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2016年度、市町村国保は1468億円の赤字、赤字保険者は全体の3割弱に減少―厚労省

2018.3.12.(月)

 2016年度に赤字となった市町村国保は472(前年度よりも574減少)で、全体(1716保険者)の27.5%にとどまった。赤字保険者の赤字総額も前年度から871億円減少し、256億円となった―。

 このような状況が、厚生労働省が3月9日に公表した2016年度の「国民健康保険(市町村)の財政状況について―速報―」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。決算補填目的などで繰入金を投入する「法定外繰入」を収入から除外すると、2016年度は市町村国保全体で1468億円の赤字になっています(前年度の記事はこちら)。

被保険者数の減少で収入が減少したが、それを上回って支出が減少

 2016年度の市町村国保全体の収入は15兆7030億円で、前年度に比べて2817億円・1.8%の減少。一方、支出は15兆5542億円で、前年度から4873億円・3.0%減少しました。

 収入減の要因としては、▼被保険者数の減少(前年度から170万人減)による保険料(税)収入の減少(同2.0%・594億円減)▼退職被保険者等の減少(同42万人減)による退職者医療制度における療養給付費交付金の減少(同28.0%・1243億円減)▼一般会計からの繰入金減少(法定分:4.5%・221億円減、法定外分:14.4%・554億円減)—などがあげられます。

支出減の要因としては、▼被保険者数の減少による保険給付費の減少(同3.0%・2884億円減)▼後期高齢者支援金の減少(同4.6%・828億円減)▼介護納付金の減少(同6.6%・458億円減)—などがあげられます。

 単年度収入(15兆7030億円)から単年度支出(15兆5542億円)を差し引いた単年度収支差引額は1489億円の黒字。これに国庫支出金精算額等(▲419億円)を考慮した精算後単年度収支差引額は1069億円の黒字となっています。

 もっとも、一般会計繰入金(法定外)のうち決算補填等を目的とする2537億円を除くと、精算後単年度収支差引額は1468億円の赤字となりました。赤字額は前年度(2483億円)に比べて1000億円ほど減っています。
2016年度市町村国保の財政状況1 180309

赤字保険者割合は3割弱で前年度から大幅改善、2018年度から都道府県単位の運営に

 次に、赤字保険者の状況を見ると、単年度収支差で見た場合、全1716保険者のうち27.5%にあたる472保険者が赤字です。前年度から574保険者・30.5ポイントと大幅に改善しています。

 赤字保険者の赤字額を合計すると256億円で、前年度から871億円減少しました。
2016年度市町村国保の財政状況2 180309

 市町村国保には、他の医療保険(健康保険組合など)と比較して、▼年齢構成が高い▼1人当たり医療費水準が高い▼所得水準が低い▼保険料(税)負担率も著しく高い―という特徴があり、かねてより「財政の安定化」が重要課題として認識され、2018年度から財政責任主体を都道府県に移管されます(関連記事はこちらこちら)。

2018年度には、このほかにも診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定、さらに新たな医療計画・介護保険事業(支援)計画のスタートなど、大きな変革の年となります。国保の都道府県単位化によって、財政が安定化方向にシフトするのか、ますます注目度が高まります。

 
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