地域包括ケア病棟の導入で、2016年度改定による収入減を小さく抑えられた―全自病調査
2017.1.18.(水)
2016年度診療報酬改定が7対1病院などの診療収入に与えた影響は、経過措置終了後(2016年10月)には「マイナス2.2%からマイナス2.4%」となった。うち、7対1を全数維持した病院では収入減の度合いが大きく(マイナス2.3%からマイナス2.4%)、一部を地域包括ケア病棟に転換した病院では収入減を小さく抑える(マイナス1.8%)ことができている―。
全国自治体病院協議会が12日に公表した2016年度診療報酬改定影響率調査結果(第3報、最終結果)から、こういった状況が明らかになりました(関連記事はこちら)(全自病のサイトはこちら)。
改定影響だけでなく季節変動も考慮した分析
今般の調査は、全自病が▼7対1一般病棟入院基本料▼特定集中治療室管理料(ICU)▼ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)―のいずれかを2016年3月31日(改定前)に届け出ていた会員病を対象にしており、ハーボニーやオプジーボなどの超高額薬剤の影響が大きな病院を除外した130病院について分析しています。
まず、改定年でない2015年の「3月から4-6月」にかけての総収入変動と、改定年である2016年の「3月から4-6月」にかけての総収入変動とを比較すると、「マイナス1.7%」となっています。次に、「2015年3月から2016年3月」(改定影響なし)の総収入変動と、「2015年4-6月から2016年4-6月」(改定影響あり)の総収入変動を比較すると、「マイナス1.9%」となっています。これは改定以外の季節変動(経年変化と経月変化)を考慮した分析手法で、全自病では、この結果をもとに「2016年度改定で収入にマイナス1.7%からマイナス1.9%の影響があった」と推察しています。
ただし一般病棟用の重症度、医療・看護必要度などについて2016年9月までの経過措置があったため(関連記事はこちらとこちら)、全自病は上記ロジックのうち「4-6月」を「10月」に置き換えて再分析したところ、「2016年度改定で収入にマイナス2.2%から2.4%の影響があった」ことが明らかになりました。経過措置終了によって、影響の度合いが大きくなっていることが分かります。
次に、改定前後で「7対1の届け出病床数」が変わらなかった(つまり転換や削減をしていない)79病院を対象に、同様の分析をすると「2016年度改定で収入にマイナス2.3%から2.4%の影響があった」ことが分かりました(経過措置終了後)。
逆に、改定前後で「7対1の届け出病床数」が減少した(一部を削減あるいは他の入院料に転換)44病院の状況を見ると、「2016年度改定で収入にマイナス1.9%からマイナス2.0%の影響」となっています(経過措置終了後)。
さらに、改定後に地域包括ケア病棟入院料を導入した27病院(44病院の内数)においては、「2016年度改定で収入にマイナス1.8%の影響があった」ことが分かりました。
整理すると次のようになり、「地域包括ケア病棟の導入で収入減を抑えられ、7対1の維持に力を入れると収入減の度合いが大きくなる」傾向が伺えます。今後の病床戦略を考える上で、大きな示唆を与える調査結果と言えそうです。
▼7対1維持:収入がマイナス2.3%からマイナス2.4%
▼7対1削減:収入がマイナス1.9%からマイナス2.0%
▼地域包括ケアの導入:収入がマイナス1.8%
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