訪問診療における居宅同意型のオンライン資格確認等システムなどの導入経費一部補助を2025年度も継続—厚労省
2025.5.14.(水)
訪問診療等、オンライン診療等、外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等の資格確認)における「居宅同意取得型のオンライン資格確認」システム、オンライン請求等の義務化対象「外」施設向けの簡素な「資格確認限定型しかくオンライン資格確認」システムの導入経費について一定の補助を行っているが、本年度(2025年度)も継続する。補助金申請は「来年(2026年)1月15日まで」とする—。
厚生労働省は5月12日に事務連絡「オンライン資格確認の導入のための医療機関・薬局への財政支援について(周知依頼)」を示し、こうした考えを明らかにしました(厚労省のオンライン資格確認等に関する医療機関等向け総合ポータルサイトはこちら)。
訪問診療等では「通常と異なるオンライン資格確認等システム」を活用
医療DXの推進を目指し、マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)での医療機関受診を基本とする仕組み(マイナンバーカードと保険証の一体化)が進められています(もっとも、▼既に発行されている保険証▼保険者の発行する資格確認書—による受診も可能、関連記事はこちら)。
マイナ保険証の利用促進のためには「どの医療機関にかかっても、マイナ保険証で資格確認を行える(=1-3割負担で済む)」ようになることが極めて重要です。
ところで、在宅医療においては、通常のオンライン資格確認等システム(患者が来院して窓口のカードリーダーシステムでマイナ保険証をかざす仕組み)とは異なり、医師が持参するモバイル端末などを用いて資格確認を行う仕組み(居宅同意取得型)を用いることになります(関連記事はこちら)。
また、紙レセ対応が認められている一部医療機関(小規模、医師が高齢)では、簡素な仕組み(資格確認限定型)の導入が認められています。
こうした「居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム」等を導入するには、当然「新たな経費」が発生するため、厚労省は補助を行っています。今般の事務連絡では「この経費補助を2025年度も継続して行う」とともに、改めて補助の概要を整理・明確化しています。
【補助対象】
▽訪問診療等、オンライン診療等、外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等の資格確認)におけるオンライン資格確認(居宅同意取得型)の導入、義務化対象外施設におけるオンライン資格確認(資格確認限定型)の導入に必要な機器等の費用
●訪問診療等における居宅同意取得型の導入
→患者宅等でのマイナンバーカードの読取や資格確認等のためのモバイル端末等の導入、レセコン改修等のための経費について、病院では2分の1(補助上限41万1000円)、クリニックでは2分の1(同8万5000円)、薬局では4分の3(同12万8000円)を補助する

訪問診療等における居宅同意取得型の導入

訪問診療等における居宅同意取得型の導入補助
●オンライン診療等における居宅同意取得型の導入
→レセコンの改修等のための経費について、病院では2分の1(補助上限39万円)、クリニックでは2分の1(同6万5000円)、薬局では4分の3(同9万7000円)を補助する

オンライン診療等における居宅同意取得型の導入

オンライン診療等における居宅同意取得型の導入補助
●外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等の資格確認)における居宅同意取得型の導入
→顔認証付きカードリーダーの故障時等のマイナンバーカード読取や資格確認等のためのモバイル端末等の導入、レセコンの改修のための経費について、病院では2分の1(補助上限41万1000円)、クリニックでは2分の1(同8万5000円)、薬局では4分の3(同12万8000円)を補助する

外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等の資格確認)における居宅同意取得型の導入1

外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等の資格確認)における居宅同意取得型の導入2

外来診療等(通常とは異なる動線・機器故障時等の資格確認)における居宅同意取得型の導入補助
●義務化対象外施設における資格確認限定型の導入
→オンライン資格確認(資格確認限定型:簡素な資格確認の仕組み)に必要な機器(パソコン等に接続する汎用カードリーダー、スマートフォン、タブレット)の導入経費について、4分の3(補助上限3万1000円)を補助する

義務化対象外施設における資格確認限定型の導入

義務化対象外施設における資格確認限定型の導入補助
【補助金の申請】
▽申請期限は「来年(2026年)1月15日」である
▽「医療機関等向け総合ポータルサイト」から行う
▽本年度(2025年度)に新たに補助対象となる「顔認証付きカードリーダー等の機器が故障した時等のオンライン資格確認(居宅同意取得型)」の導入費用への一部補助については、本年(2025年)7月頃に申請受付を開始する予定である(補助申請の際は領収書が必要となるので、保管に留意を)
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