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医療材料価格の市場拡大再算定、「医療材料の市場規模」踏まえた低い基準値とすべきか―中医協・材料専門部会

2019.11.20.(水)

医療材料価格制度においても、薬価と同様に「保険適用当初に比べて、著しく市場が拡大した場合」には、医療保険財政への影響を考慮して、一定の価格引き下げを行うルールの新設が必要であるが、基準値を薬価制度と同様に置くべきか、医療材料の市場規模(薬剤の9分の1程度)を勘案して低めに設定すべきか―。

11月15日に開催された中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会(以下、材料専門部会)で、こういった議論が行われています。

11月15日に開催された、「第105回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

原価計算方式、薬価と同様に「原価開示度に応じた加算率設定」を行うべきか

材料専門部会では、2020年度の次期材料価格制度改革に向けて具体的な議論を進めています。11月15日の会合では、(1)原価計算方式におけるイノベーションの評価(2)著しく単価の高い製品に係る補正加算(3)保険収載後に市場が拡大した場合の対応―の3つの論点について議論を深めました。

まず(1)は、現在▼類似機能区分比較方式でのイノベーション評価は「価格全体への加算」という形で行われている▼原価計算方式でのイノベーション評価は「価格のうち営業利益に対する加算」という形で行われている―点を、どう考えるかという論点です。

厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の岡田就将室長は、現行制度の下では「類似機能区分比較方式に比べて、原価計算方式のほうが実質的な加算率が低い」ことを紹介。前述のように原価計算方式では「加算の対象が狭い」ために、実質の加算率が、類似薬効比較方式で価格算定された製品に比べて12-55%程度にとどまっています。

医療材料における実施率加算率を見ると、原価計算方式では類似機能区分比較方式に比べて小さいことが分かる(中医協・材料専門部会1 191115)



このため岡田医療技術評価推進室長は、原価計算方式の医療材料について画期性を十分に評価するために、薬価制度に倣って▼加算のベースを製品価格全体に広げる▼ただし原価の開示度に応じて加算率に差を設ける(原価開示の度合いが低い場合、加算率は低く抑える)―仕組みを検討してはどうか、と中医協委員に問いかけました。

薬価制度における原価計算方式におけるイノベーション評価ルールの見直し(中医協・材料専門部会2 191115)



診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)はこの提案に賛意を示しましたが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「薬価制度では、加算のベースを原価全体に広げたために、低い加算率でも従前(営業利益率を加算のベースとする仕組み)と同程度以上の加算を取得できることから、原価開示が思うように進んでおらず、見直しが必要と考えている。材料価格制度については、薬価制度の見直しを待って、新たな仕組みに合わせるべき」と主張しました。

10月23日の中医協・薬価専門部会には、2018年度以降に原価計算方式が適用された新薬16成分のうち、10成分で▼開示度50%未満にとどまっている▼ただし従前と比べて実質加算率はプラス0.4%となり、従前と同程度の加算を取得できている―状況が報告されました。もっとも「外国からの原料輸入などにおいて、原価を詳しく開示してもらうことは困難であり、開示度の向上は難しい」という面もあり、薬価専門部会では「どういった見直しを行うべきか」を検討中です。材料価格制度においても、この薬価専門部会の検討の動きを見守りながら、議論が進められる見込みです。

原価計算方式において、開示度50%未満の成分でも、従前と同じだけの加算額(プラス0.4%)を取得している(薬価専門部会1 191023)

著しく単価の高い医療材料、加算率を抑える仕組み導入へ

また(2)は「著しく単価の高い医療材料」については、加算率が低くなっても、ベースが大きいために「加算額が必然的に大きくなる」点をどう考えるかという論点で、「加算率に傾斜を設ける(単価が高い医療材料では、加算率を低く抑える)」方向が検討されています。

あわせて岡田医療技術評価推進室長は、「類似機能区分比較方式では、新規材料の算定価格が類似機能区分の価格帯と乖離する場合には『乖離の程度に応じて加算率を減算する仕組み』があるものの、類似機能区分の価格帯が高い場合には減算が限定的となってしまう」という課題があることも紹介しました。

例えば新規材料の算定価格が1000万円で加算が30%の場合、類似機能区分の価格帯が200万円(乖離が大きい)では、加算率は11.7%に減算されるものの、類似機能区分の価格帯が500万円(乖離が小さい)では、加算率は20%にまでしか減算されません。このルールについても一定の見直しが検討されることになるでしょう。

類似機能区分比較方式における補正加算の計算方法(中医協・材料専門部会3 191115)



この点、支払側の幸野委員は「著しく単価の高い医療材料の加算率を抑える」方向に賛意を示していますが、診療側の城守委員は「単価が高い医療材料には、対象患者の少ない、希少疾病治療用いるものもあり、そこへの配慮が必要ではないか」との考えも示しています。具体的にどういった仕組みが導入すべきか、今後、詰めていくことになるでしょう。

医療材料の市場拡大再算定ルール、基準値をどう考えるか

さらに(3)は、保険適用時の予測に比べて、実際の市場規模が著しく大きくなった場合に「医療保険財政への影響」を考慮して、価格の再算定(つまり引き下げ)を行う仕組みを導入すべきか、という論点です。

医薬品については、▼市場拡大再算定▼四半期再算定―などの仕組みが導入されており、「医療材料についても、こうしたケースについて再算定を行うべき」との方向で検討が進められています。

ただし、診療側と支払側として「基準をどう考えるか」という点で意見に乖離があります。診療側の城守委員は「費用対効果評価の仕組みでも、医薬品と医療材料とで対象とする市場規模の基準値は同一にしている。市場拡大に伴う再算定でも、医薬品と同様の基準値を設定すべきであろう」との考えを示しました。

医薬品の市場拡大再算定ルールを眺めると、▼「年間販売額150億円超かつ当初予想の2倍以上」または「年間販売額100億円超かつ当初予想の10倍以上」の場合には最大25%の価格引き下げを行う▼「年間販売額1000-1500億円で、予想の1.5倍以上」の場合には最大25%の価格引き下げを行う(特例)▼「年間販売額1500億円超かつ予想の1.3倍以上」の場合には最大50パーセントの価格引き下げを行う(特例)―こととなっています。

薬価制度における市場拡大再算定ルールの概要(中医協・材料専門部会5 191115)



しかし、医療材料の市場規模の実態を見ると、2018年度以降に適応が追加された製品の市場規模は最大でも50億円程度にとどまっています。医薬品と同じ基準値を設ければ、「市場拡大に伴う再算定」の対象となる製品はごくごく限られることになるかもしれません(もちろん今後、市場規模の極めて大きな製品が登場する可能性は否定できない)。このため支払側の幸野委員は「医療材料の市場規模を踏まえた基準値を考えるべき」と主張しています。

2018年度以降に適応追加された機能区分の市場規模(中医協・材料専門部会4 191115)



なお、ある製品が「市場拡大に伴う再算定」の対象となったとして、同じ機能区分となっている製品の価格も引き下げるべきか否かについては、城守委員・幸野委員ともに「当該製品のみ価格を引き下げ、別の機能区分とすべき」との考えを示しました。

ただし医療材料メーカー代表として参画する林利史専門委員(エドワーズライフサイエンス株式会社ガバメントアフェアーズ部長)は、「同じ機能を持つ医療材料は同一価格とする、との保険医療材料価格制度の根本を崩さないよう、丁寧な制度設計が必要である」と、また堀之内晴美専門委員(東レ株式会社理事(医薬・医療担当))は「企業の開発意欲を削がないような制度とすべき」との考えを強調しています。

 
 

 

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