久会長・池端副会長
医療保険リハビリを受けるため「要介護等認定を辞退する」高齢者が現れないか危惧―日慢協、武久会長・橋本副会長
25対1の医療療養、介護医療院よりも「20対1医療療養」への転換望む―日慢協・武久会長
介護医療院の整備に向け「小規模介護保険者の集約化」や「移行定着支援加算の期限延長」などが必要―日慢協・武久会長
療養病棟の3割は看護必要度30%以上、2024年度同時改定に向け「一般・療養病棟の統合」を―日慢協・武久会長
病院建物は「社会的資源」、建築等の消費税は8%の軽減税率とせよ―日慢協・武久会長
4.3平米の一般病床、2024年度までに「廃止」または「大幅な減算」となろう―日慢協・武久会長
「看護師の特定行為」実施の拡大に向けて、日看協に全面協力―日慢協・武久会長
地域包括ケア病棟の在宅復帰先から老健施設を除外、ベッド稼働率が如実に悪化―日慢協・武久会長
「特定行為研修を修了した看護師」のスキルアップ・地位向上に向けた協会を設立―日慢協・武久会長
日慢協が武久会長を再任、「高度慢性期医療」の提供を目指す
医療療養から介護医療院へ転換進めるため、介護保険も「都道府県化を保険者」とせよ―日慢協・武久会長
一般病棟の長期入院患者、療養病棟入院基本料でなく「特別入院基本料」を算定せよ―日慢協・武久会長
25対1医療療養の5割超が20対1医療療養へ、介護療養の5割弱が介護医療院Iの1へ―日慢協調査

慢性期病院、介護療養から新類型への転換やリハ機能充実で大幅収益改善も―日慢協・武久会長

回復期リハ病棟1の「実績指数37」要件、摂食や排泄リハ推進のメッセージ―日慢協・武久会長
回復期リハ病棟のリハ専門職を急性期病棟に派遣し、早期リハを目指せ―日慢協・武久会長
療養病棟の死亡退院率を「半減させよ」―日慢協・武久会長
療養病床の入院患者に居住費相当の自己負担を求めるのは「理由なき差別」―日慢協・武久会長
一般・療養の区分を廃止し、連続的な診療報酬上の評価を―日慢協・武久会長
特養ホームでの適切な医療提供や、医療機関からの訪問看護の評価充実を―日慢協
人工呼吸器装着患者などに高度な慢性期医療を担う「慢性期治療病棟」を2018年度改定で創設せよ—日慢協
病棟看護師の大半は薬剤師などの病棟配置に期待、入院基本料での評価が必要—日慢協・武久会長
薬剤師など多職種の病棟配置、看護師と併せて入院基本料の中で評価せよ―日慢協・武久会長
急性期病院における栄養・水分補給の充実で、回復期・慢性期の入院期間短縮を—日慢協・武久会長
2018年度の同時改定でリハビリ革命を、急性期早期リハは報酬を2倍に引き上げよ―日慢協・武久会長
軽度な後期高齢入院患者は療養病棟などへ転院し、年間3兆円超の医療費縮減を行うべき―日慢協・武久会長
介護療養からの新たな転換先、現在の介護療養よりも収益性は向上する可能性―日慢協試算
リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長

削減する病床を、特定看護師を施設長とする「病院内施設」へ転換せよ―日慢協の武久会長

 
ナース・プラクティショナーの活動で在院日数短縮や死亡率低下など「医療の質」向上―日看協
自身の判断で医行為を実施できる看護師「ナース・プラクティショナー」創設に向け検討を始めよ―日看協

病院ダッシュボードχ 病床機能報告