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オンライン診療指針改訂案固まる、アフターピル処方「心理状況から対面受診困難な場合」に拡大―オンライン診療指針見直し検討会

2019.6.11.(火)

 望まない妊娠を防ぐために、緊急避妊薬(アフターピル)を求める女性には「近隣の対面診療可能な医療機関」の受診を勧めるが、例外的に「地理的な事情のある場合」「心理的な状態に鑑みて対面受診が困難な場合」にはオンライン診療でのアフターピル処方を可能とする。また、オンライン診療を実施する医師全員に「研修」(セキュリティ確保など)受講を義務付けるとともに、アフターピル処方を行う医師(産婦人科以外)には別途の「研修」(産婦人科の知識)受講を義務付ける―。

 6月10日に開催された「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(以下、検討会)は、こうした内容の見直し案を概ね了承しました。

 今後、細部を詰めてパブリックコメントを募集。その結果も踏まえ、早ければ来月(2019年7月)にも改訂指針に関する通知(厚生労働省医政局長通知)が発出される見込みです。

6月10日に開催された、「第6回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」

6月10日に開催された、「第6回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」

 

患者個々人の状態に応じたアドバイス行えば、指針対象の「オンライン受診勧奨」

 スマートフォンなどの情報通信機器を活用したオンライン診療については、2018年度の診療報酬改定で【オンライン診療料】【オンライン医学管理料】等が新設されたことも手伝い(関連記事はこちら)、今後、普及・拡大していくと予想されます。

一方で、「患者情報の漏えい等防止策は十分か」「本来、対面でなすべき診療をオンラインで行っていないか」といった疑問点も出ており、厚生労働省は昨年(2018年)3月末に、オンライン診療を安全かつ適切に実施するための指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)を取りまとめました。そこでは、▼本指針は、保険診療はもとより、自由診療分野でも遵守しなければならない▼診療の原則は「患者と医師が対面して行う」ものであり、原則としてオンライン診療を初診で行うことは認められない(緊急の場合等の例外あり)▼オンライン診療は対面診療と組み合わせ、計画的に実施されなければならない▼患者にオンライン診療の限界を十分に説明し、同意を得なければならない―ことなどが規定されています(関連記事はこちらこちら)。

 さらに、医療を取り巻く環境・情報通信技術は目まぐるしく進化するため、指針について「少なくとも1年に1回以上更新する」こととなり、検討会で見直し論議を行ってきたものです。今般(2019年改訂)は、次の4項目について見直しを行います。

【2019年改訂での見直し項目】
(1)指針の対象(オンライン受診勧奨・遠隔健康医療相談等の整理)
(2)オンライン診療における診療行為(「対面診療との組み合わせ」「初診対面診療原則」の見直し、予測された症状への対応、「同一医師による診療原則」の見直し)
(3)オンライン診療の提供体制(セキュリティの観点に基づく適切な通信環境の明確化、「D to P with N」(看護師による「医師が提供するオンライン診療」の補助)の明示)
(4)その他(オンライン診療を提供する場合の「研修」必修化など)

 
まず(1)では、指針の対象となる「オンライン診療」「オンライン受診勧奨」と、指針の対象外である「遠隔健康医療相談」等との区分けを明確化。例えば、▼疾患名を列挙し、受診すべき適切な診療科を選択するなど「患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的判断」を行うこと▼一般用医薬品を用いた自宅療養を含む経過観察や非受診の勧奨―は、オンライン受診勧奨に該当し、指針の対象となる(つまりセキュリティの確保などをしなければならない)ことを明らかにしています。個々人の状態に沿ったアドバイス等を行えばオンライン受診勧奨に、あくまで一般論を述べるにとどめるのであれば健康医療相談という括りを明確にしたイメージです(関連記事はこちら)。
オンライン診療指針見直し検討会1 190123
 

オンラインでのアフターピル処方、「性犯罪被害者」などの縛りは設けず

また(2)では、初診対面原則の例外規定について、例えば次のような見直しを行いました。

▽離島・へき地などで「常勤の医師が1人のみである」「非常勤医師が交代勤務をしている」が、これらの医師が急病等で診療を行うことができない場合には、代診を立てることが原則だが、それが困難な場合などには2次医療圏内の他医療機関が初診からオンライン診療を行うことを認める。ただし、「既に対面診療」を行い、医師間で情報共有をして患者に限定する

▽例外的な「緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療での処方」を認める

後者のアフターピル処方については、さまざまな角度から議論を行い、次のような「いわば正規ルート」を設けることが固められました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。
オンライン診療指針見直し検討会 190531の図表
 
【アフターピルの処方】
▼原則:女性の健康に関する相談窓口等(女性健康支援センター、婦人相談所、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを含む)から医療機関を紹介し、直接の対面診療で受診する

▼例外:地理的要因がある場合(近隣に対面診療可能な医療機関がない)、女性の健康に関する相談窓口等の医師(連携医師も含む)が「女性の心理的な状態に鑑みて対面診療が困難」と判断した場合には、産婦人科医・厚労省の指定研修(後述するオンライン診療にかかる研修とは別)を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことは認める

オンラインでのアフターピル処方にはリスク(避妊の失敗など)もあることから、▼1錠のみの院外処方とし、受診者は研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服する▼医師と薬剤師はより確実な避妊法を適切に説明する▼受診者が、3週間後に産婦人科医による直接の対面診療を受けることを確実に担保する―ことなどが求められ、厚労省は、こうした事項が遵守されているか実態調査を行います。

こうした「言わば正規ルート」が稼働するまでには、▼医師・薬剤師が研修を受講する▼研修受講者を厚労省でリスト化し、公表する(リストに不掲載の医師等は、言わば「モグリ」である)―ことなどが必要となり、厚労省医政局医事課の佐々木健課長は「できるだけ速やかに運用する」と述べるにとどめています。

なお、オンラインでのアフターピル処方は、上述のように(1)まず「女性の健康に関する相談窓口等」に相談し、心理的事情などからオンライン診療が妥当との判断を受ける(2)実際にオンライン診療を受診する―という2段階を経ることが原則となります。その際、(2)のオンライン診療の担当医が、受診患者が「(1)の判断を受けたのか」を確認することが必要になってきそうです。この点、指針では(2)のオンライン診療担当医に「対面診療を医療機関で行うことができないか再度確認する」ことを求めていますが、さらに「(1)の判断を受けたことに関する何らかの証明」についても厚労省内で検討される可能性があります。

従前は「性犯罪の被害者」等がオンライン診療の主な対象とされていましたが、「犯罪被害に合わなくとも、産婦人科の直接受診をためらう女性の心理にも配慮すべき」との山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)の強い意向を踏まえ、「性犯罪の被害者」等の縛りは一切設けられていません。「女性の健康に関する相談窓口等」の医師が、個々の患者の声に耳を傾け、「この患者に対面診療を勧めることは難しい」と判断すれば、オンライン診療受診が可能になります。この点について今村聡構成員(日本医師会副会長)は「相談窓口等の医師にも、何らかの研修等を求めるべき」旨の、島田潔構成員(板橋区役所前診療所院長)は「中立性を保つために、相談窓口等の医師と、オンライン診療を行う医師とは別であることを明確にすべき」旨の意見を表明しています。

オンライン診療の場に訪問看護師が同席し、診療の補助行うことを認める

 また(3)では、新しいオンライン診療形態として、▼D to P with N▼D to P with D-などが指針に規定されます(関連記事はこちら)。

 前者の「D to P with N」とは、「在宅療養をする患者に対し、医師がオンライン診療を行う際、その在宅の場に医師と連携する訪問看護師が同席する」形態です。訪問看護師が医師からオンラインで指示を受け、一定の診療補助をその場で実施することが可能となり、訪問診療・訪問看護の質向上が期待されます。この場合、「D to P with N」形態でオンライン診療を行う旨を「診療計画」と「訪問看護指示書」に記載し、訪問看護師はその範囲内で診療の補助を行うことになります。
オンライン診療指針見直し検討会(1)1 190329
 
 後者の「D to P with D」とは、例えばロボット支援手術を行うにあたり、▼遠隔地にいる高度なスキルを持った医師が難易度の高い部分を担当する▼手術室の主治医が難易度の低い部分を担当する―といった形態などが考えられます。高度なスキルを持った医師が、日本各地を回らずとも、その技術を多くの患者に提供することができ、医療の質向上はもちろん、医師の負担軽減にもつながります。
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今後、▼具体的な対象疾患▼対象となる患者の状態―などを各学会のガイドライン等で示し、それに沿って「D to P with D」のオンライン診療実施向けて、各医療現場で環境整備(通信環境など)を行っていくことになるでしょう。

厚労省は対象となる手術について「高度かつ特殊な技術を要するもの」と想定していましたが、袴田健一構成員(弘前大学消化器外科学教授/一般社団法人日本外科学会代議員)の「手術の均てん化を目指す形態であり、『特殊』要件は外すべき」との指摘を踏まえ、「高度な技術を要する手術」が対象となりそうです。

オンライン診療を実施するすべての医師、2020年4月・10月以降は研修を義務付け

 その他、オンライン診療の実施に当たっては、次のような点を遵守しなければならないことが改訂指針で明確にされます。

▽「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚労省)、「クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」(総務省)、「医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン」(経済産業省)を遵守する(いわゆる3省ガイドラインが改訂されたことを受けて)

▽最新のセキュリティソフトを導入するなどの安全性確保対策をとり、第三者機関(保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会 (HISPRO)、プライバシーマーク(JIS Q15001)、ISMS(JIS Q 27001等)、ITSMS(JIS Q 20000-1等)の認証、情報セキュリティ監査報告書の取得、クラウドセキュリティ推進協議会のCSマークやISMSクラウドセキュリティ認証(ISO27017)の取得)の認証を受けたシステム導入が望ましい

▽2020年4月以降にオンライン診療を実施する医師は厚労省の指定研修を受講を必須とし、既にオンライン診療を実施している医師は2020年10月までに研修を受講することを求める(上述したアフターピル処方に関する研修とは異なる)

▽患者が医師の本人確認を行えるよう、▼顔写真付きの身分証明書▼卒業年度を常に確認できる機能を備える

▽患者は、▼1種類以上の顔写真付きの身分証明書(パスポート、運転免許証、マイナンバーカード)▼顔写真付きの身分証明書を含めた2種類以上の身分証明書を用いた本人証明(顔写真付きの社員証+アルファ)―で本人証明を行う

▽交代でオンライン医療を実施する場合(複数の医師で在宅患者にオンライン診療を行う場合など)には、オンライン診療計画書に医師名を記載する

▽オンライン診療計画は、最低2年間は保存する

▽在宅診療、 離島やへき地など、速やかな対面受診が困難な患者で、「発症が容易に予測される症状の変化に医薬品を処方する」旨がオンライン診療計画に定められている場合には、オンラインでの処方を認める

▽オンライン診療の補助としてチャット機能(文字、写真、録画動画等による情報のやりとり)を用いることを認める

 構成員からは、こうした見直し内容に大きな異論・反論は出ていませんが、「医師・患者自身の本人確認」などについて「より明確にすべき」との注文も出ています。山本隆一座長(医療情報システム開発センター理事長)と厚労省とで細部を調整して、改訂指針案を確定。その後、パブリックコメントで広く国民からの意見を募集し、その結果を踏まえて「改訂」内容を決定し、厚労省医政局長から改訂指針が通知されます。

改訂指針通知の時期は未定ですが、厚労省では「7月中を目指す」考えです。その後に、速やかに上述したアフターピル処方にかかる研修について関係学会等の協力の下で進め、研修受講医師のリスト化などを行い、正式に「オンライン診療でのアフターピル処方」が行われることになります。

 

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