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FOLFOX療法、「食道がん」治療への実施も審査上認める―支払基金・厚労省

2019.4.23.(火)

 FOLFOX療法(フルオロウラシル、レボホリナートカルシウム、オキサリプラチンの3剤を併用する化学療法)を、審査上、「食道がん」治療に実施することを認める—。

 こうした審査情報を社会保険診療報酬支払基金(支払基金)が4月22日に公表しました(支払基金のサイトはこちら)。厚生労働省も同日に、事務連絡「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」を関係団体等に向けて行っています。

医療現場の要望に応えるため、審査における「柔軟な取扱い」を一定程度認める

 保険診療において、医薬品の使用は、薬事・食品衛生審議会(薬食審)で有効性・安全性が認められた傷病に限定されます。医療安全を確保すると同時に、医療保険財源の適正配分を確保するためです。

ただし医療現場においては、医学的・薬学的知見に照らして「薬食審で認められていない傷病にも一定の効果がある」と強く推測されるケースがあり、レセプト審査においては一定の柔軟な取り扱いがなされています(いわゆる「55年通知」(旧厚生省保険局長による1980年発出の通知)に基づく適応外使用など)。

一方で、いわゆる地方独自の審査ルール(都道府県ルール)があるという課題も指摘されています。例えば、「山間部などでは冬期に高齢者の通院が困難になるので、薬剤の1回処方量を多くすることを認めている」「地域によって、疾患別リハビリテーションを1日6単位までしか認めない(診療報酬点数上は9単位まで算定可能)」などのルールが存在すると指摘されています。こうした地方独自ルールを放置すれば、「全国一律の診療報酬」に反し、また「審査の透明性」の確保もままなりません(関連記事はこちらこちらこちら)。

そこで支払基金では、審査に関するルールを適宜明確にし、医療関係者らに情報提供しています(支払基金の審査情報提供サイトはこちら)(関連記事はこちらこちらこちら こちら)。

 
 今般、支払基金は次の審査ルールを明確にしました。

〇「フルオロウラシル、レボホリナートカルシウム、オキサリプラチン(注射薬)」をFOLFOX療法として「食道がん」に対して投与した場合、当該使用事例を審査上認める

 ▼フルオロウラシル(5-FU注250mg、同1000mg、後発品あり)▼レボホリナートカルシウム(アイソボリン点滴静注用25mg、同100mg、後発品多数)▼オキサリプラチン(エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg、後発品多数)―3剤を併用する化学療法(3剤の頭文字をとってFOLFOXと呼ぶ)は、大腸がん治療の1手法として広く用いられ、また2017年2月には「薬理作用に鑑みて、胃がん治療に用いる」ことが妥当と判断されました(関連記事はこちら)。

今般、さらに「食道がん」治療についても、これら3剤の併用投与が「薬理作用が同等と推定される」ことから、適応外使用が審査上認められることになりました。食道がん患者にとっては、保険診療における治療法が広がり、朗報と言えるでしょう。

ただし、「食道がん」治療に用いる場合には、次のような用法・用量が設けられていますので、医療現場においてはご留意ください。

▽オキサリプラチン
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には「オキサリプラチンとして体表面積1平米当たり85mgを1日1回、静脈内に2時間で点滴投与し、少なくとも13日間休薬す る」ことを1サイクルとして投与を繰り返す

▽レボホリナートカルシウム・フルオロウラシル
通常、成人には「レボホリナートとして、1回、体表面積1平米当たり200mgを2時間 かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後に、フルオロウラシルとして体表面積当たり400mgを静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして体表面積当たり2400mgを46時間かけて持続静脈内注射する」ことを2週間ごとに繰り返す。年齢、患者の状態などにより適宜減量する

 
 
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