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GemMed塾 看護モニタリング

回復期リハ病棟1の「実績指数37」要件、摂食や排泄リハ推進のメッセージ―日慢協・武久会長

2018.2.8.(木)

 2018年度の診療報酬改定では回復期リハビリ病棟の入院料が再編・統合され、新たな回復期リハビリ病棟1(1日につき2085点)では「リハビリ実績指数が37以上」という実績要件が課されることになった。これは摂食や排泄のリハビリを推進し、日常生活機能を高めてほしいという厚生労働省のメッセージと受け止めることができる—。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、2月8日の定例記者会見でこのような見解を示しました。また今後の診療報酬改定では「病棟へのメディカルスタッフ配置を評価する報酬体系を目指すべきである」などの提言も行っています。

2月8日に定例記者会見で、2018年度診療報酬・介護報酬改定の内容を高く評価した、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

2月8日に定例記者会見で、2018年度診療報酬・介護報酬改定の内容を高く評価した、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

摂食・排泄の機能改善によって、リハビリ実績指数は大きく向上する

 武久会長は、2018年度の診療報酬・介護報酬改定答申を踏まえて「急性期から地域包括期、慢性期、介護施設へ、さらに在宅へという『右方移動』を促すもので、高く評価できる。80点以上の出来栄えだ」とコメント。その上で「アウトカム評価や在宅連携の重視などで、状態が改善し、単価の高い急性期入院医療から、最終的に単価の低い在宅医療へ移行していく患者が増えれば、1-2年後には総医療費は減少するのではないか」とも見通しました。

診療報酬改定項目の中では「回復期リハビリ病棟入院料の再編・統合」に言及。メディ・ウォッチでお伝えしているように、 ADL改善度合いを指標化した「リハビリテーション実績指数」に着目した段階的な実績評価が導入され、最も高い入院料(1日につき2085点、現在の回復期リハビリ病棟入院料1から25点引き上げ)が設定された(新)回復期リハビリ病棟入院料1では「リハビリ実績指数が37以上」という要件が設定されています。

2018年度診療報酬改定における、回復期リハビリ病棟入院料の再編・統合概要(その1)

2018年度診療報酬改定における、回復期リハビリ病棟入院料の再編・統合概要(その1)

2018年度診療報酬改定における、回復期リハビリ病棟入院料の再編・統合概要(その2)

2018年度診療報酬改定における、回復期リハビリ病棟入院料の再編・統合概要(その2)

 
現在、「リハビリ実績指数が27未満」の回復期リハビリ病棟では、1日6単位を超えるリハビリ提供が包括評価され、事実上「6単位までの算定制限」というペナルティ規定が導入されていますが、「27から37への10ポイントの引き上げ」に驚く医療関係者も少なくないようです。

この点について武久会長は、「リハビリ実績指数のベースとなるFIM利得(入院時から退院時にADLを評価するFIM指数がどれだけ上がった)は、摂食(口からの食事)や排泄(トイレ動作)の自立によって高くなる(つまりリハビリ実績指数も高くなる)。逆に『歩行は自立しているが、オムツをあてている』という場合はあまり高くならない」と説明。その上で、「日常生活に戻れるよう、摂食や排泄のリハビリを推進してほしいというメッセージと受け止めている。摂食や排泄リハビリをしっかり行うことで、リハビリ実績指数37以上要件はクリアできるのではないか」と見通しました。

FIMの概要

FIMの概要

 
武久会長は、かねてより排泄リハビリ等の重要性を強調しており、今回の回復期リハビリ病棟入院料見直しは、これを汲んだものと見ることができるかもしれません(関連記事はこちらこちら)。

患者の重症度、急性期から慢性期まで「DPCデータで一貫した評価」を行うべき

 一方で、今回改定では十分に盛り込まれず、2020年度以降の改定に向けた課題として次の2点をあげています。両者とも、武久会長がかねてより提唱している事項です。
(1)メディカルスタッフの病棟配置の評価(看護職員配置のみでない、病棟へのチーム配置による入院料の設定)(関連記事はこちらこちら
(2) 急性期から慢性期までの一貫したDPCデータによる重症度評価

 後者の(2)について武久会長は、▼現在、急性期は重症度、医療・看護必要度、慢性期は医療区分と、評価指標が異なっている▼重症度、医療・看護必要度についてはDPCデータ(EF統合ファイル)への置き換えが議論されたが、一部の反対意見で十分な見直しが行われなかった―点を問題視。現在、すべての病棟で提出が認められているDPCデータをもとに、「急性期から慢性期までの患者の状況変化(ヒストリー)を把握できる体制が近く構築されるであろう。重症度、医療・看護必要度をDPCに置き換えれば、現場の負担はずいぶん軽くなる」と述べ、2020年度の次回診療報酬改定で「重症度、医療・看護必要度からDPCデータへの置き換え」などをはっきりとすべきとの考えを示しています。

医療施設に勤務する介護福祉士にも、処遇改善の手当てを

なお、(1)のメディカルスタッフ配置に関連して、「病院など医療施設に勤務する介護福祉士の処遇改善」にも武久会長は言及しています。安倍晋三内閣は昨年(2017年)12月に、「2019年10月から、介護サービス事業者における勤続10年以上の介護福祉士について、月額8万円相当の処遇改善を行う。そのために公費1000億円を投入する」との「「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定しました。

武久会長は、この対象に「病院など医療施設に勤務する介護福祉士」が含まれていない点を問題視し、「公費1000億円の中で救ってあげてほしい。医療施設に勤務する介護福祉士は『看護補助』との扱いだが、これを見直す必要がある」と訴えています。

 
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