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2017年7月までに674件の医療事故が報告され、63.5%で院内調査完了―日本医療安全調査機構

2017.8.17.(木)

 今年(2017年)7月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は22件。一昨年(2015年)10月の医療事故調査制度スタートから、累計で674件の医療事故が報告され、このうち6割超(63.5%・428件)で院内調査が完了し、遺族や医療機関からのセンターへの調査依頼は累計で42件となった―。

 こうした状況が、日本で唯一のセンターとして指定されている「医療安全調査機構」から9日に公表されました(機構のサイトはこちら)。

内科・整形外科・心臓血管外科で、それぞれ3件の医療事故が発生

 医療事故調査制度は、事故の責任が誰にあるのかを追及するのでなく、事故の原因を究明することで「再発防止を目指す」仕組みとして、一昨年(2015年)10月にスタートしました。院長など医療機関管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」が発生した場合、管理者は事故発生の旨をセンターに報告します(例えば、極めて重篤な状態で救急搬送され、管理者が死亡を予期していた症例などは報告の対象外となる)。この報告を起点として、当該医療機関で事故原因の調査(院内調査)を行い、調査結果をセンターに報告するとともに、遺族への説明を行います(関連記事はこちら)。センターでは、事故事例を集積していく中で具体的な再発防止策などを練り、今年(2017年)3月に「中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―」を作成・公表しています(関連記事はこちら)。

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

 
 我が国唯一のセンターとして指定されている医療安全調査機構では、毎月、医療事故の報告状況を公表しています(前月の状況はこちら)。今年(2017年)7月には、医療事故が新たに22件報告され、制度発足からの累計報告件数は674件となりました。

 7月の報告は、病院からが21件、診療所からが1件で、診療科別に見ると▼内科3件▼整形外科3件▼心臓血管外科3件―などで多くなっています。

2017年7月に、新たに22件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で674件の医療事故が報告されている

2017年7月に、新たに22件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で674件の医療事故が報告されている

  
 医療事故が発生した場合、医療現場では「患者が予期せぬ死亡を遂げたが、センターに報告すべき医療事故だろうか?」「センターへの報告はどのように行えばよいのか?」といった疑問が生じると思われます。一方で遺族側の中には「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。隠蔽されているのでは?」といった不信感をぬぐいされない方も決して少なくないでしょう。そこでセンターでは医療機関や遺族からの相談に対応しており、今年(2017年)7月には、新たに150件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計は3429件となっています。新規相談の内訳を見ると、医療機関からが85件、遺族などからが53件、その他・不明が12件という状況です。

 医療機関からの相談内容を見ると、「報告の手続き」56件が多く、医療機関からの相談の65.9%を占めています。一方、「医療事故に該当するか否かの判断」は19件(医療機関からの相談の22.3%)にとどまり、制度の浸透、運用の改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」設置など)などの効果と言えます(関連記事はこちらこちら)。

 もっとも、遺族などからの相談の中身を見てみると、依然として「医療事故に該当するか否かの判断」が最多で35件、遺族などからの相談の66.1%を占めています。この中には「制度開始前の事例」「生存事例」など、前述した報告対象に含まれないケースも入っており、「一般国民への制度周知」が重要なキーワードになると考えられます(関連記事はこちら)。

センターへの相談は2017年7月に150件あり、うち85件が医療機関から、53件が遺族などからのものとなっているが、相談の中には「制度の対象外の事例」も含まれている

センターへの相談は2017年7月に150件あり、うち85件が医療機関から、53件が遺族などからのものとなっているが、相談の中には「制度の対象外の事例」も含まれている

 
 冒頭に述べたとおり、医療事故調査制度の目的は「再発防止」にあります。したがって、「事故が発生した医療機関自らが、原因究明に向けた調査を行う」(その際、院内のルールや医療内容を点検することになる)ことで、院内体制や職員の意識が改善され、事故防止につながると期待されます。今年(2017年)7月に新たに院内調査が完了した事例は14件で、制度発足からの累計では428件となりました。これまでに報告された全674件のうち63.5%で院内調査が完了している計算です。調査完了割合は、前月(2017年6月)とほぼ同水準(0.1ポイント増)で、調査スピードが頭打ちになっているのか、今後の状況を見守る必要があります。

医療事故を報告した医療機関のうち、院内調査が済んだものは2017年7月に14件、制度発足からの累計で428件で、報告された事故全体の63.5%となった

医療事故を報告した医療機関のうち、院内調査が済んだものは2017年7月に14件、制度発足からの累計で428件で、報告された事故全体の63.5%となった

  
 ところで、遺族の中には「院内調査結果に納得できない」「院内調査が遅すぎる(何かを隠すために時間稼ぎをしているのではないか)」と感じる人もいると思われます。一方、医療機関側でも、小規模で「自力での院内調査が困難」というところもあります(医師会や病院団体などの支援団体がサポートを行う仕組みあり)。そこで、「遺族や医療機関がセンターに調査を依頼」できる仕組みも用意されています。今年(2017年)7月にセンターへなされた調査依頼は2件ありました。いずれも遺族からの依頼です。制度発足からの累計では42件(遺族から31件、医療機関から11件)となっています。このうち37件が「院内調査結果報告書の検証中」(院内調査が適切に行われたかの確認)、1件が「院内調査結果報告書検証準備作業中」、1件が「院内調査の結果待ち」となっており、センター調査も着実に進んでいることが分かります。

  

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