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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

2019年4月からの初期臨床研修医、東京や大阪を除く41道県で58.5%と過去2番目の高さ―厚労省

2018.10.19.(金)

 来年度(2019年度)からの初期臨床研修に向けた今年度(2018年度)のマッチング結果を見ると、東京など6都府県を除く道県での内定割合は過去2番目に高い58.5%となった。また大学病院以外の臨床研修病院での内定割合は59.3%となる―。

 このような状況が、厚生労働省が10月18日に公表した、今年度(2018年度)の「医師臨床研修マッチング結果」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

2018年度(2019年4月研修開始分)の内定者は9202人

 2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、「臨床現場に立つためには、医師は2年間以上の初期臨床研修を受ける」ことが必修化されています。「私は◯◯科の医院を継ぐので、他の診療科のことは知らなくて良い。当該科の専門医師が対応すればよい」と行動することは許されず、将来専門とする分野に関わらず、多くの診療科について基本的な診療能力を身につけた医師の養成を目指すものです。

 新臨床研修制度は、▼研修医が研修先病院の希望を出し、公的なマッチング機構で研修先病院を決める▼基本的な診療能力を身につけるために、複数の診療科での研修を必須とする―ことなどが、従来の仕組みと大きく異なる点です。もっとも、医療現場の実態とマッチさせるために、新制度の見直し(都道府県別の募集定員に上限を設ける、小児科、産婦人科、精神科に重点を置いたプログラムを認めるなど)も逐次、行われています。

 今年度(2018年度)には、「来年(2019年)4月から初期臨床研修をスタートする」医学生等のマッチングが行われており、募集定員1万1253人(前年度から239人増)に対し、採用内定者9202人(同179人増)で、内定率は93.7%(同0.9ポイント上昇)となりました。

都道府県別シーリングにより、地方での研修医採用がさらに拡大

 内定状況を都道府県別に見ると、大都市を抱える東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の6都府県における内定者数は3821人(同109人減)、それ以外の41道県における内定者数は5381人(同70人増)となり、「6都府県以外で初期臨床研修を受ける医師」数は過去最高となる見込みです。

ただし、全内定者に占める割合は、大都市を抱える6都府県が41.5%(同0.4ポイント増)、それ以外の51道県が58.5%(同0.4ポイント減)となっています。「6都府県以外で初期研修を受ける医師」の割合は、前年度(2017年度)が過去最高で、今年度(2018年度)は過去2番目に高いものとなっています。
2018年度医師臨床研修マッチング結果1 181018
 
このように初期臨床研修においては、大都市よりも地方を選択する医学生が増加する傾向が概ね続いています。その背景には、先に少し触れた「都道府県別の募集定員上限」設定があると考えられます。従前、「臨床研修医が大都市に集中している」との批判があったことから、都道府県別の定員上限(シーリング)を設け、「地方への初期臨床研修医の分散」という流れが生まれていると言えます。この定員上限は、大都市においてはより厳しく設定されることとなり、初期臨床研修医はさらに地方へ移動していくことになるでしょう。ただし、その後の新専門医研修(後期研修)では、再び「東京都などの大都市に医師が集中する」ことも分かっており、「地域の医師偏在是正」に向けた対策が今後も検討されていきます(関連記事はこちらこちらこちら)。

 
なお、前年度に比べて内定者数が増えた県としては、▼佐賀県(2017年度:45人 → 2018年度:67人、48.9%増加)▼山梨県(2017年度:53人 → 2018年度:70人、32.1%増加)▼高知県(2017年度:50人 → 2018年度:62人、24.0%増加)—などで、佐賀県や山梨県では「2016年度と比べても内定者数が増えている」ことが分かります(高知県では、2016年度水準に戻った形)。厚労省の分析によれば、「臨床研修を受けた都道府県で、研修修了後も勤務する医師が多い」ことも分かっており(関連記事はこちらこちらこちら)、佐賀県や山梨県においては、将来の医師確保に向けた動きの一つと期待できるでしょう。

大学病院での研修が40.7%、臨床研修病院での研修が59.3%

 新制度の実施前(旧臨床研修制度)は、卒業した医学部の附属病院で研修を受ける医師が圧倒的多数を占め、「大学病院での研修が7割超」を占めていました。

 しかし、新制度では、大学病院以外の病院が「魅力ある研修プログラム」「研修医の処遇充実」などを打ち出し、医学生が「大学病院以外での研修」を希望するケースが増加しています。「大学病院で研修を受ける医師」と「臨床研修病院(大学病院以外の病院)で研修を受ける医師」の比率は、新制度がスタートした2004年度には55.8対44.2になり、翌05年度には49.2対50.8と、臨床研修病院で研修を受ける医師のほうが多くなりました。

 その後、2011年度からは臨床研修病院で研修を受ける医師の割合がさらに増加傾向を強まり、今年度(2018年度)は大学病院:40.7%(前年度に比べて0.7ポイント減)、臨床研修病院59.3%(同0.7ポイント増)となりました。前年度に比べて大学病院での研修割合が減少しています。
2018年度医師臨床研修マッチング結果2 181018
 
 なお、この点について全国医学部長病院長会議等では「地方大学における臨床医不足が、関連病院、つまり地域の病院等における医師の不足・偏在を生んでいる」とし、初期臨床研修制度の「抜本見直し」の検討も必要と訴えています。
 
 
 
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