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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

回復期リハや療養病棟のデータ提出、病棟の構成等に応じた新たな経過措置―中医協総会(1)

2018.9.26.(水)

 回復期リハビリテーション病棟や療養病棟を持つ病院でも、診療実績データ(DPCデータ)の提出が義務付けられるが、現場の負担等を考慮し、2019年4月からのデータ提出義務化は「データ提出が義務付けられている病棟の病床数が200床以上の病院」に限定し、それ以外の「許可病床数200床以上の病院」(例えば精神病棟200床+療養病棟50床など)では2020年4月からデータ提出を義務付けることとする(ただし義務化の是非についてさらに検討する見込み)―。

9月26日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった点が承認されました。厚生労働省は近く関係告示を改正します。

9月26日に開催された、「第399回 中央社会保険医療協議会 総会」

9月26日に開催された、「第399回 中央社会保険医療協議会 総会」

 

「精神200床+療養50床」等の病院では、2020年3月31日までデータ提出を猶予

今般の2018年度診療報酬改定において、診療実績データの対象が義務付けられる病棟が拡大されました。入院医療の実態をより的確に把握し、今後の診療報酬改定などに反映させることが狙いです(関連記事はこちらこちら)。

従前は、7対1・10対1病棟(改定後は、【急性期一般入院基本料(急性期一般1-7)】、【特定機能病院入院基本料(一般病棟7対1・10対1)】、【専門病院入院基本料(7対1・10対1)】と地域包括ケア病棟において、データ提出が義務付けられていましたが、新たに▼回復期リハビリ病棟入院料▼療養病棟入院基本料―の算定病棟を持つ病院にも、データ提出が義務付けられることになったのです。

ただし、データ提出に向けた病院の体制整備(例えば診療情報管理士の確保など)等負担にも鑑み、厚労省は、例えば次のような対象の限定と経過措置を設けています。

【対象の限定】
回復期リハビリ病棟5・6(旧・回復期リハビリ病棟3)と療養病棟については、「許可病床200床以上」の病院においてデータ提出を要件とする(逆に言えば、許可病床数200床未満の場合にはデータ提出義務はない。また回復期リハ1-4では許可病床数の限定はなく、小規模な病院でもデータ提出が義務化される)

【経過措置】
(1)2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」「療養病棟入院基本料」などを届け出ている場合には、「2019年3月31日までデータ提出の要件を満たしている」とみなす(1年間の猶予)

(2)2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」「療養病棟入院基本料」などを届け出ており、許可病床数が50床未満または1病棟のみの場合には、「2020年3月31日までデータ提出の要件を満たしている」とみなす(2年間の猶予)

 小規模な医療機関では、より体制整備に時間のかかることを考慮したものです。
2018年度改 
定(データ提出拡大)
 
 
 しかし、医療現場からは、例えば「精神病棟200床、療養病棟50床の場合、許可病床数が200床を超えてしまい、データ提出が義務化され(上記【限定】の対象外)、早急に体制を整備しなければならないが、病院の体力的に非常に厳しい」といった指摘があります。

この点について厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、「2018年度改定論議の中で、上記のような(精神200+療養50で許可病床数200以上となるような)病院については念頭に置いていなかった」と判断。

新たに、回復期リハビリ病棟5・6(旧・回復期リハビリ病棟3)と療養病棟に関しては、「データ提出が義務化された病棟の病床数が200床未満」の場合には、2020年3月31日まで「データ提出の要件を満たしている」とみなす、との経過措置を設けることを提案し、9月26日の中医協・総会で了承されました。上記経過措置の(2)と同じような取扱いになると言えるでしょう。

「データ提出が義務化された病棟」とは、上述のとおり▼急性期一般入院基本料(急性期一般1-7)▼特定機能病院入院基本料(一般病棟7対1・10対1)▼専門病院入院基本料(7対1・10対1)▼地域包括ケア病棟▼回復期リハビリ病棟(ただし5・6については許可病床数200床以上の病院)▼療養病棟入院基本料(ただし許可病床数200床以上の病院)—を指します。これらの病床数合計が200床以上の病院で、回復期リハビリ5・6または療養病棟を持つ病院では、「2019年4月1日」からデータ提出が義務化されます(急性期一般などを持ち、すでに義務化されている場合もあることに留意)。一方、これらの病床数合計が200床未満の病院で、回復期リハビリ5・6または療養病棟を持つ病院では、データ提出の義務化は「2020年4月1日から」となる見込みです。なお「見込み」としたのは、森光医療課長が「診療実績データの提出の要否については、引き続き検討する」考えを示していることによるものです(2020年度の次期診療報酬改定に向けた検討テーマとなる予定)。

例えば、精神200+療養50のほか、「地域一般病棟(従前の13対1・15対1):200床+回復期リハビリ病棟5:50床」という場合などでも、データ提出は「2020年4月1日から」となります。全国で100-200程度の病院が、この新たな経過措置の対象となる見込みです。

データ提出を行うためには、体制を整備し、厚労省に「データ提出が確実に(遅れなく)可能である」と判断される必要があります。このため、2019年4月1日からのデータ提出に向けて多くの病院で準備が進められていることから、厚労省は「早急に関連告示等を改正し、経過措置を周知する」考えです。

また、森光医療課長は、NDB(National Data Base、医療レセと特定健診のデータベース)や介護DB(介護保険総合データベース、介護レセと要介護・支援認定のデータベース)の第三者提供拡充・連結に向けた「セキュリティ確保を含めた法制度面の整備(利用目的や提供範囲など)」が進んでいることを踏まえて、「DPCデータ収集に当たっての法的整備」の検討も進める考えを示しています。現在、DPCデータの提出は厚生労働省告示に根拠を置いていますが、さらなる明確化や運用の安全性確保などについて、今後、社会保障審議会・医療保険部会を中心に検討が進められることになるでしょう。

 
 回復期リハビリ病棟・療養病棟を持つ病院におけるデータ提出に関しては、次のように整理できそうです。

●回復期リハビリ病棟1-4
▼データ提出の対象

・現時点でデータ提出義務のない病棟はない

▼データ提出の義務化時期
・新規に回復期リハビリ病棟、療養病棟を届ける場合:届け時点からデータ提出義務(もちろん事前の準備等が必要)

・2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」を届け出ており、以下に該当しない場合:2019年4月1日から

・2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」を届け出ているが、許可病床数が50床未満または1病棟のみの場合:2020年4月1日から予定(ただし提出の要否を今後検討)

 
回復期リハビリ病棟5・6、療養病棟
▼データ提出の対象

・許可病床数200床以上の病院にある病棟のみ

▼データ提出の義務化時期
・新規に回復期リハビリ病棟、療養病棟を届ける場合:届け時点から(事前の準備等が必要)

・2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」「療養病棟入院基本料」などを届け出ており、以下に該当しない場合:2019年4月1日から

・2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」「療養病棟入院基本料」などを届け出ているが、「データ提出が義務化された病棟」の病床数合計が200床未満の場合(精神:200+療養:50、地域一般:200+回復期リハ5:50など):2020年4月1日からの予定(ただし提出の要否を今後検討)

・2018年3月31日時点で、新たにデータ提出の対象となる「回復期リハビリ病棟入院料」「療養病棟入院基本料」などを届け出ているが、許可病床数が50床未満または1病棟のみの場合:2020年4月1日から予定(ただし提出の要否を今後検討)

 
 
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