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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

新型コロナ患者増加状況踏まえ、一般医療機関での外来診療、一般病院の一般病床での入院医療を段階的に進める―厚労省

2020.3.3.(火)

新型コロナウイルス感染症疑い患者の増加に応じて、必要な感染予防策を十分に整えたうえで、外来に関しては「一般医療機関でも外来診療を行う」体制を、入院に関しては「感染症指定医療機関のみならず、一般医療機関において、一般病床も含めて必要な病床を確保する」体制を段階的に整える必要がある―。

また、重症化リスクの高い▼糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方▼免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方▼透析患者▼妊産婦―などのために、「専門治療を実施でき、かつ、新型コロナウイルス感染症患者受入れも可能である医療機関」を早急に設定し、病床確保や搬送体制の整備を行い、他医療機関に周知する―。

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策本部は3月1日に、こういった内容の「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について」を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

新型コロナ疑い患者の増加状況に応じて、段階的に医療提供体制の強化・拡充を進める

新型コロナウイルスが本邦でも猛威を振るう中、政府は2月25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を決定。医療体制に関し、▼患者数増等を見据え、医療機関における病床や人工呼吸器等の確保を進める▼患者数が大幅に増えた状況では、一般医療機関の外来で、診療時間や動線を区分するなどの感染対策を講じた上で、新型コロナウイルス感染疑い患者を受け入れる▼高齢者や基礎疾患を有する者では、重症化しやすいことを念頭におき、より早期・適切な受診につなげる▼風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、「電話による診療等により処方箋を発行する」など、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制を構築する―などの考えを明確化しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

ただし、今後も患者増の可能性があることから対策本部では、状況の推移に応じて段階的な対策強化を図る必要があるとし、対策移行の判断基準を示したものです。

このうち医療提供体制については、現在、感染疑い患者について「帰国者・接触者相談センター」から「帰国者・接触者外来」へつなげるとともに、感染症指定医療機関等への入院措置が実施されていますが、患者増の状況を踏まえて次のような施策を講じていく考えを示しました。

【外来医療】
地域で「感染拡大によって帰国者・接触者外来での受け入れ患者数が増大し、患者への医療提供に支障を来たす」と判断される場合、状況に応じて次のような体制整備を行います。

(1)帰国者・接触者外来の増設、帰国者・接触者相談センターの体制強化を行ったうえで、「今の枠組みのまま、外来を早急に受診できる体制」とする。帰国者・接触者相談センターは柔軟に帰国者・接触者外来へ患者をつなげる

(2)原則として、一般医療機関で必要な感染予防策を講じたうえで外来診療を行う。
▽「新型コロナウイルス感染を疑う方は、医療機関に事前に電話連絡を行う」よう周知し、電話を受けた医療機関は「受診時刻や入口等の調整(時間的・空間的な感染予防策)」を行ったうえで、患者を受け入れる
▽必要に応じ、「新型コロナウイルス感染症疑い患者の外来診療を原則として行わない」医療機関(▼重症化しやすい方が来院するがんセンター、透析医療機関、産科医療機関等▼重症者を多数受け入れる感染症指定医療機関等▼地域の実情に鑑みて医療機能維持の必要のある医療機関等―など)を設定し、新型コロナウイルス感染を疑う方が受診しないよう周知する
▽夜間・休日外来について、救急外来を設置していない医療機関にも▼診療時間の延長▼夜間外来の輪番制実勢―を求めるなど、地域医療機関や医師会等との連携を図る



この(2)の「一般医療機関での新型コロナウイル感染疑い患者への外来診療実施」へフェーズが移った場合、「院内感染対策の徹底」が求められます。例えば、▼医療従事者が標準予防策に加えて、飛沫・接触感染予防策を徹底する▼全外来患者に対し「受診前後の手指衛生を心がけ、咳などの症状のある場合はマスクを着用してから受診する」よう案内する▼患者への手指衛生の啓発・支援、患者・医療従事者の触れる箇所や物品の消毒等に努める▼新型コロナウイルス感染症疑い患者が受診する際には、「あらかじめ受診時間を伝えるなどし、他の患者との受診時間をずらす」「待合室を別にする」など時間的・空間的に他の患者と分離する―ことなどが求められます。



一方、(2)の施策をとった場合、「慢性疾患等を有し、定期的に医療機関を受診しなければならない患者」は、新型コロナウイルス感染症疑い患者との接触による感染リスクが増してしまいます。そこで、「慢性疾患等を有する定期受診患者等には、電話や情報通信機器等を用いた診療、医薬品等の処方、ファクシミリ等による薬局等への処方箋の送付、電話や情報通信機器等による服薬指導」などが認められます。この点については、厚生労働省が事務連絡▼新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その2)―を示しています。



さらに、こうした体制を整備することや、その際の留意点が地域住民に十分に知らされていることが必要です。対策本部では、次のような点を地域住民に情報提供すべきことを強調しています。

▽▼高齢者▼基礎疾患を有する方▼免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方▼妊産婦―では、新型コロナウイルス感染で重症化の恐れがあるため、特に留意して、適切な時期に医療機関を受診する
▽重症化しやすい方以外の方であれば、新型コロナウイルスに感染しても症状が軽いことが多いため、通常の風邪と症状が変わらない場合は、必ずしも医療機関を受診する必要はない
▽(1)の施策では、感染への不安から「帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医への相談なしに医療機関を受診する」と、かえって感染のリスクを高める
▽(2)の施策でも、新型コロナウイルス感染を疑う方は、▼受診する医療機関に事前に電話連絡を行う▼電話を受けた医療機関は受診時刻や入口等の調整を行う―
▽自宅療養者は、状態が変化した場合には、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に相談するなどして医療機関を受診する
▽「新型コロナウイルス感染症疑い患者の外来診療を原則として行わない」医療機関を設定した場合、感染を疑う方はその医療機関を受診せず、外来診療を行う医療機関を受診する
▽外来診療体制確保のため、救急外来時間帯等における「緊急以外の外来受診」を控え、電話相談窓口を活用する



また、(2)の施策をとった場合でも、帰国者・接触者相談センターや一般電話相談窓口の体制強化(時間の延長、 電話回線の増設等)により、「医療機関の紹介」「自宅療養している患者への相談対応」などを行う必要があります。



【入院医療】
地域で「感染拡大によって入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれの高い者に対する入院医療提供に支障を来たす」と判断される場合には、状況に応じて次のような体制整備を行います。

(A)感染症指定医療機関に限らず、「一般医療機関においても、一般病床も含め、一定の感染予防策を講じた上で必要な病床を確保」する

▽「感染症病床以外の病床」へ入院させる際には、感染予防対策として▼「個室」への入院させる▼新型コロナウイルス感染確定患者では、感染確定患者と同一の病室へ入院させる▼入院患者が使用するトイレはポータブルトイレ等を使用する―など、他の患者等と空間的な分離を行う

(B)「▼高齢者▼基礎疾患を有する方▼免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方▼妊産婦―以外で症状がない、または医学的に症状が軽い方」は、PCR等検査で陽性であっても、自宅での安静・療養を原則とする

▽「状態が変化した場合には、必ず帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に連絡する」よう患者に伝えるなど、重症化に備えた連絡体制を徹底する
▽自宅療養中の家族内感染を防止する趣旨から、家庭での感染対策を周知し、家族構成(高齢者や基礎疾患を有する者等と同居しているか)などを確認した上で、高齢者や基礎疾患を有する者等への家族内感染の恐れがある場合には入院措置を行う



さらに対策本部では、各都道府県に対して、定期的に「新型コロナウイルス感染症患者を受け入れられる医療機関」「病床の状況」などの情報収集・把握や情報提供を行うとともに、次のように「重症者のための病床確保」を行うよう求めています。

▽管下医療機関における▼人工呼吸器等の保有・稼働状況▼病床の稼働率―などの情報を踏まえて、「集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関」を設定する
▽「集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関」では、感染が更に拡大した場合には、必要に応じて医師の判断により「延期が可能と考えられる予定手術および予定入院の延期」も検討する
▽▼管下の市区町村▼医療機関▼消防機関―などの関係者間で「新型コロナウイルス感染症の重症患者が発生した場合の搬送体制」を早急に協議し、合意する
▽民間救急サービスへの協力依頼や自衛隊への協力要請も検討する
▽特に「全身管理が必要な重症患者等が増加した場合」を想定し、「診療を行う集中治療室等の集約化」などの対応策を協議する
▽重症患者を県域・医療圏を越えて搬送する場合の調整担当者、広域の搬送・受入ルールを隣県の関係者等の間で定めるよう調整する



また、重症化リスクの高い▼糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方▼免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方▼透析患者▼妊産婦―などのために、「専門治療を実施でき、かつ、新型コロナウイルス感染症患者受入れも可能である医療機関」を早急に設定し、そうした患者が発生した場合に速やかに受け入れられるような搬送体制整備、病床確保を行い、他医療機関に周知することも対策本部は都道府県に要請しています。



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