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2021年の救命救急センターの評価、S:96か所、A:196か所、B:5か所、C:1か所に―厚労省

2022.4.8.(金)

2021 年における救命救急センターの充実段階評価結果を見ると、S評価:96か所(前年から8か所減)、A評価:196か所(同7か所増)、B評価:5か所(同3か所増)、C評価:1か所(同1か所増)となった―。

厚生労働省が3月30日に公表した、2021年「救命救急センターの充実段階評価の評価結果」から、こうした点が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら(評価結果)こちら(点数)こちら(評価結果、実数))。

評価結果は、例えば診療報酬上の加算(A300【救命救急入院料】の「救急体制充実加算」)の評価ベースとなり、S評価病院では加算1(1患者・1日につき1500点)、A評価病院では加算2(同1000点)、B評価病院では加算3(同500点)を算定できますが、C評価病院では加算取得がかないません。体制・実績の充実に向けたさらなる努力に期待が集まります。

個別病院の事情にも配慮するため、丁寧にヒアリングなども実施

救急医療の最後の砦となる「救命救急センター」に対しては、毎年「充実段階評価」が行われ、この結果は診療報酬(A300【救命救急入院料】の「救急体制充実加算」)や各種の補助金に結びつきます。

具体的には、▼救命救急医療を行う体制が整っており、かつ重篤な救急搬送患者受け入れの実績が十分に上がっているか▼是正すべき点はないか―という2軸で評価が行われます。

前者の「体制・実績」については、例えば「救急科専門医数」に関して、救命救急センター(高度救命救急センターを含む)では▼5人以上であれば1点▼7人以上であれば2点―を、地域救命救急センターでは▼2人以上であれば1点▼4人以上であれば2点―を獲得。ほかにも、「休日・夜間帯における救急専従医師数」「救急外来のトリアージ機能」「疾患(内因性疾患、外因性疾患、精神科、小児、産科)への診療体制」「年間受入救急車搬送人員」など合計42項目について「点数と獲得基準」が定められ、その積み上げ(合計点数)が、それぞれの救命救急センターの「評価点」となります。

後者の「是正を要する」項目とは、「救命救急センターとしては不十分な体制・実績である」と評価されてしまう項目です。例えば「救急科専門医数」に関しては、救命救急センター(高度救命救急センターを含む)では「2人以下」の場合に「是正を要する」、地域救命救急センターでは「1人以下」の場合に「是正を要する」と判断されます。ほかにも、「転院・転棟の調整を行う者の配置がない」「疾患(内因性疾患、外因性疾患、精神科、小児、産科)への診療体制が必要な基準を満たさない」など合計20の「是正を要する」項目が定められており、それにいくつ該当するかが、それぞれの救命救急センターについて計算されます。

この「体制・実績の評価点」と「是正を要する項目の該当数」の2つをもとに、各救命救急センターを下表のように「S」「A」「B」「C」の4段階に評価します。

2022年度以降の、救命救急センターの充実段階評価



今般、昨年(2021年)1-12月の実績をもとにした「2021年の充実段階評価結果」が示され、次のような状況が明らかになりました。上述のような「診療報酬上の評価」などに反映されます。

【S評価】
96か所(手稲渓仁会病院、都立墨東病院、慈泉会相澤病院など)

【A評価】
196か所(旭川赤十字病院、北海道大学病院、東京都済生会中央病院など)

【B評価】
5か所(いわき市医療センター、愛媛県立新居浜病院など)

【C評価】
1か所(兵庫県立姫路循環器病センター)



なお、2021年の評価においては「新型コロナウイルス感染症」の影響(患者減、研修減など)を考慮し、次の8項目を除外しています。

【2021年評価で除外される項目】
▼年間に受け入れた重篤患者数(来院時)
▼救命救急センターを設置する病院の年間受入救急車搬送人員
▼脳死判定および臓器・組織提供のための整備等
▼地域の関係機関との連携
▼救急救命士の挿管実習および薬剤投与実習の受入状況
▼救急救命士の病院実習受入状況
▼医療従事者への教育
▼災害に関する教育



2020年の評価ではより多くの項目(16項目)が除外されましたが、「除外によって、かえって充実段階評価を押し上げてしまっている」ことが分かりました。そこで21年評価では「除外項目を絞った」格好です(関連記事はこちら)。



なお「充実段階評価」については、2020年に「厳格化」が完了しています(従前は評価基準が緩すぎるとの問題があり、2018→20年と厳格化が行われた)。厚労省担当者は「今後は、2024年度からの第8次医療計画実施に向けて、項目の見直しなどを研究・検討していきたい」との考えを明らかにしています(関連記事はこちら)。

救命救急センターの充実段階評価は2018年度→19年度→20年度と厳格化されていく



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