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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

民間医療機関へ「病床機能の転換」命令できる権限を都道府県に付与せよ―財政審

2016.10.28.(金)

 病院・病床の機能分化・連携を進めるため、「民間医療機関に病床機能の転換を命令できる権限」を都道府県に付与するべきである―。

 27日に開かれた財政制度等審議会・財政制度分科会で、財務省はこのように提案しました(関連記事はこちらこちら)。

憲法で定められた「営業の自由」などに抵触する可能性あり、慎重な議論が必要

 いわゆる団塊の世代(1947-51年の第1次ベビーブームに生まれた方)がすべて75歳以上になる2025年に向けて、医療(とくに慢性期医療)・介護のニーズが急速に高まるため、病院・病床機能の分化・連携の推進や地域包括ケアシステムの構築が急務とされています。病院・病床の機能分化に向けては、現在、各都道府県で地域医療構想の策定が進められています。

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 地域医療構想では、地域ごとに高度急性期・急性期・回復期・慢性期病床の必要量や、機能分化を進めていくための方策を記載します。後者の機能分化を進める方策の一つとして「都道府県知事の権限」行使があります。具体的には、▼病院の開設、病床数の増加等の許可の際に、不足している医療機能を担うという条件の付与▼過剰な医療機能への転換に対する中止命令(公的医療機関等以外の医療機関に対しては要請)▼不足している医療機能に係る医療提供の指示(公的医療機関等以外の医療機関に対しては要請)―などです。

地域医療構想の実現に向けて、都道府県知事には一定の権限が付与されている

地域医療構想の実現に向けて、都道府県知事には一定の権限が付与されている

地域医療構想の実現において、都道府県知事の権限行使は謙抑的かつ慎重に行使される

地域医療構想の実現において、都道府県知事の権限行使は謙抑的かつ慎重に行使される

 このように、公的医療機関等に対しては都道府県知事が強力な権限を行使することができますが、民間医療機関には「要請」できるのみです(関連記事はこちら)。

 しかし、民間医療機関が地域の医療提供体制の大半を担う地域もあり、そこでは「調整会議」での協議などで自主的な機能分化を待つ必要がありますが、「果たして機能分化が自主的に進むのだろうか」との疑問の声も小さくありません。そこで今般、財務省は「保険医療機関の指定などにあたり、民間医療機関に対する他施設への転換命令などを付与するなど、医療保険上の指定に係る都道府県の権限を一層強化すべき」と提言しているのです。

 なお、都道府県知事が民間医療機関に機能転換命令を行うことは、憲法で保証された「営業の自由」(第22条第1項から導かれる)や「財産権」(第29条)に抵触する可能性が極めて高く、慎重な議論が必要です。

 

 このほか財務省は、▼地域医療構想の実現に向け、病棟ごとの診療行為を分析し、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の機能毎の定量的な基準を次期報告(2017年10月)までに明確化し、KPIに沿って進捗管理を行う▼医療介護総合確保基金の使途を「機能転換などに直接資するもの」に重点化する▼都道府県毎の診療報酬(高齢者の医療の確保に関する法律第14条)に向け、国で運用ガイドラインを策定する▼特定地域・診療科での診療従事を医療機関管理者の要件とすることや、保険医の配置・定数の設定など、医師配置などにかかる規制も含めた実効的な偏在是正策が講じられるよう、国・都道府県の権限を強化する▼医療費の地域差半減に向けた、見える化・インセンティブ付与を行う▼後発医薬品の使用促進や、糖尿病性腎症重症化予防など医療費の適正化に取り組む保険者へのインセンティブ措置を強化する▼医療扶助(生活保護者)における頻回受診の適正化や後発品の使用促進を行う―ことなども要望しています。

 
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