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GemMed塾 病院の成長へつながる成果の振り返りと目標設定の秘訣 〜形式的な報告からの脱却〜

抗がん剤「アリムタ注射用」の「II-III期の非扁平上皮非小細胞肺がん」への術後補助療法使用などを保険診療の中で認める—支払基金・厚労省

2025.2.27.(木)

抗がん剤の「アリムタ注射用」などを「非扁平上皮非小細胞肺がん(病理病期II-III期)における術後補助療法に対して使用」することを保険診療の中で認める—。

特発性関節炎治療などに用いる「ヒュミラ皮下注」などについて、「小児の非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)」に対して使用することを保険診療の中で認める—。

乳がん治療などに用いる「フェマーラ錠」などについて、「マクキューン・オルブライト症候群を伴うゴナドトロピン非依存性思春期早発症」に対して使用することを保険診療の中で認める—。

急性心不全の治療などに用いる「プロタノールL注」を「気管支喘息の重症症発作時」対して使用することを保険診療の中で認める—。

各種がんの症状緩和などに用いる「注射用エンドキサン」を「臍帯血移植を除く造血幹細胞移植(HLA半合致移植以外)における移植片対宿主病の抑制」に対して使用することを保険診療の中で認める—。

人工呼吸中の鎮静などに用いる「ドルミカム注射液」などを「全身麻酔を伴わない気管支鏡検査もしくは気管支鏡を用いた手術時の鎮静」に対して使用することを保険診療の中で認める—。

抗菌剤の「ダラシンカプセル」を「ペニシリンアレルギー等の患者の歯周組織炎、歯冠周囲炎、抜歯創の2次感染」に対して使用することを保険診療の中で認める—。

社会保険診療報酬支払基金(支払基金)が、2月26日に公表した「医薬品の適応外使用に関する特例ルール」において、こうした点が明らかにされました(支払基金の審査情報提供サイトはこちら(薬剤)。厚生労働省も同日に、事務連絡「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」を示しています。

薬理作用等に照らし、審査における「医薬品使用の柔軟な取扱い」を一定程度認める

保険診療において、医薬品の使用は「薬事・食品衛生審議会(薬食審)で有効性・安全性が認められた傷病」(添付文書に記載された傷病)に限定されます。添付文書に規定されていない傷病への医薬品使用(適応外使用)は原則として保険診療の中では認められず、すべてが自由診療となります(混合診療の禁止)。医薬品使用を無制限に認めたのでは医療費の高騰・医療費財源の不適切な配分にもつながってしまうことはもとより、「医療安全の確保」ができなくなってしまうためです。

ただし医療現場では「医学的・薬学的知見に照らし、薬食審で認められていない傷病にも一定の効果がある」と強く推測されるケースがあります。こうした場合には、例外的にレセプト審査において柔軟な対応(適応外使用であっても保険診療として取り扱うことを認める)がなされることがあります(いわゆる「55年通知」(旧厚生省保険局長による1980年(昭和55年)発出の通知)に基づく適応外使用など)。

もっとも、こうした例外的な取り扱いを野放図に認めれば「全国一律の診療報酬」の原則に反し、結果「混合診療の解禁」にもつながりかねません。現に、地方独自の審査ルール(都道府県ルール、例えば「山間部などでは冬期に高齢者の通院が困難になるので、薬剤の1回処方量を多くすることを認める」「地域によって、疾患別リハビリテーションを1日6単位までしか認めない(診療報酬点数上は9単位まで算定可能)」など)が存在しており、是正に向けた取り組みも進められています。また「審査の透明性」という面でも大きな問題があります(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

そこで支払基金では、こうした「例外的な取り扱い」に関する審査ルールを明確にし、適宜、医療関係者らに情報提供しています(支払基金の審査情報提供サイトはこちら(薬剤)。



今般、支払基金は薬剤について、次の7件の審査ルール(特別ルール)を明確にしました。

(1)悪性胸膜中皮腫の治療、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療、扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法に用いる「ペメトレキセドナトリウム水和物(販売名:アリムタ注射用100mg、同注射用500mg、後発品あり)および「ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物」(販売名:ペメトレキセド点滴静注液100mg「トーワ」、同注射液500mg、同注射液800mgほか)について、「原則として、『非扁平上皮非小細胞肺がん(病理病期II-III期)における術後補助療法に対して使用』した場合に、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(DNA合成阻害作用)が同様で、妥当と推定される

●当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量
→通常、成人にはペメトレキセドとして、「1日1回、体表面積1平米あたり500mgを10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する」(1コース)ことを繰り返す
→患者の状態により適宜減量する



(2)以下の疾患治療等に用いる「アダリムマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.2mL、同皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注80mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgペン0.4mL、同皮下注80mgペン0.8mL、ほか後発品あり)について、「原則として『小児の非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)』に対して使用(両剤の併用)した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

▽皮下注20mgシリンジ0.2mL
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
・中等症または重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)

▽皮下注40mgシリンジ0.4mL
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
・中等症または重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
・関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
・化膿性汗腺炎
・壊疽性膿皮症
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬
・強直性脊椎炎
・腸管型ベーチェット病
・非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎
・中等症または重症の活動期にあるクローン病の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

▽皮下注80mgシリンジ0.8mL
▼中等症または重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
▼関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
▼化膿性汗腺炎
▼壊疽性膿皮症
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬
・強直性脊椎炎
・腸管型ベーチェット病
・非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎
・中等症または重症の活動期にあるクローン病の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

▽皮下注40mgペン0.4mL
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
・中等症または重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
・関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
・化膿性汗腺炎
・壊疽性膿皮症
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬
・強直性脊椎炎
・腸管型ベーチェット病
・非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎
・中等症または重症の活動期にあるクローン病の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

▽皮下注80mgペン0.8mL
▼中等症または重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
▼関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
▼化膿性汗腺炎
▼壊疽性膿皮症
▼既存治療で効果不十分な下記疾患
・尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬
・強直性脊椎炎
・腸管型ベーチェット病
・非感染性の中間部、後部または汎ぶどう膜炎
・中等症または重症の活動期にあるクローン病の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

→薬理作用(抗TNF作用)が同様で、妥当と推定される

●当該使用における留意事項
▽当該使用は「2歳以上の小児の患者」に認める
▽当該使用例の用法・用量
(初期用量):体重10kg以上30kg未満の場合は初回40mgを皮下注射、同30kg以上の場合は初回80mgを皮下注射
(維持用量、初回投与1週間後から開始):体重10kg以上30kg未満の場合は1回20mgを2週間に1回皮下注射/同30kg以上の場合は1回40mgを2週間に1回皮下注射



(3)閉経後乳がん治療、生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発に用いる「レトロゾール」(販売名:フェマーラ錠2.5mg、ほか後発品多数)について、「原則として『マクキューン・オルブライト症候群を伴うゴナドトロピン非依存性思春期早発症』に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする。

(参考)
▽マクキューン・オルブライト症候群:小児慢性特定疾病の1つ。多くのホルモン受容体であるGタンパク結合受容体(GPCR)において細胞内情報伝達を担うGsαタンパクの活性型変異により生じ、▼皮膚カフェオレ斑▼線維性骨異形成症▼ゴナドトロピン非依存性思春期早発症—を3主徴とする疾患群(小児慢性特定疾病情報センターのサイトはこちら

→薬理作用(アロマターゼ阻害作用)が同様で、妥当と推定される

●当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量(以下のいずれかで投与する)
→レトロゾールとして1日1回2.5mgを経口投与する
→体重・臨床症状により適宜増減する



(4)▼アダムス・ストークス症候群(徐脈型)の発作時(高度の徐脈、心停止を含む)、あるいは発作反復時の対応▼心筋梗塞や細菌内毒素等による急性心不全の治療▼手術後の低心拍出量症候群の治療▼気管支喘息の重症発作時の対応—に用いる「l-イソプレナリン塩酸塩」(販売名:プロタノールL注0.2mg、同L注1mg)について、「原則として『気管支喘息の重症発作時』に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(気管支拡張効果)が同様と推定される

●当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量
→「体重1kgあたり1mL(最大40mL)+生理食塩水500mL」の(l-イソプレナリンとして10μg/kg/時間)のl-イソプレナリン塩酸塩をインスピロン等のジャイアントネブライザーを用いて持続吸入(ネブライザーの設定は酸素70%、流量毎分8Lを目安とする)する
→気管支喘息の重症発作が持続している患者には 継続した使用を認める



(5)下記疾患の治療等に用いる「シクロホスファミド水和物」(注射液)(販売名:注射用エンドキサン100mg、同500mg)について、「原則として『臍帯血移植を除く造血幹細胞移植(HLA半合致移植以外)における移植片対宿主病の抑制」に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

▽下記疾患の自覚的ならびに他覚的症状の緩解
→多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、肺がん、乳がん、急性白血病、真性多血症、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍
→ただし、下記の疾患については「他の抗悪性腫瘍剤と併用」することが必要
慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭がん、胃がん、膵がん、肝がん、結腸がん、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫

▽乳がん(手術可能例における術前あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
▽褐色細胞腫

▽下記疾患における造血幹細胞移植の前治療
→急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、重症再生不良性貧血、悪性リンパ腫、遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Fanconi貧血、Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)

▽造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制
▽腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
▽全身性ALアミロイドーシス
▽治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
→全身性エリテマトーデス、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、多発性筋炎/皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患

→薬理作用(同種抗原に反応したT細胞に対する殺細胞効果)が同様で、妥当と推定される

●当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量
→通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、体重1kgあたり1日1回50mgを2-3時間かけて点滴静注し、移植後3日目および4日目、または移植後3日目および5日目の2日間投与する
→患者の状態により適宜減量する



(6)▼麻酔前投薬▼全身麻酔の導入および維持▼集中治療における人工呼吸中の鎮静▼歯科・口腔外科領域における手術・処置時の鎮静—に用いる「ミダゾラム」(注射液)(販売名:ドルミカム注射液10mg、他後発品あり)ついて、「原則として『全身麻酔を伴わない気管支鏡検査もしくは気管支鏡を用いた手術時の鎮静」に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(鎮静、睡眠、麻酔増強、筋弛緩作用)が同様で、妥当と推定される

●当該使用における留意事項
▽当該使用例の用法・用量
→初期投与:体重1kgあたり0.02-0.05mg/kg(通常は1-3mg)をできるだけ緩徐に静脈内に注射し投与する
→患者の鎮静状態に応じて、追加投与として1-2mg(体重1kgあたり0.02-0.03mg)をできるだけ緩徐に静脈内に注射することができる
→なお投与量は年齢・体重に応じて適宜減量する



(7)抗菌剤である「クリンダマイシン塩酸塩」(販売名:ダラシンカプセル75mg、同カプセル150mg)について、「原則として『ペニシリンアレルギー等の患者の歯周組織炎、歯冠周囲炎、抜歯創の2次感染』に対して使用した場合、当該使用事例を審査上認める」こととする

→薬理作用(リボゾーム50S Subunitに作用し、ペプチド転移酵素反応を阻止しタンパク合成を阻害)が同様で、妥当と推定される


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