Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
外来分析 能登半島地震 災害でも医療は止めない!けいじゅヘルスケアシステム

ステージIで早期発見・治療すれば、乳・前立腺がんで9割、胃・大腸がんで8割、膵臓がんでも4人1人が10年以上生存―国がん

2023.3.17.(金)

がんの5年生存率・10年生存率は部位・ステージにより違いがあるが、概ね「早いステージ」でがんと診断された症例ほど5年生存率・10年生存率が高い―。

ステージIで早期発見・治療すれば、乳・前立腺がんで9割、胃・大腸がんで8割、膵臓がんでも4人1人が10年以上生存できる―。

国立がん研究センターが3月16日に公表した「院内がん登録2014-15年5年生存率、2010年10年生存率集計公表」から、このような状況が明らかとなりました(国がんのサイトはこちらこちらこちら、院内がん登録生存率集計結果閲覧システムはこちら)(関連記事はこちら)。

早期発見・早期治療の重要性を再確認できる結果です。なお、今般より、新たに「ネット・サバイバル」という概念で生存率の集計・評価が行われています。

国際的に広く用いられる「ネット・サバイバル」で生存率を集計・分析

国がんでは、従前から全国がんセンター協議会(全がん協)と協力して、加盟施設(国がん中央病院、がん研有明病院、岩手県立中央病院、九州がんセンターなど)等における診断治療症例について「5年生存率」を発表しています。

また2016年1月からは、がん研有明病院、岩手県立中央病院などのデータをもとにした「10年生存率」も公表しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

今般、2014-15年にがんの診断治療を行った94万2717症例を対象として「5年生存率」を、2010年に診断治療を行った34万1335症例を対象として「10年生存率」を推計しました。症例数の多さを見れば、結果の信頼性の高さが分かります。

これまで「がん以外の死因(極端に言えば交通事故など)によって死亡する確率を補正した相対生存率」を見てきました(「実測生存率」(死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率)÷「対象者と同じ性・年齢分布をもつ日本人の期待生存確率」)。しかし、今回報告から国際的に広く用いられている「期待生存率を算出することなく、純粋に『がんのみが死因となる状況』を仮定して計算する純生存率 (Net Survival、ネット・サバイバル)」が用いられています。相対生存率に比べ、ネット・サバイバルは若干低くなる傾向にあります。

このため、過去の数値と今回の数値とを単純比較できない点に留意が必要です(資料には、従前どおりの「相対生存率」も示されている)。

5年生存率、ステージIの乳がんでは98.9%、膵臓がんでも53.4%

まず5年生存率(5年ネット・サバイバル)を見てみましょう。

全部位・全臨床病期の5年ネット・サバイバルは66.2%(相対生存率は68.2%、前回調査から0.5ポイント向上)でした。中長期的にデータを分析し「生存率が高まっているか否か」を見る必要があり、短期的に「●ポイント増加(減少)した。効果が高まっている(効果が出ていない)」などと断じることはできません。これは後述する10年生存率についても同様です。

全部位5年生存率(がん2014-15 年 5 年生存率、2010 年 10 年生存率(1) 230316)



部位別(全臨床病期)に見ると、次のような状況です。

【胃がん】
▼全体:70.2%▼ステージI:92.8%▼ステージII:67.2%▼ステージIII:41.3%▼ステージIV:6.3%

【大腸がん】
▼全体:70.9%▼ステージI:92.3%▼ステージII:85.5%▼ステージIII:75.5%▼ステージIV:18.3%

【前立腺】
▼全体:95.1%▼ステージI:102.5%▼ステージII:102.5%▼ステージIII:98.5%▼ステージIV:601%

【非小細胞肺がん】
▼全体:47.5%▼ステージI:82.2%▼ステージII:52.6%▼ステージIII:30.4%▼ステージIV:9.0%

部位別5年生存率1(がん2014-15 年 5 年生存率、2010 年 10 年生存率(2) 230316)



【女性乳がん】
▼全体:91.6%▼ステージI:98.9%▼ステージII:94.6%▼ステージIII:80.6%▼ステージIV:39.8%

【子宮頸がん】
▼全体:74.4%▼ステージI:94.9%▼ステージII:79.4%▼ステージIII:64.0%▼ステージIV:25.9%

【卵巣がん】
▼全体:64.5%▼ステージI:90.6%▼ステージII:76.6%▼ステージIII:46.2%▼ステージIV:27.8%(同1.5ポイント向上)

【膵臓がん】
▼全体:12.7%▼ステージI:53.4%▼ステージII:22.5%▼ステージIII:6.2%▼ステージIV:1.6%

部位別5年生存率2(がん2014-15 年 5 年生存率、2010 年 10 年生存率(3) 230316)



「いずれのがん種においても、ステージが早ければ5年生存率が高い」ことが再確認でき、早期発見・早期治療の重要性を改めて認識できます。

ステージIの10年生存率、乳94.1%、子宮頚91.9%、前立腺90.65%

次に10年生存率(ネット・サバイバル)を見てみましょう。

全部位・全臨床病期の10年生存率は53.3%(相対生存率は60.5%で、前回調査か0.3ポイント向上)でした。前述どおり「中長期的な評価」が必要となる点に留意が必要です。

全部位10年生存率(がん2014-15 年 5 年生存率、2010 年 10 年生存率(4) 230316)



部位別(全臨床病期)では次のとおりです。

【胃がん】
▼全体:57.6%▼ステージI:77.7%▼ステージII:51.6%▼ステージIII:31.5%▼ステージIV:6.0

【大腸がん】
▼全体:57.9%▼ステージI:80.4%▼ステージII:69.2%▼ステージIII:60.9%▼ステージIV:11.2%

【前立腺がん】
▼全体:84.3%▼ステージI:90.6%▼ステージII:94.4%▼ステージIII:87.2%▼ステージIV:36.9%

【非小細胞肺がん】
▼全体:30.8%▼ステージI:62.5%▼ステージII:28.7%▼ステージIII:12.7%▼ステージIV:2.2%

部位別10年生存率1(がん2014-15 年 5 年生存率、2010 年 10 年生存率(5) 230316)



【女性乳がん】
▼全体:83.1%▼ステージI:94.1%▼ステージII:85.8%▼ステージIII:63.7%▼ステージIV:16.0%

【子宮頸がん】
▼全体:68.1%▼ステージI:91.9%▼ステージII:62.5%▼ステージIII:53.1%▼ステージIV:18.6%

【卵巣がん】
▼全体:51.9%▼ステージI:83.8%▼ステージII:58.2%▼ステージIII:29.4%▼ステージIV:18.5%

【膵臓がん】
▼全体:5.4%▼ステーI:28.6%▼ステージII:10.3%▼ステージIII:2.8%▼ステージIV:0.8%

部位別10年生存率2(がん2014-15 年 5 年生存率、2010 年 10 年生存率(6) 230316)



ステージIで適切な診断治療が行われた場合、乳がんや前立腺がんの患者では9割程度が、胃がん・大腸がんでも8割程度が、さらに難治である膵臓がんでも4人に1人は10年間以上生存しています。つまり、「がん治療後の生活」が重要となってくるのです。こうした状況を受けて、2022年度の次期診療報酬改定でも「がんとの共生」を重要テーマの1つとなりました。2024年度改定論議にも注目が集まります。



【GHCからのお知らせ】
約200超のがん診療連携拠点病院などが参加する CQI(Cancer Quality Initiative)研究会(代表世話人:望月泉:八幡平市病院事業管理者・岩手県立病院名誉院長)では、DPCデータをもと「がん医療の質向上」に向けた研究を行っており、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)がデータ分析等を担当しています。

本年(2023年)8月26日には、第16回研究会を開催(会場+web)。研究会では、「診療の質」と「経営の質」を向上するためのデータ分析方法を議論。前立腺がんなどがん種別に内視鏡手術支援ロボットを用いた手術動向分析などをベースに議論が行われます。

参加病院には、がん診療分析ツール(Cancer Dashboard)を無償提供。また当日は「がん拠点病院の働き方改革」に関する講演も行われます。是非、ご参加ください(詳細はこちら)。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

2021年、がん新規登録数はコロナ禍前水準に戻りつつある!ただし胃がんは回復せず背景分析が待たれる―国がん
がん検診が「適切に実施されているか」を担保するための基準(プロセス指標)を科学的視点に立って改訂—がん検診あり方検討会(4)
市町村による子宮頸がん・乳がん検診の受診率向上に向け、SNS活用・学校や民間事業者との連携等進めよ—がん検診あり方検討会(3)
職域で行われるがん検診、「子宮頸がん・乳がんがオプション」設定で受診のハードルに!早急な改善を!—がん検診あり方検討会(2)
コロナ禍でも「がん検診」実施状況は回復してきているが、「がん登録」「がん手術」等で実施状況の回復に遅れ―がん検診あり方検討会(1)
コロナ禍のがん検診は「住民検診」で落ち込み大、精検含め受診状況の迅速な把握を―がん検診あり方検討会(1)
コロナ感染症で「がん検診の受診控え」→「大腸がん・胃がん手術症例の減少」が顕著―がん対策推進協議会(1)

胆道がんの手術後標準治療は「S―1補助化学療法」とすべき、有害事象少なく、3年生存率も高い―国がん・JCOG
血液検体を用いた遺伝子検査(リキッドバイオプシー)、大腸がんの「再発リスク」「抗がん剤治療の要否」評価に有用―国がん・九大
千葉県の国がん東病院が、山形県鶴岡市の荘内病院における腹腔鏡下S状結腸切除術をオンラインでリアルタイム支援―国がん
抗がん剤治療における薬剤耐性の克服には「原因となる融合遺伝子を検出し、効果的な薬剤使用を保険適用する」ことが必要—国がん
2cm以上でも転移リスクの少ない早期大腸がんでは、「内視鏡的粘膜下層剥離術」(ESD)を治療の第1選択に—国がん
開発中の「血液がん用の遺伝子パネル検査」、診断や予後の予測でとくに有用性が高い—国がん
BRCA1/2遺伝子変異、乳・卵巣・膵・前立腺がん以外に、胆道・食道・胃がん発症リスク上昇に関連―国がん等
乳がんの生存率、ステージゼロは5年・10年とも100%だがステージIVは38.7%・19.4%に低下、早期発見が重要―国がん
全がんで見ると、10生存率は59.4%、5年生存率は67.3%、3年生存率は73.6%―国がん
2020年のコロナ受診控えで「がん発見」が大幅減、胃がんでは男性11.3%、女性12.5%も減少―国がん
「オンライン手術支援」の医学的有用性確認、外科医偏在問題の解消に新たな糸口―国がん