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自治体病院で看護必要度の経過措置終了後に7対1病床が3685床減少―全自病

2016.11.21.(月)

 昨年(2015年)10月1日から今年(2016年)10月1日にかけて、自治体病院においては7対1の届出病床数が3685床減り、7万111床となった。また「病棟群」を選択した病院は3病院にとどまり、その804床のうち357床で10対1を選択している(残り457床は7対1)―。

 全国自治体病院協議会が17日の記者会見で公表した2016年度の「診療報酬改定影響率調査結果」(第2報)で、こういった状況が明らかになりました。

11月17日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長

11月17日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長

地域包括ケア病棟などへの機能転換や、ダウンサイジングが進む

 2016年度の診療報酬改定では、7対1入院基本料の施設基準、とくに「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の項目が大幅に見直され、重症患者割合(看護必要度の基準値を見直す患者の割合)が従前の15%以上から25%以上に引き上げられるなど、厳しいものとなりました(関連記事はこちらこちら)。

 厚生労働省は病院経営を考慮し、「改定前(2016年3月31日)に7対1を届出ている病院では、今年(2016年)9月までは、重症患者割合は満たすものと扱う」との経過措置を設けています。したがって、10月以降の状況こそが、2016年度改定の影響を考える上で重要であり、今般、全自病が会員病院を対象に調査を行ったものです。

 調査では、今年3月31日時点で7対1入院基本料・特定集中治療室管理料(ICU)・ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)のいずれかを届出ていた272病院を対象に、改定前(2015年10月1日)と経過措置終了後(2016年10月1日)とで届出入院料がどう変化したかを調べています(有効回答数は250病院)。

 経過措置終了後の7対1届出病院数は、改定前に比べて4病院減少し、229病院となりました。ベッド数に着目すると、経過措置終了後の7対1病棟の病床数は7万111床で、改定前(7万3796床)に比べての3685床・5.0%減少しています。全体の4割弱の病院では重症患者割合が27.5%未満であり、7対1の施設基準を安定的にクリアすることが難しいようです(前述のように基準値は25%以上)。

 ただし、経過措置後も引き続き7対1を届出ている病院のうち、32%は機能転換または病床削減を行っています。

 減少した7対1のベッドが、どの入院料に移行(機能転換)したのかが気になります。全自病の調べでは、とくに「地域包括ケア病棟入院料1」の病床数が改定前から経過措置後にかけて2219床(減少分3685床の約60%に相当)増加していることが明らかになっており、「7対1から地域包括ケアへの移行」が進んでいると考えられます。また、調査対象全体で病床数が679床減少していることから、ダウンサイジングが進んでいる状況も伺えます。

 また2016年度改定で経過的に設けられた「病棟群単位の入院基本料」を選択した病院は3病院・804床にとどまり、その内訳は「7対1が447床(55.6%)、10対1が357床(44.4%)」となっています。病棟群単位の入院基本料は、例外的に「7対1と10対1」の混在を可能とするもので、7対1から10対1へ移行する際のクッションとなります。病棟群を選択しても、後に7対1の施設基準を満たせば全病棟を7対1に戻すことができますが、再度、病棟群を選択することはできません。このため病院側では「使い勝手が悪い」と考えているようです。

 なお、7対1から10対1にダイレクトに移行した病院は、1病院・190床にとどまっています。

 さらに今回の調査では、経過措置後も7対1を届出ている病院の99%が三次救急・二次救急の指定を受けている状況も分かりました。

 

 こうした結果を踏まえて全自病診療報酬対策委員会・改定影響小委員会の森田眞照委員長(市立ひらかた病院長)は、「急性期機能の維持・充実や回復期機能の強化など、会員病院が担う医療提供体制が大きく変化している」とコメントしています。

全自病診療報酬対策委員会・改定影響小委員会の森田眞照委員長(市立ひらかた病院長)

全自病診療報酬対策委員会・改定影響小委員会の森田眞照委員長(市立ひらかた病院長)

  
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