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療養病棟の3割は看護必要度30%以上、2024年度同時改定に向け「一般・療養病棟の統合」を―日慢協・武久会長

2019.1.11.(金)

 療養病棟の入院患者について、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)を用いて測定を行ったところ、急性期一般病棟入院料1(旧7対1)の施設基準要件である「30%以上」を超える病院が約3割あった。2018年度診療報酬改定では厚生労働省から「療養病棟は20対1の治療病棟のみとする」とのメッセージが出されており、2024年度の次期診療報酬・介護報酬同時改定に向けて「一般病棟と療養病棟の区分を廃止し(一般病棟と療養病棟の統合)、一気通貫した『DPC』での評価とする」ことを検討すべき―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は1月10日の定例記者会見で、このような考えを述べました。

1月10日に記者会見を行い、続く賀詞交歓会で挨拶した日本慢性期医療協会の武久洋三会長

1月10日に記者会見を行い、続く賀詞交歓会で挨拶した日本慢性期医療協会の武久洋三会長

 

看護必要度に基づく重症患者割合、療養の29%が「30%以上」

 主に急性期医療を担う一般病棟と、主に慢性期医療を担う療養病棟では、診療報酬体系そのものが異なります(療養病棟では入院基本料にさまざまな医療行為が包括評価されている)。また2018年度改定では、入院基本料の報酬体系に「看護配置等を勘案した【基本部分】と、重症患者の受け入れ状況などを勘案した【実績部分】とを組み合わせる」考え方が導入されました。そこでも重症患者の評価について、急性期一般病棟入院基本料では「看護必要度」を、療養病棟入院基本料では「医療区分」を用いることになっています。

この点について日慢協で会員病院を対象に、「療養病棟の入院患者について、看護必要度を用いた測定」を行ったところ、▼30%以上となる病院が29%▼15%以上30%未満となる病院が28.5%▼15%未満となる病院が42.5%―という状況が分かりました。

中には重症患者割合が75%を超える驚異的な病院もあります。また、A項目(モニタリングおよび処置等)について詳しく見ると、▼呼吸ケア(喀痰吸引のみの場合を除く)では、療養病棟のほうが急性期一般1(旧7対1)よりも高い(療養15.9%、急性期13.6%)▼ドレナージ管理など「専門的な治療処置」も一定程度実施されている(麻薬内服等1.1%、ドレナージ管理1.0%、昇圧剤使用0.4%など)―など、相当程度、高度医療が提供されている実態も明らかになっています。

武久会長は、急性期一般1(旧7対1)並みの重症患者を受け入れている療養病棟が3割存在することなどを踏まえ、「ここまで高いとは思わなかった、衝撃的なデータだ」とコメント。

このように「急性期病棟と遜色ない重症患者を受け入れている病棟が相当程度ある」ことに加え、▼2018年度改定で25対1の療養病棟が経過措置でのみ存続できることとなり、「療養病棟は20対1の治療病棟のみとする」とのメッセージが厚労省から示されたこと▼1人の患者を継続してフォローできる仕組みが必要であること―などを踏まえ、武久会長は「2024年度の次期診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、一般病棟と療養病棟の区分を廃止し、一気通貫した『DPC/PDPSでの評価』としてはどうか」と提言しました(関連記事はこちら)。

併せて、上述した42.5%の「重症患者割合が15%未満の療養病棟」については、急性期の一般病棟に併設され「レベルが低い」可能性があると指摘し、「重症患者をできるだけ多く受け入れて集中的な治療を行い、可能な限り在宅や介護施設等に復帰させるようにしなければ、慢性期治療病棟して認められなくなる恐れがある」と訴えました。

「1床当たり6.4平米」実現のため、病床数削減に当たり1床500万円の補助を

ところで、一般病床・療養病床ともに「1ベッド当たりの床面積」は6.4平米以上が原則とされていますが、一般病床では経過的に4.3平米も認められています。この点、地域包括ケア病棟入院料では、6.4平米の【地域包括ケア病棟入院料2】(1日につき2558点)と、4.3平米の【地域包括ケア病棟入院料4】(同2038点)との間には、520点の差があり、100床当たりでみると、1年間で1億8720万円、10年間で18億7200万円の収益差が出てきます。

武久会長は、近い将来、4.3平米の一般病棟入院基本料算定病棟についても、地域包括ケア病棟と同様の取扱い(例えば報酬の引き下げなど)が導入される可能性が高いと見通します(関連記事はこちら)。この場合、「病床数を削減し、6.4平米に床面積を拡大する」ことが求められますが、同時に「病床数削減による収益源」を補填するため、「減反ならぬ減床政策として、ベッド削減1床当たり500万円程度の補助金を設けてはどうか」とも提案しています。

   
 
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