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診療報酬・介護報酬の同時改定など、「2018年上半期」から10本の医療・介護ニュースをチョイス!【メディ・ウォッチ編集部】

2019.1.1.(火)

 あけましておめでとうございます。日頃より、メディ・ウォッチをご覧いただき、誠にありがとうございます。

 昨年(2018年)1年間にも、医療・介護を巡りさまざまな動きがありました。診療報酬・介護報酬の同時改定、医師の働き方改革論議の本格化、地域医療構想の推進などなど―。既に決着した事項もあれば、今年(2019年)に佳境を迎えるもの、さらに議論が続けられるものもあります。新年を迎えるに当たり、「2018年の動き」を振り返っておきましょう。

これらの中から20本の重大ニュースを「メディ・ウォッチ編集部の視点」で選んでみました。今回は、2018年上半期(1月-6月)の重大ニュース10本です(順番は掲載順です)。

(1)【18年度介護報酬改定答申・速報1】長時間の通所リハなど、基本報酬引き下げ―介護給付費分科会

→(編集部の視点)通所介護(デイサービス)におけるアウトカム評価「ADL維持等加算」が新設されました。いわゆる「クリームスキミング」が発生しないよう、「重度者の受け入れ」要件などを設けた上で、ADL改善「実績」等、つまり「要介護度の改善」に向けた取り組みを評価する、極めて画期的な加算です。算定事業所等はまだまだ少数派ですが、より多くの事業所で算定に向けた準備が進められるよう期待が集まります。

 
(2)【2018年度診療報酬改定答申・速報1】7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定

→(編集部の視点)入院基本料の評価軸に、新たに「実績」という考え方が設けられました。「どれだけの看護配置を行っているか」という評価体系から、「どれだけの重症患者を受け入れているか」という評価体系へのシフトが、2020年度の次期診療報酬改定以降も進められることでしょう。

 
(3)病院の統合・再編へ「地域医療介護総合確保基金」から優先補助―厚労省

→(編集部の視点)地域医療構想の実現に向けて、「病院の統合・再編」に係る費用への補助が行われています。従前からの、「医療提供体制の充実に向けた、施設整備費を補助する」との考えを維持した上で、「人口減少社会の中で、適正な病床規模に向けたダウンサイジング(病床削減)を行う」病院へも補助を行うものです。医療の質を向上させるためには、一定程度、症例を集約させる必要があり、「再編・統合」の動きはますます加速しそうです。

 
(4)服薬指導や診断書の代行入力、医師でなく他職種が行うべき―医師働き方改革検討会 第7回(1)

→(編集部の視点)医師の働き方改革に向けて、まず「現在、医療機関等で医師が行っている『必ずしも医師でなくとも実施可能な業務』を、他職種に積極的に移管していく」ことが求められます。業務の「実際の量」をそのままに、時間外労働の上限という「枠」のみを縮小しても、働き方は全く変わらないからです。ただし、業務移管等は、まだ十分には進んでおらず、医療現場にはより積極的な動きが求められます。

 
(5)鈴木医務技監・迫井医療課長がGHC改定セミナーに登壇!「重症患者受け入れ」に軸足を置いた入院報酬に!

→(編集部の視点)グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの「2018年度診療報酬改定セミナー」に、厚生労働省の医系技官トップである鈴木康裕医務技監と、2018年度改定の総指揮をとられた迫井正深医療課長(当時)にご登壇いただきました。我が国はこれからどう変化していくのか、その変化に病院はどう変化していくべきなのか、をご解説いただき、2018年度改定はもちろん、関連する医療制度の動きをより深く理解することができました。

 
(6) ACP、実は既に医療・介護現場で実践している「最期の過ごし方」に関する話し合い―厚労省・検討会

→(編集部の視点)人生の最終段階において、自分自身の望まない延命治療やケアが行われないように、「自分はどういった医療やケアを受けたいか」を家族や親しい友人と何度も話し合い、可能であればそれを文書にしておく―(ACP:Advanced Care Planning)。こういった取り組みの推進が本格化し、地域包括ケア病棟や療養病棟の「診療報酬取得要件」(施設基準)にも盛り込まれました。より馴染みやすく「人生会議」と呼ぶ方針も固まっており、例えば、テレビの医療ドラマや映画を家族で見ながら、フランクに「自分の人生の最期はこうありたいな」などと話せるような、そうした風土が生まれてくると良いなと思います。

 
(7)新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会

→(編集部の視点)2018年度から、新たな専門医制度が全面スタートしました。医学会と日本専門医機構とが共同し、「質の高い」かつ「国民に分かりやすい」仕組みを目指すものですが、「研修施設の要件が厳しすぎ、地域の意志偏在を助長してしまう恐れがある」などの指摘を踏まえ、地域医療の関係者や自治体代表、患者代表なども参画する検討会等で「新専門医制度の運用」についてチェックが行われています。長期的な視点で、「新専門医制度によって我が国の医療がどう変化していくのか」を見ていく必要があるでしょう。

 
(8)がん携拠点病院の新要件固まる、2019年4月から新要件に基づくがん体制始まる―がん診療提供体制検討会

→(編集部の視点)がん医療の充実に向けて、2019年度から「がん診療連携拠点病院の指定要件」が大幅に見直されます。拠点病院間でも「格差」のあることが指摘されており、これまでの「がん医療の均てん化に向けた量の整備」から、「質の確保」に軸足を移したと言えるでしょう。都市部など地域に複数の拠点がある場合、診療実績などに応じて拠点病院の評価にも差が設けられることになります。「競争」により、より質の高いがん医療が提供されることを我々国民も期待しています。

 
(9)がんゲノム医療の推進に向け、遺伝子パネル検査を先進医療で導入―中医協総会(1)

→(編集部の視点)がんゲノム医療の推進に向けて、患者の検体をもとに「多数の遺伝子について、変異が生じているかどうか」を検査する「遺伝子パネル検査」の実施が、先進医療(保険診療と保険外診療の併用)としてスタートしました。この検査により、「より効果的な治療法(抗がん剤選択など)」が見つかる可能性が高まりますが、「遺伝子変異は見つかったが、適切な抗がん剤は開発されていない」というケースも少なくありません。新規薬剤の開発にも期待が集まります。

 
(10)健康寿命延伸・ICT活用、2040年度に必要な医療・介護人材は935万人に圧縮可能―経済財政諮問会議

→(編集部の視点)少子高齢化が進む中では、医療・介護・年金といった社会保障制度の基盤が脆くなっていきます。また医療・介護分野では「サービス提供そのものが困難になる」ため、「人材確保」が非常に重要な課題となっています。とはいえ、現役世代の減少を抑えることはたやすくなく、「人材確保」と同時に、▼ICTの活用による生産性向上▼健康需要の延伸による「医療・介護ニーズの圧縮」―などを進めていく必要があると強調しています。

 
 
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