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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

特定機能病院の18施設で立入検査、69施設で書面検査、「医療安全管理」や「医療事故報告」などに軽微な問題点あり―厚労省

2022.8.22.(月)

87の特定機能病院に対し2021年度の立入検査(実際の立ち入りは18件、69件は書面)を行ったところ、41病院で「医療安全管理体制」や「職員の研修」「医療事故報告」などに軽微な問題が発覚した―。

こうした状況が、厚生労働省が8月18日に公表した2021年度の「特定機能病院に対する立入検査結果」から明らかになりました。すでに指摘事項は病院サイドに伝えられ、次年度(2022年度)の調査で「改善状況」が確認されます(厚労省のサイトはこちら)。

コロナ禍であること踏まえ、立ち入り検査実施は18病院、残り69病院は書面検査

特定機能病院は、我が国で最高水準の医療提供を行う病院として厚生労働大臣から指定されます。しかし、複数の特定機能病院において患者の取り違えなど重大な医療事故が相次いだことなどを踏まえ、例えば、▼「第三者評価の受審」を承認要件に盛り込む▼ガバナンスを強化する(外部監査委員会の設置など)▼医療安全体制を強化する(副院長をトップとする医療安全管理部門の設置など)―などの体制強化が順次なされてきています(関連記事はこちらこちらこちら)。

そうした中で、医療法第25条第3項では厚生労働大臣に対して「特定機能病院の開設者・管理者に必要な報告を命じ、特定機能病院に立ち入り人員・清潔保持の状況・構造設備・診療録・助産録・帳簿書類その他の物件を検査する」権限を付与。さらに同条第4号では、やはり厚生労働大臣に「特定機能病院の業務が法令等に違反している疑いがあり、運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、開設者・管理者に対し診療録・助産録・帳簿書類その他の物件の提出を命じる」権限も与えています。

今般、前者(第3項)の規定に基づいた立入検査が行われ(病院全体に対する立入検査と合同実施)、その結果が公表されました。通常は毎年度、前病院に立入検査が行われますが、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況に鑑み、2021年度の立入検査について前年度検査と同様に「18病院」に対してのみ行われました(前年度は8病院が対象)。その他の病院(67病院)については「書面による検査をもって、2021年度の立入検査を実施したものと見做す」と扱われます。

検査結果(立入18+書面69、合計87)結果を見ると、87病院のうち46病院では「指摘事項がなかった」ものの、41病院に対しては指摘が行われました(いわば改善指示)。もっとも「不適切である」との指示がなされた病院はなく、「検討を要する事項」の通知がなされた病院が3件、「口頭指摘事項」のあった病院が40件となりました(重複あり)。

口頭指摘事項の内容を見ると、多いほうから▼職員研修の実施:22件▼医療事故報告書の作成、登録分析機関への報告:13件(関連記事はこちら)▼医療安全管理体制確保:11件▼事故発生防止に係る第三者評価:7件▼院内感染対策:6件▼医薬品、医療機器の安全管理体制確保:6件▼管理者の選任:5件▼情報提供受付窓口:3件▼高難度新規医療技術・未承認新規医薬品:2件▼監査委員会:2件—が多く、「その他」(輸血療法委員会の出席率、職員の健康診断実施など)も24件あります。



また、「検討を要する事項」として特定機能病院サイドへ通知がなされた事項の内容を見ると、▼医療安全管理体制の確保:2件▼その他(患者、家族等へ行った説明など):3件—となっています。

2021年度における特定機能病院の立入検査結果概要



上述した患者取り違えのような「重大な医療事故」の反省を踏まえ、2017年の改正医療法では、特定機能病院において、▼「医療安全管理責任者」を配置する▼過半数を外部委員とする「監査委員会」を設置する▼管理者(例えば院長)の選考を行にあたって合議体(選考会議など)を設け、その審査結果を踏まえることを求める―などの見直しが行われました(改正医療法の概要はこちら(厚労省医政局長通知))。重大な医療事故の背景には、「不適切な医療行為を抑制するためのガバナンス体制が十分でない」部分があると判断されたためです。公正に選任された「管理者」(院長)の権限を強化し、直轄の「医療安全管理者」が目を光らせることで、「不適切な医療」実施を踏みとどまらせようと狙ったものと言えます。

この点について、一部の特定機能病院では「若干の問題点」があることが判明した格好です。(口頭指摘ゆえ「軽微」であると伺える)。指摘のあった病院には、検査時に改善計画の提出を求め、翌年度の立入検査で「改善状況を確認する」ことになります。



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