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能登半島地震の診療報酬特例、「研修未受講医師のオンライン診療」を認め、データ提出期限を柔軟対応—厚労省

2024.1.17.(水)

能登半島地震により通常診療が困難で、いそぎオンライン診療を行う必要がある場合には、「必要な研修を事後に受ける」こととして差し支えない—。

被災地医療機関や被災地へスタッフを派遣した医療機関などでは、DPCデータや外来診療データなどについて、事前の申し出を条件に「提出期限の柔軟化」を行う—。

厚生労働省は1月12日に事務連絡「令和6年能登半島地震の被災に伴う保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて(その3)」を示し、こうした考えを明らかにしました(厚労省サイトはこちら)。

オンライン診療の研修未受講医師でも、保険診療においてもオンライン診療を特例実施可

1月1日に能登半島を中心に大きな地震が発生し、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

そうした中で厚労省は、「保険証やマイナンバーカードを持たずに避難した場合などに、特例的に保険証などを提示せずとも保険診療を受けられる」特例や、「被災者を多く受け入れ、またスタッフが被災するなどして、一時的に施設基準を満たせなくなった場合でも、従前の診療報酬取得を認める」特例、「医療機関等が被災し、レセプトを汚損等した場合には、過去の診療実績に基づく概算請求を可能とする」特例などを設けています(関連記事はこちらこちらこちら)。

さらに今般、診療報酬算定等にかかる新たな特例的考え方を明らかにしました。具体的には、(1)オンライン診療について(2)DPCデータ提出について(3)外来データ提出加算等—の3点について現場の疑問に答えています。

まず(1)のオンライン診療について見てみましょう。

オンライン診療を実施するに当たっては、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿う必要があり、そこでは、例えば「厚生労働省が定める研修を受講し、オンライン診療を実施するために必須となる知識を習得しなければならない」ことなどが規定されています。

この点、能登半島地震に対する非常時対応として「患者・医療機関等が被災したことにより通常の診療が困難な場合で、被災地の医療機関に所属する医師、被災地に派遣されている医師が速やかにオンライン診療を提供する必要がある場合には、当該研修を受講していない医師でもオンライン診療を実施しても差し支えない」との特例が設けられました。

今般の事務連絡では、保険診療としてオンライン診療を実施する場合には、▼情報通信機器を用いた初診、再診料、外来診療料を算定できる▼この場合、情報通信機器を用いた診療の届け出の手続きは、適切な時期に、当該医師が研修を受講した上で、事後的に行うこととしてよい▼災害救助法の適用となる医療(避難所や救護所等で行われるもの)は、県市町に費用を請求するものであるため保険診療として取り扱うことはできない—旨の考えが明確にされました。

被災地医療機関、被災地にスタッフ派遣した医療機関等、事前連絡でデータ提出期限柔軟化

また、(2)のDPCデータ提出は「DPC対象病院等の義務」となっており、適時・適切なデータ提出が行えない場合には「保険診療指数・係数の減算」というペナルティが課されます(2024年度診療報酬改定論議では、適時・適切なデータ提出の義務化に向けた検討も進められている、関連記事はこちら)。

しかし、能登半島地震の被災地病院や、被災地病院へスタッフを派遣するなどしている病院では「適時・適切なデータ提出」が困難なケースも考えられます。そこで厚労省は今般、次のような特例対応を行うことを明らかにしています。

【被災地病院】(災害救助法の適用対象市町村の病院)
▽昨年(2023年)10-12月診療分のDPCデータ提出期限は「本年(2024年)1月22日」(オンラインによる提出では翌営業日の12時)であるが、被災地の保険医療機関等で当該期限までに提出が困難な場合は「1月19日までにDPC調査事務局まで連絡」してほしい
→その後の具体的な手続きは個別に調整する

【被災地以外】
▽昨年(2023年)10-12月診療分のDPCデータ提出期限は「本年(2024年)1月22日」(オンラインによる提出では翌営業日の12時)であるが、被災地への職員派遣で職員が一時的に不足、被災地から多数の患者を受け入れたなどにより当該期限までに提出が困難な場合は「1月19日までにDPC調査事務局まで連絡」してほしい
→その後の具体的な手続きは個別に調整する



さらに(3)の【外来データ提出加算】(B001-3【生活習慣病管理料】の加算)など(詳細は後述)についても、「適時・適切なデータ提出」や「「外来医療等調査への適切な参加」などが要件となっており、これが満たされない場合には加算算定が認められません。

しかし、能登半島地震の被災地病院や、被災地病院へスタッフを派遣するなどしている病院では「適時・適切なデータ提出」が困難なケースも考えられます。そこで厚労省は今般、次のような特例対応を行うことを明らかにしています。

【被災地】(災害救助法の適用対象市町村の医療機関)
▽昨年(2023年)10-12月診療分のデータ提出期限は1月18日(配送による提出では1月19日)であるが、被災地の保険医療機関等で当該期限までに提出が困難な場合は「1月17日までに外来医療等調査事務局まで連絡」してほしい
→その後の具体的な手続きは個別に調整する

【被災地以外】
▽昨年(2023年)10-12月診療分のデータ提出期限は1月18日(配送による提出では1月19日)であるが、被災地への職員派遣で職員が一時的に不足、被災地から多数の患者を受け入れたなどにより当該期限までに提出が困難な場合は「1月17日までに外来医療等調査事務局まで連絡」してほしい
→その後の具体的な手続きは個別に調整する



(3)の特例対象となるのは次の加算です。
・B001-3【生活習慣病管理料』の注4に規定する【外来データ提出加算】
・C002【在宅時医学総合管理料】の注13に規定する【在宅データ提出加算】
・C002-2【施設入居時等医学総合管理料】の注7に規定する【在宅データ提出加算】
・C003【在宅がん医療総合診療料】の注7に規定する在宅データ提出加算
・H000【心大血管疾患リハビリテーション料】の注5に規定する【リハビリテーションデータ提出加算】
・H001【脳血管疾患等リハビリテーション料】の注7に規定する【リハビリテーションデータ提出加算】
・H001-2【廃用症候群リハビリテーション料】の注7に規定する【リハビリテーションデータ提出加算】
・H002【運動器リハビリテーション料】の注7に規定する【リハビリテーションデータ提出加算】
・H003【呼吸器リハビリテーション料】の注5に規定する【リハビリテーションデータ提出加算】



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