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2022年度診療報酬改定に向け、「特定行為研修修看護師」の評価拡充など検討せよ―規制改革推進会議

2020.7.3.(金)

医師の働き方改革等が求められる中で、勤務医からのタスクシフト先として大きな注目を集める「特定行為研修を修了した看護師」であるが、養成状況が芳しくない。今年度(2020年度)中に、「領域別のパッケージ化推進」「指定研修機関の拡充」などを検討するとともに、2022年度の次期診療報酬改定に向けて「特定行為研修を修了した看護師」の診療報酬での評価拡充などを検討せよ―。

政府の規制改革推進会議は7月2日、こういった内容を盛り込んだ「規制改革推進に関する答申」を行いました。今後、答申を踏まえて政府で制度の見直し等を検討進めることになります(内閣府のサイトはこちら)。

特定行為研修のパッケージ化を拡大し、医療現場への周知も強化せよ

政府は各種の法律や制度といった「規制」を設けています。これらは国民の生命・健康・財産等を守るための重要な仕組みですが、技術革新など社会経済環境が変化するにつれて、その規制の必要性は変化します。不必要な規制は、日本経済の底力を損なってしまう(新規参入の阻害や、新たなビジネスチャンスの逸失など)ことから、内閣総理大臣の諮問機関として規制改革推進会議が設けられ(2016年9月に規制改革会議が発足し、2017年7月に改組)、各種の制度・規制について「必要性はあるのか、過度の規制となっていないか、見直しが行えないか」という視点で検討し、提言を行っています。

今般の答申のうち、医療・介護に関連する事項を見ると、(1)医療・介護関係職のタスクシフト(2)介護サービスの生産性向上(3)一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大(4)社会保険診療報酬支払基金に関する見直し(6)オンライン医療の普及促進―などが盛り込まれています。

まず(1)のタスクシフトから見ていきましょう。

例えば手術を例にとれば分かりやすいように、医療・介護分野の業務の中には「患者・利用者の生命・健康に大きな影響を及ぼす」ものが少なくありません。このため各資格法令で「当該職種はどういった教育等を受け、どういった業務・行為を実施できるのか」が明確かつ厳格に定められています。

しかし、「勤務医の働き方改革(2024年4月から原則として年間時間外労働を960時間までとする)を実現する」ために、「増加する介護ニーズに限られたマンパワーで対応する」ためには、医師から看護師へ、看護師から多職種へ、介護職から介護ボランティアへなどの「タスクシフト」が必要不可欠なテーマとなります。逆に言えば、タスクシフトを進めなければ、我が国の医療・介護サービス提供体制を維持することはできないのです。

答申では、次のようなタスクシフト推進方針が示されました。極めて具体的な事項が多く、とりわけ「医師からのタスクシフト先」として大きな注目を集める「特定行為研修を修了した看護師」の育成に力を入れることを強く求めています。

【看護師について】
「特定行為に係る看護師の研修制度」(以下、特定行為研修)について、「2024年度までにパッケージ研修修了者数1万人」という目標達成に向け次のような取り組みを行う
▽制度の周知をはじめとした具体的な推進策を2020年度に提示する

▽5領域(▼在宅・慢性期▼外科術後病棟管理▼術中麻酔管理▼救急▼外科-)以外でパッケージ化に適する領域の有無や、現行のパッケージ研修修了者数目標の妥当性を2020年度から継続的に検証・検討する

▽医師や病院経営者等医療関係者に対し、2020年度中に特定行為研修修了者の活用好事例を示し、継続的に制度の周知を行う

▽「特定行為研修修了者数の伸び悩み」「特定行為研修修了者就業者数の地域差」の背景・要因を2020年度中に掘り下げて検証・検討し、2021年度に効果的な方策を講ずる

▽特に在宅医療領域において特定行為研修修了者数が伸び悩んでいる原因を徹底的に分析し、当該領域特有の課題の解決に向けて、2020年度に「在宅医療領域に特化した仕組み」を検討し、結論を得る

▽指定研修機関となるための申請書類の簡素化等を通じて、指定研修機関を増やすための対応を2020年度に検討し、結論を得る

▽特定行為研修の内容について、状況判断から必要な手技までトータルで行う能力付与に力点を置く観点から「臨床推論」のウエイトを抜本的に高めるなどの見直しを2020年度以降も継続して検討する

▽特定行為研修修了者の配置等に対する「診療報酬上の評価」を含めた促進策を2020・21年度に検討し結論を得る(2022年度の次期改定で実施)

▽特定行為研修修了後も医療の進歩に合わせた技能の習得・向上が必要不可欠であり、特定行為研修修了者の活動の場で行われる症例検討、手順書の見直しなど「特定行為研修修了者の研鑽に向けた取り組み」に対する支援策を2021年度に検討し、結論を得る

【救急救命士について】
▽医療機関内でも救急救命処置を実施できるよう、救急救命士法改正法案の国会提出に向けて対応するとともに具体的な活動場所を明らかにする(2020年度に検討し、結論を得る)

▽救急救命士の業務拡大後の実施状況を踏まえつつ、必要なメディカル・コントロール体制の在り方を検討し、活動場所のさらなる拡大・特定行為の拡充についても2021年度に検討を始める

【看護職員におる「有料老人ホームにおける医療行為】の円滑実施】
▽有料老人ホームに対し、2012年の厚生労働省通知「有料老人ホームにおける看護職員の医行為等について」に示された内容を、2020年度中に改めて周知徹底する

▽介護付きホームにおける医行為の実態を把握し、看護職員が安心して円滑に医療行為を実施できるようにするための対応を2020年度に検討をはじめ、速やかに措置する

【介護現場における介護職員によるケア行為の円滑的な実施】
介護現場で実施されることが多い『医行為ではないと考えられる行為』を整理した上で「当該行為は介護職員が実施できる」旨を関係者に周知する。さらに介護職員が当該行為を安心して行えるよう、ケアの提供体制について▼本人▼家族▼介護職員▼看護職員▼主治医―等が事前に合意するプロセスを明らかにする(2020年度に検討をはじめ、速やかに措置する)

介護現場のICT活用、アウトカム評価の推進などで「介護の生産性向上」目指せ

(2)の介護における生産性の向上は、少子高齢化の進展による介護サービス提供体制が脆弱化する中で、まさに喫緊のテーマと言えます。処遇改善等による介護人材確保を進めるとともに、「介護現場の負担」軽減が必須となるためです。この点については、次のような方針が示されました。

▽介護事業者の行政対応・間接業務に係る負担軽減:▼文書量の半減や国による標準様式の見直しを2020年度に進める▼ICT利活用に向けた介護データ項目の標準化等に向けた検討を2020年度から進める—など

▽ICT・ロボット・AI当の導入推進:▼2021年度の介護報酬改定において、施設基準見直しにより「ICT・ロボット・AI等の活用によって人が行う業務の効率化」を積極的に認める▼ケアマネジャーのモニタリング訪問やサービス担当者会議についてテレビ会議システム等の活用を2020年度に検討し、結論を得る—など

▽アウトカムを活用した科学的介護の推進:▼利用者の状態・介入内容に関するデータベース「CHASE」について、アウトカム指標の標準化などを行い、「アウトカムベースでの介護報酬検討」などを可能とする仕組み▼NDB(医療レセ・特定健診データ)・介護DB(介護レセ・要介護認定データ)・VISIT(訪問・通所リハビリデータ)・CHASEのデータを連結し、シームレスで適切な医療・介護を受けられる仕組み—を2020年度に検討し、措置する

▽介護事業経営の効率化に向けた大規模化・効率化:「社会福祉連携推進法人制度」が積極的かつ有効に活用されるよう、議決権に係る定款上の別段の定めに関する考え方を整理するなど、改正社会福祉法の施行準備を進める

2021年度には介護報酬改定が予定され、現在、社会保障審議会・介護給付費分科会で改定論議が始まったところです。上記の内容は「介護報酬」を関連する事項も多く、今後、介護給付費分科会を中心に具体的な論議が行われることになります。

なお、介護人材確保が難しい中では「事業所の統合・集約化」による「重複業務の排除」などが重要となり、これは介護人材の負担軽減にもつながる重要テーマです。きめ細かなサービスを保ちながら「事業の集約化・統合を促す方策」についても介護給付費分科会などで議論が進むことが期待されます。

健康・医療・介護情報の連結、「民間企業による利活用」も十分に進められるようにせよ

また(4)のデータ利活用についても、以下のような方針が示されました。

分散する健康・医療・介護データを連結・解析可能とすることで、例えば「意識不明の状態で救急搬送された患者の過去の受診歴、現在の医薬品服用歴を把握し、迅速な治療を開始するとともに、禁忌薬の回避など医療安全を確保する」ことや、「エビデンスに基づいた効果的かつ効率的な医療・介護提供を可能とする」ことなどが期待される、非常に重要なテーマです。規制改革推進会議では「民間企業によるデータの利活用」に重きをおいた提言を行っています。もちろん短期的には「新たなビジネスの掘り起こし」を主眼とするものと思われますが、そこから「優れたサービス」が生み出され、最終的には「生命・健康の確保維持、QOLの向上という成果物となって我々国民に還元される」という点にも留意が必要です。

▽民間企業などの第三者がデータを利用する場合に求められる「公共性の要件」について、▼患者ニーズの高い分野の新薬開発▼医薬品の安全性対策の向上など—様々なサービスが開発可能である旨を2020年度中に示し、多様案主体によるPDCAサイクルの下で継続的に促進する

▽小規模ベンチャー企業等でもデータ利活用が行えるよう、データの分析・解析を安全な環境で行えるクラウド環境の解析基盤を2020年度に検討し、速やかに整備する

▽多様な主体・目的によるデータ利活用を促すべく、NDB・介護DBを連結したデータのサンプルデータの公表を2020年度に検討し、個人情報保護の観点から問題のないデータについてはニーズに応じて開示する。また、第三者から医療機関単位での名寄せ可能なデータ、個票データについて利用申出がある場合には、個人情報保護の観点から問題なく、正当な利用目的であるものについてはデータを提供する

▽NDB・介護DB・VISIT・CHASEの4データベースの連結に向けた具体的検討を2020年度に進め、個人単位での名寄せ・連結の精度を上げる仕組みを構築する

▽NDBの本来目的である「医療費適正化」に向けたさらなる活用を2020年度に検討し、速やかに実行する

▽ゲノム医療を始めとする質の高い医療の実現に資するようなデータベースの整備・活用について2020年度から戦略的に検討を開始し、速やかに実現する

支払基金と国保連の「審査基準統一化」スケジュールなどを2020年度中に示せ

また(5)では、従前より規制改革推進会議が求めてきた「支払基金改革」について、▼2021年9月予定の新システム導入で「コンピュータチェックでの9割完結」等を実現する(前提としてレセ様式の見直しなどが必要)▼▽職員によるレセプト事務点検業務について集約(全国10か所程度)を進め、将来的には廃止に向けた検討を進める▼国保中央会等も含めた「審査支払機能の在り方」については、2024年予定の国保総合システム公開に向けて関係者で情報連携し、「審査基準の統一化」「審査支払システムの整合的・効率的運用」に向けた具体的工程を2020年度中に明らかにする―などの方針を示しました。



このほか、オンライン診療の普及促進に向けて「2022年度の次期診療報酬改定に向けて、2020年度の要件緩和・対象疾病拡大後の状況をフォローしていく」ことを強く求めています。なお、新型コロナウイルスへの感染リスクを低減するために、「オンライン診療」や「電話・情報通信機器を用いた診療」に関する規制等が現在、大幅に緩和されています(3か月ごとに実用性・安全性等を検証することとなっている)。この点について規制改革推進会議では、「検証結果も踏まえつつ、オンライン診療等の拡充に向けて引き続きドローアップを行う」考えも示しています。

規制改革推進会議サイドからの提言を受け、「初診からの電話等診療も認めよ」という極めて大胆な緩和が臨時特例的に行われています。医療現場、患者、一般国民、ICT企業など、緩和の受け止め方はさまざまですが、「国民の生命・健康を確保する」という視点での検証やその後の検討が強く求められます。

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