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2015年、抗ウイルス剤の輸入額が前年比452.9%に—薬事工業生産動態統計

2017.3.30.(木)

 2015年の医薬品の国内生産額は6兆8204億円、輸入額は4兆220億円で、輸入額が前年に比べて26.1%も増加した。輸入額増加の要因を薬効大分類別に見ると、「抗ウイルス剤」が前年に比べて452.9%増、つまり5.5倍に増加している―。

 こういった状況が、厚生労働省が29日に発表した2015年の薬事工業生産動態統計年報から分かりました(厚労省のサイトはこちらこちら)。

医薬品の国内生産は6兆8204億円、循環器官用薬が最多

 薬事工業生産動態統計は、医薬品や医療機器の生産・輸入の実態を明らかにするために毎年行われている調査です(前年の調査概要はこちら)。

 まず医薬品の生産・輸入状況を見てみましょう。

 2014年の国内生産金額は6兆8204億円で、前年に比べて2307億円・3.5%の増加となりました。また、外国からの輸入金額は4兆220億円で、前年に比べて8336億円・26.1%の大幅増となりました。欧州からの輸入が大きく伸びています。生産額と輸入額の合計は10兆4785億円で、前年に比べて7003億円・7.2%増加しています。

 国内生産金額のうち、医療用医薬品は5兆9969億円(前年に比べて2.2%増)、一般用医薬品は8235億円(同14.2%増)となりました。医療医薬品が87.9%を占めていますが、前年より1.2ポイント、シェアが低下しました。

 国内生産金額を薬効大分類別に見ると、最も多いのは「循環器官用薬」で1兆885億円(同5.9%減)、次いで「中枢神経系用薬」7842億円(同1.2%減)、「その他の代謝性医薬品」6906億円(同8.9%増)、「消化器官用薬」4641億円(同4.2%減)、「血液・体液用薬」4618億円(同2.9%増)、「外皮用薬」4506億円(同19.3%増)、「生物学的製剤」3282億円(同10.6%増)、「感覚器官用薬」2788億円(同5.5%増)、「アレルギー用薬」2337億円(同6.7%増)、「腫瘍用薬」2275億円(同40.5%増)などとなっています。腫瘍用薬の大幅増が目立ちます。

医薬品の国内生産額を薬効大分類別に見ると、循環器官用薬がやはり最大となっている(その1)

医薬品の国内生産額を薬効大分類別に見ると、循環器官用薬がやはり最大となっている(その1)

医薬品の国内生産額を薬効大分類別に見ると、循環器官用薬がやはり最大となっている(その2)

医薬品の国内生産額を薬効大分類別に見ると、循環器官用薬がやはり最大となっている(その2)

 

 構成割合の大きな医薬品を見ると、(1)循環器用薬16.0%(同1.6ポイント減)(2)中枢神経系用薬11.5%(同0.5ポイント減)(3)その他の代謝性医薬品10.1%(同0.5ポイント増)(4)消化器官用薬6.8%(同0.5ポイント減)(5)血液・体液用薬6.8%(同増減なし)―となっており、上位5分類で51.2%を占めています。

 さらに各大分類項目の内訳を見ると、次のようになっています。

●循環器官用薬:「血圧降下剤」5298億円(同7.5%減)、「高脂血症用剤」1793億円(同1.6%減)、「血管拡張剤」1623億円(同9.6%減)ほか

●中枢神経系用薬:「精神神経用剤」1966億円(同6.3%増)、「解熱鎮痛消炎剤」1744億円(同0.8%減)、「その他の中枢神経系用薬」1631億円(同2.5%減)ほか

●その他の代謝性医薬品:「他に分類されない代謝性医薬品」4202億円(同4.8%増)、「糖尿病用剤」1715億円(同31.3%増)、「総合代謝性製剤」355億円(同6.0%減)ほか

●消化器官用薬:「消化性潰瘍用剤」2552億円(同6.9%減)、「その他の消化器官用薬」698億円(同1.4%減)、「下剤、浣腸剤」357億円(同21.2%増)ほか

●血液・体液用薬:「その他の血液・体液用薬」2828億円(同4.1%増)、「血液凝固阻止剤」1008億円(同1.8%増)、「血液代用剤」681億円(同1.4%増)ほか

 また薬効中分類別では、多いほうから▼血圧降下剤5298億円(同7.5%減)、構成割合7.8%(同0.9ポイント減)▼他に分類されない代謝性医薬品4202億円(同4.8%増)、6.2%(同0.1ポイント増)▼鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤3091億円(同21.6%増)、4.5%(同0.6ポイント増)▼その他の血液・体液用薬2828億円(同4.1%増)、4.1%(同増減なし)▼消化性潰瘍剤2552億円(同6.9%減)、3.7%(同0.5ポイント減)―といった状況です。

 生産金額が前年に比べて大きく伸びたものを挙げると、「その他の化学療法剤」(75.6%増)、「その他の腫瘍用薬」(63.4%増)、「化膿性疾患用剤」(58.9%増)などが目立ちます。

 逆に、生産金額が前年に比べて大きく下がったものとしては、「合成抗菌剤」(29.1%減)、「催眠鎮静剤、抗不安剤」(19.3%減)、「不整脈用剤」(13.7%減)などが挙げられます。

抗ウイルス剤の輸入額は前年比5.5倍

 医薬品の輸入金額が多い医薬品を見てみると、「抗ウイルス剤」8692億円(同452.9%増)、「その他の腫瘍用薬」5515億円(同13.2%増)、「他に分類されない代謝性医薬品」2414億円(同8.1%増)、「糖尿病用剤」2181億円(同7.1%増)、「眼科用剤」1487億円(同25.7%増)などが多くなっています。抗ウイルス剤の輸入が、極めて大きく伸びています。

医薬品の輸入金額を見ると、抗ウイルス剤が前年にくらべて452.9%増かしていることが分かる

医薬品の輸入金額を見ると、抗ウイルス剤が前年にくらべて452.9%増かしていることが分かる

 

 輸入元は米国6915億円(16.1%増、輸入金額の17.2%)、アイルランド6664億円(1039.2%増、同16.6%)、ドイツ6219億円(13.6%増、同15.5%)、スイス6133億円(4.8%増、同15.2%)が多く、この4か国で輸入金額の64.5%を占めています。

医療機器の国内生産は1兆9456億円、輸入は1兆4249億円

 医療機器の国内での生産金額は1兆9456億円(同2.2%減)、輸入金額は1兆4249億円(同4.1%増)で、合計3兆3705億円(同0.4%増)でした。全体に占める輸入金額の割合は、医薬品では4割弱(38.3%)、医療機器では4割強(42.3%)となっており、両者の差は縮小しています。

 国内生産金額を大分類別に見ると、「処置用機器」が最も多く5208億円(前年比0.3%減)・構成割合26.8%(同0.5ポイント増)でした。次いで、▼画像診断システム2920億円(同0.5%増)・15.0%(同0.4ポイント減)▼生体機能補助・代行機器2714億円(同2.2%増)・14.0%(同0.7ポイント増)▼生体現象計測・監視システム2054億円(同21.2%減)・10.6%(同2.5ポイント減)▼医用検体検査機器1807億円(同6.6%増)・9.3%(同0.8ポイント増)―となっています。

 また輸入金額を大分類別に見ると、▼生体機能補助・代行機器3561億円(同0.3%増)▼処置用機器3399億円(同8.8%増)▼眼科用品および関連製品1992億円(同6.1%増)▼画像診断システム1229億円(同12.2%減)▼治療用または手術用機器981億円(同1.3%増)―などが多いことが分かります。上位5分類で輸入金額全体のほぼ8割(78.4%)を占めています。

 輸入元は、米国6247億円(輸入金額の43.8%)、アイルランド1605億円(同11.3%)、中国1148億円(同8.1%)、ドイツ1037億円(同7.3%)となっており、中国がドイツをぬいて第3位に浮上しました。

  

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