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病床過剰地域で「大胆なダウンサイジング」を進めよ―経済財政諮問会議

2018.11.29.(木)

 病床過剰地域における「医療機関の大胆な病床のダウンサイジング支援」を講じるとともに、地域医療介護総合確保基金の配分について大胆なメリハリをつける必要がある―。

 11月20日に開催された経済財政諮問会議では、有識者議員からこういった提言が行われました。

地域の人口動態などを客観的に勘案し、「真に必要な病床規模」を考えることが重要

医療技術の高度化、高齢化の進行などに伴って医療費をはじめとする社会保障費は、今後も増加を続けると予想されます。一方、2040年にかけて高齢者人口の増加は鈍化するものの、「生産年齢人口」が急激に減少していくことから、社会保障制度の基盤が極めて脆くなってしまいます。このため、安倍晋三内閣では、さらなる「社会保障改革」の検討を進めています。

 経済財政諮問会議の有識者議員(▼伊藤元重議員:学習院大学国際社会科学部教授▼高橋進議員:日本総合研究所チェアマン・エメリタス▼中西宏明議員:日立製作所取締役会長兼執行役▼新浪剛史議員:サントリーホールディングス代表取締役社長—)は、11月20日の会合において、「社会保障改革に当たっての当面の重点事項」として、次のような事項を改めて進言しました。

▽地域医療構想の実現に向けて、「機能分化等の合意協議が遅れている公立・公的病院」への対応を促進するとともに、病床過剰地域における「医療機関の大胆な病床のダウンサイジング支援」を講じる

▽地域医療介護総合確保基金の配分について大胆なメリハリをつけるとともに、取り組みや成果の見える化を求め、PDCAサイクルを機能させる

▽調剤報酬を「サービスに応じた」体系にシフトすべく、薬剤師に対する生活習慣病予防、栄養学等の研修を強化する

▽国民健康保険における「法定外繰入」などの解消方策を可視化するとともに、民間事業者等に「予防・健康づくり等に係る包括委託や運営権」を与える仕組みを導入する

▽「人生の最終段階の医療・ケア」の在り方について、ITを活用し、本人の意思を関係者間で随時、共有・確認できる仕組みを構築する

このうち「病床のダウンサイジング」については、地域医療介護総合確保基金において▼自主的なダウンサイジングに伴い不要となる病棟・病室等を他の用途へ変更(機能転換以外)するために必要な改修費用▼自主的なダウンサイジングに伴い、不要となる建物(病棟・病室等)や不要となる医療機器の処分(廃棄、解体、売却)に係る損失(財務諸表上の特別損失に計上される金額に限る)—が助成の対象となっています。「大胆なダウンサイジング支援」「地域医療介護総合確保基金の大胆な配分のメリハリ」という有識者議員の指摘を踏まえれば、こうした部分への大幅な傾斜配分が来年度(2019年度)以降、行われる可能性もあります。
地域医療介護総合確保基金(2018年度から)
 
地域によっては既に、さらに近い将来、日本全国で「人口減少」が進んでいきます。こうした状況の下では、新規患者の獲得が困難となるため、「病院等の病床稼働率を維持するために、退院を伸ばす(つまり在院日数を短縮させない)」という操作が行われがちです。不要な在院日数の延伸は、医療費の高騰につながる(現在の入院料は1日当たりで設定されているため)だけでなく、▼ADLの低下や院内感染のリスクを向上させる▼患者の社会復帰・職場復帰を遅らせ、経済的な困難をもたらす―という弊害もあります。

 基金の活用も視野に入れて、「真に必要な病床数はどの程度なのか」を、▼地域の人口動態(つまり将来の患者数)▼自院の状況▼近隣の他院の状況―を踏まえて、客観的に推計しなおすことが重要でしょう。

 
 
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