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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2019年度の臨床研修実施体制、「地方での臨床研修」傾向にブレーキか―厚労省

2019.8.21.(水)

 今年度(2019年度)の医師臨床研修(初期臨床研修)の募集定員を見ると、6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)とそれ以外の道県との募集定員比率は36.5対63.5で、前年度に比べ、6都府県での募集定員が増加している―。

 厚生労働省が8月8日に公表した、来年度(2020年度)の「医師の臨床研修の実施体制」から、こうした状況が分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2019年度の臨床研修、6都府県の募集定員シェアが前年度から0.3ポイント増

 2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、「臨床現場に立つためには、医師は2年間以上の初期臨床研修を受ける」ことが必修化されています。「私は◯◯科の医院を継ぐので、他の診療科のことは知らなくて良い。当該科の専門医師が対応すればよい」と行動することは許されず、将来専門とする分野に関わらず、多くの診療科についての基本的な診療能力を身につけた医師の養成を目指すものです。

 新臨床研修制度は、▼研修医が研修先病院の希望を出し、公的なマッチング機構で研修先病院を決める▼基本的な診療能力を身につけるために、複数の診療科での研修を必須とする―ことなどが、従来の仕組みと大きく異なる点です。もっとも、医療現場の実態とマッチさせるために、逐次制度の見直しが行われてきています。

 今年度(2019年度)の臨床研修実施体制を見ると、まず大学病院124施設(前年度に比べて1施設減)と臨床研修病院913施設(同3施設増)との合計1037施設(同2施設増)となっていることが分かりました。
2019年度医師臨床研修実施体制1 190808

 
 また、募集定員は1万1492人で、前年度から248人増加しています。2011年度から「募集定員20人以上の臨床研修病院および大学病院では、将来、小児科医または産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラム(各2人、計4人)を必ず設置する」こととなっており、この小児科・産科の研修プログラムの募集定員は、今年度(2019年度)には436人(募集定員全体の3.8%、前年度に比べて3人増・0.1ポイント減)となっています。
2019年度医師臨床研修実施体制2 190808

 
 募集定員を地域別に見ると、大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)は4194人(前年度から124人増)、それ以外の道県は7298人(同124人増)という状況です。6都府県とそれ以外の道県との比率は36.5対63.5で、前年度(36.2対63.8)に比べ、わずかに「6都府県での募集定員が増加している」ことが分かりました。2018年度まで「6都府県以外の募集定員」が増加傾向にありましたが、ブレーキがかかった可能性があります。
2019年度医師臨床研修実施体制3 190808
 
 なお、2018年度臨床研修医の採用実績(今年(2019年)5月公表)を見ると、6都府県とそれ以外の道県との比率は41.7対58.3(前年度と増減なし)で、やはり「6都府県以外での臨床研修」増加にブレーキがかかったように見えます(関連記事はこちら)。
2019年度医師臨床研修実施体制4 190808
 
 厚労省の調査では「医師は、臨床研修を行った地域でその後も勤務する」傾向のあることが分かっており(関連記事はこちら)、医師の地域偏在是正が重要な政策テーマとなる中では、「地方での臨床研修増にブレーキがかかった」ように思える今回の結果は、好ましいとは言い難い状況です。今後の動向を注視する必要があるでしょう。

臨床研修を行った都道府県に定着する割合が高い

臨床研修を行った都道府県に定着する割合が高い

 

 

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