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医療費の実情、国民の半数超は「知らない」―日本医療政策機構

2018.2.15.(木)

 現在の医療費はおよそ42兆円で、前年度に比べて1兆5000億円程度増加していることを国民の過半数は知らない—。

 日本医療政策機構が2月8日に発表した「2017年 日本医療に関する世論調査―第二版―」から、こういった状況が明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

医療費の実態を知っている国民は、医療費適正化により協力的

日本医療政策機構では、1月18日に「2017年 日本医療に関する世論調査」を公表しており、そこでは▼医療制度全般に対して、満足と考える国民は47.0%▼満足度が高い項目は「フリーアクセス」や「診断・治療などの技術の質」「医療の安全性」など▼満足度が低い項目は「制度決定への市民参加の度合い」や「制度決定プロセスの公正さ」など—といった状況が明らかにされました。

今般、同じ調査結果をさらに詳細に分析した第二版を公表し、(1)医療保険財政(2)認知症(3)遠隔死亡診断(4)終末期医療(5)医療に関する情報―に関する国民の意識が明らかにされています。

まず(1)の医療保険制度に関しては、「国民医療費がおよそ42兆円(2015年度)であり、前年度に比べて1兆5000億円程度増加している」ことを、国民の過半数(53.7%)が知らないことが分かりました。

医療費の実態を知っている人半数に満たず、とくに若い世代では知らない人が多い

医療費の実態を知っている人半数に満たず、とくに若い世代では知らない人が多い

 
もっとも医療費の実態を知っている人の過半数(52.7%)は、▼先発医薬品と成分が同じだが、価格の安いジェネリック医薬品を使用する▼かかりつけ医を受診する▼予防に努める―など、医療費適正化に積極的に協力しており、より多くの国民に「医療費が膨張し、医療保険財政が厳しい」という状況を根気強く説明していくことの重要性が分かります。

国民の8割が、「認知症の早期発見・早期対応」の重要性を認識

また(2)の認知症に関しては、8割近くの国民(77.4%)が「早期発見により進行を遅らせることができる」ことを知っている状況が明らかになりました。機構では「早期発見・早期対応のために物忘れ外来などへのアクセス向上に向けた動きが進んでおり、より一層の早期発見・早期対応が期待できる」とコメントしています。

 
 なお(3)の遠隔死亡診断については、回答者に比較的若い世代が多い(▼20代:11.4%▼30代:14.9%▼40代:17.5%▼50代:15.3%▼60代:17.6%▼70代以上:23.3%)ことも手伝ってか、過半数(54.8%)が賛成しています。

 2018年度診療報酬改定では「オンライン診療の評価」なども行われており(関連記事はこちらこちら)、今後、さらなるICT技術を活用した遠隔医療(オンライン診療)の拡大が予想されます。もっとも不適切な運用が行われれば国民の拒絶につながることも忘れてはいけません。

過半数の国民、自宅で自分が最期を迎えられるか「分からない」

(4)の終末期医療に関しては、「今の住まい環境や家族の下で、自分自身が自宅で最期を迎えられるか」という点について、23.2%は「可能」、24.8%は「不可能」と考え、過半数(52.0%)は「分からない」と回答しています。回答者の年齢層に関わらず「分からない」との回答が多かったことから、国が進める在宅での看取り推進策について、機構は「国民の理解をどのように進めていくべきか検討する必要がある」とコメントしています。

「自宅で自分自身が最期を迎えられるか分からない」という人は、世代に限らず半数近くいる

「自宅で自分自身が最期を迎えられるか分からない」という人は、世代に限らず半数近くいる

 
また▼安楽死▼尊厳死▼リビング・ウィル(書面による生前の意思表示)―という言葉を「良く知っている」国民は49.0%と半数に満たず、「知らない(9.8%)」「言葉は知っているが、意味はよく知らない(41.2%)」が半数超という状況です。

厚生労働省は「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定・改訂し、「最期の在り方」を国民一人ひとりが考えることの重要性を示していますが、さらなる啓蒙が必要と言えます。

信用できる医療情報は、「医師や看護師から発信されるもの」

 さらに(5)の「医療に関する情報」については、▼最も信頼できるのは医師・看護師・薬剤師などの医療関係者から発信されたものである▼メディアの中では新聞が発信する情報が信頼できる▼インターネット上にある医療情報の質を向上させるために必要な方策として、「国によるガイドライン作成や規制強化」39.8%、「学校教育などによる国民のヘルスリテラシー(医療情報を理解し、活用する能力)向上」30.5%、「医療関連団体などによるガイドライン作成等」16.3%、「記者の教育」11.9%などを求めている—ことが分かりました。

 メディ・ウォッチでも日々、医療政策ニュースなどを掲載しておりますが、情報の質向上に向けた努力がさらに必要であると痛感しております。

信用できる医療情報は医療従事者が発信するものであり、ネットなどの医療情報は信頼性が低い

信用できる医療情報は医療従事者が発信するものであり、ネットなどの医療情報は信頼性が低い

 
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