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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

リツキサン、保険診療上、後天性血栓性血小板減少性紫斑病の治療にも使用可能―厚労省

2019.8.5.(月)

CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫などの治療に用いる「リツキシマブ(遺伝子組換え)」(販売名:リツキサン点滴静注100mg、同500mg)について、新たに「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」の治療に用いることを、保険診療上可能とする―。

 厚生労働省は8月1日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明確にしました。同日から保険診療でこれら薬剤を使用することが可能となっています。

再発・難治の「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」にのみ使用を考慮すること

 従前より、いわゆる「ドラッグ・ラグ」が問題視されています。欧米の先進諸国で使用できる医療用医薬品が、我が国で保険診療において使用できないケースがあり、最新の医療技術へのアクセスが阻害されているのではないか、という問題です。

厚労省はドラッグ・ラグの解消に向けた取り組みを積極的に実施しており、例えば「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、我が国では未承認・適応外となっている医薬品について製薬メーカーに開発要請を行っています。また、未承認・適応外薬の開発促進に向けて、2010年度の薬価制度改革で新薬創出・未承認薬解消等促進加算を創設し、2018年度の薬価制度抜本改革では「制度化」されました。

さらに医療保険サイドからドラッグ・ラグ解消に向けて強力にアプローチするために、2010年8月25日の中央社会保険医療協議会・総会で「適応外使用とされている医薬品でについて、薬事・食品衛生審議会の事前審査で『公知申請を行っても差し支えない』と判断された場合には、翌日から自動的に保険収載する」という特例ルールが創設されました。

 保険診療では、安全性・有効性の観点から、医薬品は「効能・効果が認められた傷病の治療」以外に用いることはできません(仮に使用すれば自由診療となり、当該治療全体が全額患者負担となる)。「新たな傷病の治療に効果がある」と考えられる場合には、治験などを実施してエビデンスを揃え、薬食審で効能・効果追加の承認を得ることが原則です。安全性・有効性が確保されていない治療を、貴重な公的財源(保険料、税)で賄うことは好ましくないからです。

しかし、エビデンスの確保、審査などには相当の時間がかかるため、この原則をあまりに厳格に適用すれば「今現在、疾病と闘っている患者」が最新の医療技術(医薬品)にアクセスするチャンスを大きく阻害してしまいます(重篤な疾患であるほど、酷な状況となる)。そこで中医協は、「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスに配慮し、上記の特例ルールを創設。海外の論文など(公知)で一定の有効性・安全性が確保され、それをもとに薬食審の事前審査で「公知申請を認めて良い」と判断された場合には、必ず後に効能・効果追加が認められている、という実態に鑑みた特例ルールです。本特例ルールにより「公知申請を認めてよいとの事前審査から、実際に効能・効果追加が行われるまでの期間」分(概ね6か月程度とされる)、保険収載を前倒しすることが可能となります。

 
 今般、この特例ルールにより次の医薬品を、適応外の傷病治療に用いることが保険診療上、認められました。

▽リツキシマブ(遺伝子組換え)(販売名:リツキサン点滴静注100mg、同500mg)

▼現在認められている効能・効果
・CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫・CD20陽性の慢性リンパ性白血病・免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患・多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎・難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)・慢性特発性血小板減少性紫斑病・腎移植、肝移植におけるABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制・インジウム(111In)、イブリツモマブ、チウキセタン(遺伝子組換え)注射液およびイットリウム(90Y)、イブリツモマブ、チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与(関連記事はこちら

▼今般、認められた効能・効果
「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」

→追記される用法・用量:通常、成人には体表面積1平米当たり375mg(1回量)を1週間間隔で4回点滴静注する

→追記される予定の注意喚起:後天性血栓性血小板減少性紫斑病に用いる場合は、「再発または難治の場合」にのみ使用を考慮する

   
 
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