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4.3平米の一般病床、2024年度までに「廃止」または「大幅な減算」となろう―日慢協・武久会長

2018.11.9.(金)

 療養環境の改善が求められ、また病院病床数の適正化が求められている中では、「1人当たり4.3平米」の一般病床は、今後6年以内(次期同時改定まで)に廃止されるであろう。こういった変化に病院経営者は対応していかなければならない―。

 日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は11月8日に定例記者会見を開き、こういった考えを述べました。

11月8日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

11月8日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

 

病床削減に合わせて4.3平米から6.4平米へ移行し、療養環境改善せよ

 2001年から順次施行された第4次医療法改正により、一般病床の面積は「患者1人当たり6.4平米」とされました。もっとも、既設病床については、建て替えまでは「同4.3平米」でよいとする経過措置が置かれています。

この経過措置について武久会長は、「戦後70年以上が経過し、国民の生活環境が向上している一方で、入院した場合には狭い劣悪な環境に置かれることを放置できるものではない」「15年以上も存続する経過措置は好ましくない」と指摘した上で、今後、6年以内に経過措置が廃止されると見通しました。

この点、2014年度の診療報酬改定で創設された地域包括ケア病棟は、一般病床・療養病床のいずれでも届け出ることが可能ですが、「患者1人当たりの病室床面積」によっても入院料に差が設けられています。高点数が設定されている【地域包括ケア病棟入院料1】(200床未満、自宅等からの入棟患者割合1割以上等の実績要件を満たすことなどが必要)・【地域包括ケア病棟入院料2】を届け出るためには「患者1人当たり6.4平米」以上の床面積が必要となり、「患者1人当たり4.3平米」(経過措置の対象である一般病床)では、低点数の【地域包括ケア病棟入院料3】(200床未満、自宅等からの入棟患者割合1割以上等の実績要件を満たすことなどが必要)・【地域包括ケア病棟入院料4】を届け出ることになります(関連記事はこちらこちら)。
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)1 180305
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)2 180305

 
実績要件などが課されていない場合の入院料を比較すると、6.4平米の【地域包括ケア病棟入院料2】(1日につき2558点)と、4.3平米の【地域包括ケア病棟入院料4】(同2038点)との間には、520点の差があり、100床当たりでみると、1年間で1億8720万円、10年間で18億7200万円の収益差が出てきます。武久会長は、この入院料の差異は「4.3平米から6.4平米に移行し、療養環境を改善せよ」とのメッセージであると指摘しました。

さらに、地域によっては人口減少が生じ、また▼平均在院日数の短縮▼入院医療から外来医療へのシフト(例えば抗がん剤治療)—が進む中で、病院病床の稼働率は低下傾向にあります。もちろん新規患者獲得に向けた努力を行い、稼働率を維持・向上させている病院もありますが、これは、その他の病院が「新規患者獲得ができなくなる」ことを意味し(いわば、勝ち負けが生じる)、その場合、稼働率はさらに低下していきます。

そうした中では「病床数の削減」(ダウンサイジング)を考えなければならず、そこでは「4.3平米から6.4平米へ移行」していくことが必要でしょう。療養環境を改善し、患者の満足度を向上させる取り組みが「選ばれる病院」となるために必要不可欠なためです(もちろん、病床面積だけでなく、診療・サービスの質向上が不可欠なことは述べるまでもない)。

また、今年(2018年)6月に閣議決定された「骨太の方針2018」(経済財政運営と改革の基本方針2018—少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現—)でも、「病院のダウンサイジング」方針が示されており、外部からの圧力も強くなってくると見込まれます(関連記事はこちら)。

武久会長は、こうした状況を俯瞰し、「今後6年以内(つまり2024年度の診療報酬・介護報酬同時改定、医療計画・介護保険事業(支援)計画の見直し)までに、4.3平米の経過措置は廃止される、あるいは大幅な診療報酬減算が行われる」と予想し、病院経営者は対応方策を検討しなければならないと強調しています(変化に対応できるか否かが病院経営のターニングポイントとなる)。

介護老人保健施設の稼働率が低下、超強化型では2割が稼働率8割未満

 ところで、2018年度の介護報酬改定では、介護老人保健施設について在宅復帰機能の更なる強化を狙った見直しが行われました。例えば、基本報酬を高く設定した「在宅強化型老健施設」の中でも、特に在宅復帰機能を高めている施設を「超強化型老健施設」に位置付け、【在宅復帰在宅療養支援機能加算(II)】(1日につき46単位)の算定を可能としています。
2018年度介護報酬改定(老健施設)1
2018年度介護報酬改定(老健施設)2
2018年度介護報酬改定(老健施設)3

 
しかし、在宅復帰機能の強化は「稼働率低下」リスクの増大にもつながりかねません。日慢協の調査では、超強化型の4分の1、在宅強化型の半数、加算型の半数で「2015年度の前回改定時に比べて稼働率が低下している」ことが分かり、超強化型の2割では稼働率が80%を切っています。
日慢協会見2 181108
日慢協会見1 181108
 
2018年度の診療報酬改定では、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟の「在宅復帰先」(施設基準に定められた「在宅復帰率」を計算する際の分子)から介護老健施設が除外されたことも、稼働率低下の大きな要因となっています。

2018年度の診療報酬改定で、地域包括ケア病棟の在宅復帰先から老健施設(強化型・加算型であっても)は除外された(上段)

2018年度の診療報酬改定で、地域包括ケア病棟の在宅復帰先から老健施設(強化型・加算型であっても)は除外された(上段)

 
武久会長は、「日慢協の会員施設でも老健施設を設定しているところがあるが、質の高い介護サービスを提供するためにスタッフの給与水準を引き上げなければならない。このため稼働率が90%を割ると、運営が非常に厳しくなる」と指摘。さらに、老健施設には「都市部に設置しているか、地方に設置しているか」「病院に併設しているか、単独で開設しているか」によって機能が異なり、「一律に在宅復帰機能を推進させることは難しいのではないか」との考えも述べ、介護老健施設の選択肢の1つとして「介護医療院への転換」を早期に進めていくべきと訴えました(関連記事はこちら)。

 
 

 

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