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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

ミダゾラムを消化器内視鏡使用上の鎮静に、サインバルタカプセルを神経障害性疼痛緩和に用いることなど保険診療上認める—支払基金・厚労省

2023.3.1.(水)

「ブドウ糖50%、70%【注射薬】」を「栄養障害・経口摂取困難に対して、血液透析、血液濾過、血液透析濾過または持続緩徐式血液濾過などの治療中に透析回路の静脈側から投与する」ことを保険診療の中で認める—

「ミダゾラム【注射薬】」を「消化器内視鏡検査・消化器内視鏡を用いた手術の鎮静に使用する」ことを保険診療の中で認める—

「シクロホスファミド水和物【内服薬・注射薬】」を「後天性血友病A」に使用することを保険診療の中で認める—

「デュロキセチン塩酸塩【内服薬】」を「神経障害性疼痛」に使用することを保険診療の中で認める—

「セトロレリクス酢酸塩【注射薬】」「ガニレリクス酢酸塩【注射薬】」を「卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが高い症例」に使用することを保険診療の中で認める—

社会保険診療報酬支払基金(支払基金)が、2月27日に公表した「医薬品の適応外使用に関する特例ルール」において、こうした点が明らかにされました(支払基金の審査情報提供サイトはこちら(薬剤、380番以降が今回の追加分))。厚生労働省も同日に、事務連絡「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」を示しています。

薬理作用等に照らし、審査における「医薬品使用の柔軟な取扱い」を一定程度認める

保険診療において、医薬品の使用は「薬事・食品衛生審議会(薬食審)で有効性・安全性が認められた傷病」(添付文書に記載された傷病)に限定されます。添付文書に規定されていない傷病への医薬品使用(適応外使用)は原則として保険診療の中では認められず、すべてが自由診療となります(混合診療の禁止)。医薬品使用を無制限に認めたのでは「医療安全の確保」がなしえず、医療費の高騰・医療費財源の不適切な配分にもつながってしまうためですつながることはもとより、何より「医療安全の確保」ができなくなってしまうためです。

ただし医療現場では「医学的・薬学的知見に照らし、薬食審で認められていない傷病にも一定の効果がある」と強く推測されるケースがあります。こうした場合には、例外的にレセプト審査において柔軟な対応(適応外使用であっても保険診療と扱うことを認める)がなされることがあります(いわゆる「55年通知」(旧厚生省保険局長による1980年(昭和55年)発出の通知)に基づく適応外使用など)。

もっとも、こうした例外的な取り扱いを野放図に認めれば「全国一律の診療報酬」の原則に反し、結果「混合診療の解禁」にもつながりかねません。現に、地方独自の審査ルール(都道府県ルール、例えば「山間部などでは冬期に高齢者の通院が困難になるので、薬剤の1回処方量を多くすることを認める」「地域によって、疾患別リハビリテーションを1日6単位までしか認めない(診療報酬点数上は9単位まで算定可能)」など)が存在しており、是正に向けた取り組みも進められています。また「審査の透明性」という面でも大きな問題があります(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

そこで支払基金では、こうした「例外的な取り扱い」に関する審査ルールを明確にし、適宜、医療関係者らに情報提供しています支払基金の審査情報提供サイトはこちら)。



今般、支払基金は薬剤について、次の6件の審査ルール(特別ルール)を明確にしました。

(1)▼脱水症特に水欠乏時の水補給▼薬物・毒物中毒▼肝疾患▼循環虚脱▼低血糖時の糖質補給▼高カリウム血症▼心疾患(GIK療法)▼その他非経口的に水・エネルギー補給を必要とする場合▼注射剤の溶解希釈—に用いられる「ブドウ糖50%、70%【注射薬】」(主な製品名:大塚糖液50%(200mL、500mL)、大塚糖液70%(350mL)、ほか後発品あり)について、「原則として、『栄養障害または経口摂取困難に対して、血液透析、血液濾過、血液透析濾過または持続緩徐式血液濾過などの治療中に透析回路の静脈側から投与』した場合に、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(エネルギー補給による脂質やタンク質の分解抑制)が同様で、妥当と推定される

→当該使用における留意事項
▽高血糖、反応性低血糖、高トリグリセライド血症、水分過剰に注意が必要であり、透析回路の静脈側からの薬剤投与(IDPN)実施中は 血液生化学検査値や体液量のモニタリングが望ましい
▽IDPN単独では1日必要量を満たせないため、IDPNで栄養状態が改善しない場合は別の治療(経腸栄養など)を考慮する必要がある
▽ほか静脈経腸栄養ガイドラインなどを参考にする



(2)▼麻酔前投薬▼全身麻酔の導入および維持▼集中治療における人工呼吸中の鎮静▼歯科・口腔外科領域における手術および処置時の鎮静—に用いる「ミダゾラム【注射薬】」(主な製品名:ドルミカム注射液10mg、ほか後発品あり)について、「原則として『消化器内視鏡検査および消化器内視鏡を用いた手術の鎮静』に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(鎮静、睡眠、麻酔増強、筋弛緩作用)が同様で、妥当と推定される

→当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量は、通常「体重1kg当たり0.02-0.03mgをできるだけ緩和徐注入する」ものとする。本剤への反応には個人差があり、患者の年利絵・感受性・全身状態・目標鎮静レベル・併用薬などを考慮して、過度の鎮静を避けるべく投与量を決定する。患者によってはより高い用量が必要な場合があるが、この場合は「過度の鎮静、呼吸器・循環器帰依の抑制」に注意する
▽添付文書の「重要な基本的注意」(「本剤の作用には個人差があるので、投与量(初回量、追加量)及び投与速度に注意する」「呼吸・循環の管理に注意し、術後は患者が完全に回復するまで管理下に置く」など)に留意し、「呼吸および循環動態の連続的な観察ができる設備を有し、緊急時に十分な措置が可能」な施設においてのみ用いる
▽本剤の過量投与が明白またはウが割れた場合には、必要に応じて「フルマゼニル」(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤、例えば「アネキセート注射液0.5mg」など)の投与を考慮する
▽小児・高齢者等で深い鎮静を行う場合には、「手術を行う医師とは別に、呼吸・循環管理のための専任者」を置き、手術中の患者を観察することが望ましい
▽投与に当たっては、年齢、全身状態、基礎疾患などを総合的に勘案し、投与の可否を進行に判断する
▽ほか、「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン」を参考にする



(3)▼多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、乳がん、肺がんなどにおける自覚的・他覚的症状の緩和▼治療抵抗性の全身性エリテマトーデス、全身性血管炎などの治療▼ネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤による適切な治療を行っても十分な効果がみられない場合に限る)の治療—などに用いる「シクロホスファミド水和物【内服薬・注射薬】(主な製品名:経口用エンドキサン原末、エンドキサン錠50mg、注射用エンドキサン100mg㎎、同500mg)について、「原則として『後天性血友病A』に対して処方・使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(免疫抑制作用)が同様で、妥当と推定される

→当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量は「体重1kg当たり1-2mgの経口投与」を基本とする。経口投与が困難な場合には注射薬を使用する
▽副作用として▼骨髄抑制▼出血性膀胱炎▼間質性肺炎▼肝機能障害▼腎機能障害—などが生じることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与中止などの適切な対応を行う。とくに後天性血友病は高齢者での発症が多く、「感染症の発症」には十分に注意する
▽本剤は、「ステロイド不応例」や「難治例」に用いることとし、第1選択として用いるできではない。ただし重症例はこの限りではない
▽ほか、「後天性血友病A診療ガイドライン」などを参考にする



(4)▼うつ病・うつ状態▼糖尿病性神経障害や変形性関節症などに伴う疼痛—の治療に用いる「デュロキセチン塩酸塩【内服薬】」(主な製品名:サインバルタカプセル20mg、同30mg、ほか後発品あり)について、「原則として『神経障害性疼痛』に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込み阻害による脳・脊髄における下行性疼痛抑制系の賦活化)が同様と推定される

→当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量は「成人には1日1回朝食後、60mgを経口投与」する。1日20mgより開始し、1週間以上の間隔をあけて「1日用量として20mgずつ増量」する
▽投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節する
▽本剤による神経障害性疼痛治療は原因療法ではなく、「対症療法」であることから、疼痛の原因となる疾患の診断・治療をあわせて行い、本剤を漫然と投与しない
▽ほか、「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」
「NICE神経障害性疼痛クリニカルガイドライン」「カナダ疼痛学会神経障害性疼痛ガイドライン」を参考にする



(5)調節卵巣刺激下における早発排卵の防止に用いる「セトロレリクス酢酸塩【注射薬】」(製品名:セトロタイド注射用0.25mg)について、「原則として『卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが高い症例』に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(ゴナドトロピン分泌抑制)が同様で、妥当と推定される

→当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量は「原則として排卵日当日から5日間、セトロレリクスとして0.25mgを1日1回腹部皮下に連日投与」とする



(6)調節卵巣刺激下における早発排卵の防止に用いる「ガニレリクス酢酸塩【注射薬】」(製品名:ガニレスト皮下注0.25mgシリンジ)について、「原則として『卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが高い症例』に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(ゴナドトロピン分泌抑制)が同様で、妥当と推定される

→当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量は「原則として排卵日当日から5日間、ガニレリクスとして0.25mgを1日1回腹部皮下に連日投与」とする



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