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病院・病床の機能分化・連携を進めるため、総合入院体制加算の要件柔軟化を検討してはどうか―日病協

2019.10.28.(月)

総合入院体制加算の診療実績要件等が、病院・病床の機能分化・連携を阻んでいる可能性がある。実績要件等の厳格化を検討すべきではないか―。

日本病院会や日本精神科病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」(日病協)は10月25日の代表者会議で、こういった点を議論しました。

10月25日、日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、長瀬輝諠議長(日本精神科病院協会副会長、向かって右)と相澤孝夫副議長(日本病院会会長、向かって左)

診療実績要件が、「診療機能の集約・重点化」を阻んでいる可能性

2020年度の次期診療報酬改定に向けた議論が、中央境保険医療協議会で進んでいます。下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」では、▼一般病棟入院基本料(重症度、医療・看護必要度など)▼地域包括ケア病棟入院料(DPC病棟からの転棟患者の報酬算定など)▼回復期リハビリテーション病棟入院料(FIM評価の適正性確保など)▼療養病棟入院基本料(医療区分など)▼特定集中治療室管理料(SOFAスコアなど)▼救命救急入院料(重症度、医療・看護必要度など)―について、様々な角度から技術的課題の分析などを行っています。

その中で「総合入院体制加算の在り方をどう考えるか」という議論が行われました。【総合入院体制加算】は、総合的かつ専門的な急性期医療を提供する一般病院を評価する入院基本料等加算です。2014年度診療報酬改定以降、「施設基準の厳格化」と「細分化(下位区分では基準を若干緩和)」が行われています。

総合入院体制加算は1・2・3の3区分となり、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度満たす患者割合が施設基準に盛り込まれている



この点、入院医療分科会では、例えば「【加算1】では精神病棟設置が必要だが、厳しすぎるのではないか」「総合的な体制確保が、病院・病床の機能分化・連携の強化を阻害している可能性があるのではないか」といった意見が出されています。「総合入院体制加算の在り方そのものをどう考えるか」に遡った議論と言えます。

こうした意見を踏まえ、今後、中医協で具体的な見直し方向を探っていきます。日病協・代表者会議でも「総合入院体制加算はどうあるべきか」という点について意見交換が行われています。

まず「精神病棟」(【加算1】では配置が必要)について日病協・代表者会議では、「廃止すべき」との方向での議論は進んでいないことが長瀬輝諠議長(日本精神科病院協会副会長)から明らかにされました。さらに長瀬議長は、個人的見解と前置きした上で「【加算1】届け出病院における総合的な医療体制の確保は重要であり、精神病棟の配置は必要ではないか」との見解を示しました。

また「総合入院体制加算と病院・病床の機能分化との関係」については、「機能分化を進める中で、診療実績基準の柔軟化を検討すべきではないか」との意見が各病院団体の代表者(会長・副会長)から多数出ていることが相澤孝夫副議長(日本病院会会長)から紹介されました。

総合入院体制加算には、全身麻酔による手術件数800件以上のほか、▼人工心肺を用いた手術:40件以上▼悪性腫瘍手術:400件以上▼腹腔鏡下手術:100件以上▼放射線治療(体外照射法):4000件以上▼化学療法:1000件以上▼分娩件数:100件以上―という診療実績(いずれも年間)要件が設けられています(【加算1】では6つすべて、【加算2】では4つ以上、【加算3】では2つ以上)。

例えば、地域に総合入院体制加算を届け出るA・B2病院があったとして、両病院で「機能分化・連携」を進める中で、「産婦人科機能について、A病院でもっぱら分娩を担当し、B病院で婦人科腫瘍治療を担当する」という協議が整ったとします。この場合、A病院では「分娩件数が年間100件以上」という要件を満たせますが、B病院では当該要件を満たせなくなるでしょう。結果として、B病院では総合入院体制加算の届け出がかなわなくなる可能性もあり(この場合、少なくとも【加算1】の全要件クリアが極めて困難となる)ます。

総合入院体制加算の点数を見ると、【加算1】は240点(1日につき)、【加算2】は180点、【加算3】は120点に設定されています。「体制加算」であることから入院患者すべてに算定が可能であり、を届け出る500床の病院で稼働率が年間を通じて80%であるとすれば、加算のみで年間、3億5040万円(加算1)・2億6280万円(加算2)・1億7520万円(加算3)」の収益になります。

総合入院体制加算の届け出ができなくなれば、この分が「収益減」となり、「地域における機能分化・連携」「診療機能の集約化・重点化」に向けた動きを阻んでしまう可能性があると各病院団体の代表者は指摘。「診療実績に関する基準の柔軟化を検討すべきではないか」との声が出ているのです。



病院・病床の機能分化・連携の推進は、地域医療構想の実現はもちろん、医師偏在の解消、医師働き方改革にとっても非常に重要なテーマです。これらを診療報酬でも下支えしていくことが求められ、今後、中医協でどういった議論が行われるのか注目する必要があります。

 

 

 

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